◆Dennis Chambers/Planet Earth◆
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Dennis Chambers
Will Lee
Jim Beard
Dean Brown
Anthony Jackson

1.Planet Earth(Sun Ra)
2.Dance Music For Borneo Horns(Pickett)
3.Amos Ignored(Beard)
4.Elroy(Rogers)
5.El, Is the Sound Of Joy(Sun Ra)
6.Camel Hump(Brown)
7.Dance Muisc For Borneo Horns #6(Pickett)
8.Overtones of China(Sun Ra)
9.Giphinis Song(Beard)
10.ANT(Rogers)
11.Loose Bloose(Evans)
12.Dance Music for Borneo #4(Pickett)

2004年作品(Rec.2004.11.)


●ビクター/VICJ-61270
●Musicians

Ds.Dennis Chambers
Key.Jim Beard
G.Dean Brown(1/3/5/6/8/9)/Adam Rogers(4/10/11)
B.Anthony Jackson(4/10/11)/Will Lee(1/3/5/6/8/9)
As.Kenny Garrett(3/8/11)
Ts.As.Bs.Fl.Bob Malach(1/3/5/6/8/9)
Tp.Jim Hynes(3/5)
Tb.Mike Davis(3/5)
The Borneo Horns:
Ts.Lenny Pickett(2/7/12)
As.Stan Harrison(2/7/12)
Bs.Steve Elson(2/7/12)

●コメント●

 2005年に発表されたDennis Chambersのソロ名義としては3枚目となる作品が本作「Planet Earth」だ。前作「Outbreak」もファンクをベースにしたなかなかの会心作だったが、本作はそれにも増して意欲的な問題作とも言える内容となっていて、相変わらずの聴き応え十分な作品に仕上げられている。全12曲60分というボリュームは今日では決してそう大きい方ではないのだが、そのどっしりとした手応えは70分以上の大作にも匹敵する感じだ。そして何と言っても収録されている楽曲のインパクトの強さは並大抵ではない。3曲がフリー/前衛Jazzの世界では有名な作編曲家Sun Raの作品というのにも驚かされる。ますますもってその宇宙を拡大し続けるChambersの懐の深さ、広さは驚異的だ。そして元Tower Of Powerのテナー奏者Lenny Pickettの作品をPicket率いる三人のSax奏者からなるボルネオ・ホーンズとChambersの4人だけでの演奏で聴かせる3曲もまたChambersの新境地を感じさせてくれる。Jim BeardとAdam Rogersのオリジナルもそれぞれ2曲ずつ、そしてDean BrownとBill Evansのオリジナルを各1曲加えバラエティ面にもしっかりと気を配っているあたりも実にソツながない。

 リズム面では6曲でWill Lee(B)と、3曲でAnthony Jackson(B)との絶妙なコンビネーションを聴く事ができる。前者ではDean Brownと、後者ではAdam Rogersとの組み合わせといったあたりも実によく考えられた組み合わせと言えるだろう。ソロイストとして存在感を示しているのはKenny Garrett(As)とAdam Rogers(G)だろう。Garrettの硬派なアルト・ソロはMarcus Miller(B)との共演等では想像もつかない程鬼気迫るものがあり、この人の本領はやはりこういった硬派なエレクトリック・ジャズ路線でますます生きてくる様に感じる。Brecker Brosの周辺から頭角を現してきたRogersはまさにMike Sternを負う存在へと成長してきている感じだ。Dean Brownとはまさに対照的にジャジーなアプローチをベースにしたプレイ自体は必ずしも新鮮味を感じるプレイではないものの、十分に存在感を発揮しているあたりからも大器の片鱗が窺える。個人的にはMalachのテナー・ソロも大きくフィーチャーして欲しかったが、前作に引き続きBass Saxでのソロがフィーチャーされていて面白い。

1.フリー・ジャズというのとは少々感覚が異なるものの、何処か独特の前衛っぽい雰囲気を感じさせるナンバーだ。ここでのChambersは豪快にRockっぽくぶっ叩いてくれていて気持ちがいい。そしてこの曲ではテーマからソロとDean Brownの癖の強いあのウネウネした感じのギターが大きくフィーチャーされている。調性をとび超えたアクの強いフレーズとともに大好きなジミヘンの影響もかなり前面に押し出されているプレイと言えるだろう。

2.テナー、アルト、バリトンの三本のSaxの風変わりなアンサンブルとChambersのぶっ叩きドラムだけの演奏だが、何処か人を食った様なノ=テンキさが感じられるサウンドは実にユニークだ。ここではHarrisonのアルト・ソロがフィーチャーされているが、それ自体は別にどうという事もなく、Lenny Pickett &ボルネオ・ホーンズの名刺代わりのトラックといった感じだ。

3.Beardのオリジナル・ナンバー。ミディアム・テンポのストレートな感覚のファンク・リズムとホーン・セクションが巧くバランスがとれていルナンバーだ。ここではテーマ&ソロにGarrettのアルトが大きくフィーチャーされている。この手のファンク路線でのGarrettは今まであまり面白くは感じなかったものの、ここでは一皮むけた感じのプレイで悪くない。とにかく面白いのが1や2の一風変わったサウンドの雰囲気も微妙に取り入れている感じで違和感が少ない事だろう。非常にタイトで明快なChambersのドラミングはどことなくTOPの名手David Galibardiを彷彿とさせる。それとWillがやはりTOPのRoccoのフレーズを多用しているのも面白い。

4.Rogersのオリジナル・ナンバー。BeardのエレピやRogersのギターはダビングされてはいるものの基本的にはChambersとRogersにJacksonの三人でプレイされている。一見シンプルなBrecker Bros的な雰囲気を漂わせたファンク・ナンバーかと思いきや、至る所に蛇ジーで個性的なRogersの微視気がちりばめられていて見事だ。SternやScofieldの影響も随所に見られるが決して単なるフォロワーの一人でない事はここでの伸びやかで自在なプレイからも判る。Willとのコンビとは異なるChambers/Jacksonのグルーヴもこれまた実に強力だ。自由自在にフレーズを辛めながらあの独特のグルーヴを生みだす名手Jacksonはやはり強烈だ。終盤リフのフレーズの繰り返しをバックにChambersのドラム・ソロもフィーチャーされている。意識的にモタらせたフレーズが流れる様なフレーズを意図的に多用していてこれも面白い。

5.これもSun Raのナンバーで、出だしは比較的オーソドックスな感じのアンサンブル(Malachの多重録音によるプレイが目立つ)は一瞬おやっと思わせるが、すぐにパワフルなぶっ叩きドラミングが翔びだしてくる。ここではMalachのBass Saxのソロがフィーチャーされているが、個人的には輪郭がボヤケた感じに聞えてしまってイマイチ面白いとは思えない。終始礼の如くバッキングともソロともつかないBrownのプレイが派手に目立ってはいるが、少々トリッキーなプレイに走り過ぎ(笑)。ここではWillも遊び心のあるプレイでしっかりとChambersと絡んでいる。

6.Dean Brownのオリジナル・ナンバーでどことなくオリエンタルな雰囲気のポップなメロディが印象的なフュージョン的なナンバーだ。ここでの先発ソロはとてもHancockライクなアプローチのBeardのエレピだ。トーンもフレーズも如何にもそれっぽく聞える。続くMalachのテナー・シりは如何にも彼らしい豪快なトーンを活かしたファンキーなソロだがイマイチ弾けきれていない気がする。続いてリフのフレーズの繰り返しに乗せてのChambersのドラム・ソロ。リズムの表と裏を言ったり来たりしながら、いかにもChambersらしいテクニカルでパワフルなソろを聴かせている。テーマのMalachとBrownのユニゾンは全然かみあっていない。BrownってSanbornの時でもそうだったんだよなあ(笑)。

7.ファンキーな雰囲気は十分に感じられるのだが、2で提示された音楽としっかりと連関した雰囲気を醸し出している。楽曲も、また編曲も実にユニークそのものだ。ここではあの往年のTower Of Powerでお馴染みのPickettの豪快に吹き上げる様なテナー・ソろもフィーチャーされていて嬉しくなってしまう。ホーンのアンサンブルと絡んだり掛け合い風だったりしながらChambersのドラム・ソロも短いながらフィーチャーされているが、基本はいつもながらのChambersなのだが、随所にSteve Gaddのお得意のフレーズなんかが織り込まれていて面白い。

8.これまたSun Raのナンバーで、分厚いホーンにフルートも加えたホーン・セクションが印象的だ。ここではBeardのエレピが先発ソロを聴かせているが、得に前衛っぽいという訳ではないが、70年代っぽい感覚のエレピ・サウンドでの尖ったプレイがなかなかいい感じだ。そして続くGarrettのアルト・ソロが凄い!Coltrane的なアプローチから弾けたフリーク・トーンを交えたプレイまで、実に圧倒的な存在感を示している。ここでのChambersはしっかりとグルーヴを感じさせながら実に強力にGarrettにプッシュし絡んでいっていい。Garrettのソロの後半はかなりフリーっぽくBeardもBrownもWillも、実にそれっぽいプレイに徹していて面白い。個人的にはかなり好きなトラックだ。

9.Beardのオリジナルの美しくジャジーなバラード・ナンバーだ。ここで大きくフィーチャーされているのはMalachのテナーだ。得にソロがフィーチャーされている訳でもなくひたすらムーディなテーマを情感たっぷりに吹いているだけなのだが、これがたまらなくいい!シンバルの響きを中心に広がり感/奥行き感の演出に努めるChambersも、Beardのアコースティック・ピアノも実にデリケートで、なかなか味わい深いプレイを聴かせている。小品だがいぶし銀の輝きを放つトラックで、さすがBeardと唸らされる。

10.これもRogersのオリジナル。4同様出だしだけ聴くとイージーなファンク・ナンバーかと思ってしまうが、Brecker Bros的な幾何学文様を思わせるテクニカルなフレーズを多用した曲作りにもたけている様だ。いかにもフュージョン・ギタリストっぽいソロ・フレーズからジャジーなスケール、そしてファンキーな味わいのコ=ド・ソロやスケール・アウトする感覚等々、実に多様な顔を持つギタリストだ。豪快なぶっ叩きドラミングからテクニカルな小技をきかせたフレーズ等々、Chambersのプッシュするプレイ、名手Anthonyのベースの動きも実に見事だ。

11.Bill Evansのオリジナルで本作中で最もJazz的な空気の強いナンバーになっている。Garrettの抑えたアルトのトーンとRogersの曇った感じの如何にもJazzギターらしいトーンのユニゾンでのテーマから極上の味わいだが、先発のRogersのJim Hallの系譜を強く感じさせる見事なJazzギター・ソロはとにかく圧巻だ。ただ巧いだけでなく雰囲気も十分に持っている人だ。そして続くGarrettも疎な空間を巧く活かしたソロを聴かせている。Gary BartzとかSonny Fortuneの系譜にある人だが、最早彼等の域には達していると思う。この二人の素晴らしいソロ・プレイをプッシュし演出しているかの様なChambersとJacksonのプレイはやはり凄い。こういった方向性のエレクトリック・ジャズがもっと数多く出てきてもいいと思うのだが・・。

12.ボルネオ・ホーンズの三本のSaxのフラジオ&フリーク・トーンを駆使したイントロから、少々ユーモラスでドタバタした感じのテンポのいいナンバーだ。この三人のSaxアンサンブルは何処までが譜面で何処がソロなのか、実にその境が見えにくいが、実にトリッキーではアルガ技術的にはなかなか高度なプレイを聴かせている。ChambersはここでもGadd風のドラミングを聴かせているが、よりJazzっぽい自由な感覚が感じられていい。このPickettとChambersという顔合わせもなかなか面白い。

 恐らくBeardが大きく関わっているあたりから、John ScofieldやMike Sternのアルバム等とは重複しない様にきっちりと整理されているのだろう。メインストリーム・ジャズからエレクトリック・ジャズやフュージョン、はたまたロックの分野にまで進出し多忙を極めるChambersの2005年時点での等身大の姿がここに収められているのだろう。アルバム毎にハードな側面が強く前に出てきていて、正直決して聴き易いアルバムではなくなってはいるが、内容はかなり充実度が高い作品だ。



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