◆Dennis Chambers/Outbreak◆
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Dennis Chambers
Will Lee
Jim Beard
John Scofield
Randy Brecker
Michael Brecker

1.Roll Call
2.Otay
3.Groovus Interruptus
4.Paris on Mine
5.In Time
6.Plan B
7.Outbreak
8.Baltimore, D.C.
9.Talkin Loud and Sayin Nothin
2002年作品


●ESC/EFA-03682-2
●Musicians

Ds.Dennis Chambers
B.Will Lee(1/3/5)/Rodney Curtis(5/9)/Matt Garrison(4)/Gary Willis(2/7/8)
G.John Scofield(2/8/9)/Jon Herington(1/4/5/9)/Nick Moroch(3/5/9)
G.B.Dean Brown(6)
Key.Jim Beard
Perc.Daniel Sadownick/Arto Tuncboyaciyan
Ts.Michael Brecker
Ts.Bs.Bob Malach
As.Aaron Heick
Tp.Randy Brecker/Jim Hynes
Tb.Michael Davis

●コメント●
2002年、実に10年ぶりのソロ名義のアルバムとなる本作がDennis Chambersの2ndアルバムとしてリリースされました。私はたまたま1年近く買いそびれていたのですが、ある意味予想通りといった思いと、はぐらかされたような思いが交錯するアルバムではありますが、これが私のツボに見事ジャストミートするアルバムで、2003年10月時点では、最もハマっているアルバムになっています。「はぐらかされたような」と書いたのは、パワー&テクニック面ではすでに定評のある彼ですが、John McLaughlinのアルバムで聴かせてくれた意外と繊細なJazzドラミングの要素を少し期待していたからに他なりません。残念ながらそういった面はこのアルバムではあまり聴くことが出来ませんが、敏腕キーボード奏者Jim Beardのプロデュースを得て、実に錚々たる豪華なメンバーを揃えたファンク・グルーブ満載の好アルバムとなっています。Beardとは元々Bill Evansのバンドで同僚でもあり、Brecker Brosの周辺での活動でも交流の深いミュージシャンだけに、実に気心の知れた、Chambersの指向する世界をストレートに表現したアルバムに仕上がっているようです。メイン・ゲストとしてBrecker BrosやJohn Scofieldを全面的にフィーチュアし、Will LeeやJohn HeringtonといったBrecker Bros人脈の参加もあり、ホーン・アレンジや音の重ね方の印象としてはとてもBrecker Bros的なN.Y.のハード・フュージョン・サウンドといった仕上がりとなっています。しかし元々ファンカデリック等P・ファンク系から出てきたChambersだけに、アルバム全体は強烈なファンク・リズムのグルーブ・ドライブ感に貫かれていて、そのドライブ感がファンク好きな私のツボをくすぐるのでしょうね。

この1年の間にリリースされたアルバムの中で際立った存在感を感じさせるアルバムとなっている「Randy Brecker/34th N Rex」や「Michael Brecker/Wide Angles」に先駆けてリリースされたこのアルバムですが、彼等とも親交の厚いBeardのアレンジ/プロデュースという事もあり、サウンド・イメージとしてはとてもその路線に近く、バス・サックスの響きを活かしたホーン・アンサンブルも何処かBrecker Brosの雰囲気を色濃く感じさせているのは、単なる偶然ではないように思います。恐らくしばらく鳴りを潜めてはいましたが、N.Y.の音楽シーンの中ではこういった形のハード・フュージョン的なサウンドが再び脚光を集めるようになっているのではないでしょうか。スムース・ジャズの画一的なグルーブとは一味違った躍動的なファンク・グルーブと、以前よりもアコースティックな響きを持った新たなジャズの新主流派的な動きが更に加速してくると、ますます面白い事になってきそうですね。それとこのアルバムでもJim Beardがハモンド・オルガンを多用していますが、近年ハモンド・サウンドを大きくフィーチュアしたサウンドが増えてきているのも実に嬉しいかぎりです。Neil LarsenやRicky Petersonといった元々オルガンを種学期としていたキーボード奏者達を軸にLeon PendervisやBernard Wright、そしてこのJim Beard等も大挙参入してきて活況を呈するオルガン・シーンからも目が話せませんね。

1.Chambersのドラムは本当に重量感がありますね。その重量ドラムとWill LeeのベースのコンビネーションにBrecker Bros.のホーン・アンサンブル&ソロがフィーチュアされたファンク・ナンバーです。2003年8月のライブの余韻さめやらぬ私にはこの手のサウンドは無条件にスンナリと入り込んできてしまいます(笑)。切れ味のよいHerington(G)のカッティングもBeard(Key)のオルガン・サウンドもファンキーな味わいを際立たせていてカッコいいですし、ミュートを使ってのRandyのトランペット・ソロも実に味があっていいですし、Michaelのより音色に幅・厚みが増したソロも豪快そのもので、いかにもBrecker Bros的なテイストのファンク・ナンバーに仕上がっています。

2.音色こそ異なるもののJacoやRoccoを彷彿とさせるWillisのベース・フレーズから、いきなりエキサイティングなグルーブに引きずり込まれるファンク・ナンバーです。Chambers/Willisの重量旧ながらスピード感溢れるファンク・リズムに乗せて、いかにもジョンスコらしい音色&歌い回しのギターがさすがに存在感を発揮しています。Scofieldというギタリストは決して私の好みという訳ではないのですが、この強烈な個性を持った音世界はやはり凄いですね。そして実に気心の知れた、といった風情のバンドのインタープレイも一つの聞き所です。Scofieldのソロの背後では目立った動きは見せませんが、それ以外の部分ではリズム面やダイナミクスを巧く使ったインタープレイが随所に聴かれます。ハーモニクスなどを使った多彩なScofieldのソロは流石ですが、Beardのエレピ・ソロも実にテンション溢れるいいソロをしています。

3.Chambers/Willの重低音リズムの重く跳ねるリズムにBrecker Brosのホーン・アンサンブルがいかにもといった感じで乗っかってくる、21世紀バージョンのBrecker Brosサウンドそのものといった感じでしょうか?RandyやMichaelの2003年の新譜の路線とほぼ同一の感覚を持ったサウンドです。ダイナミクスもトーンも従来の表現の幅をはるかに超えたMichaelのテナーによる妖しげなテーマといいバス・サックス等の低音をきかせたホーン・セクションの音の重ね方といい、まさにそんな雰囲気ですね。Michaelのソロの持って行き方が、以前とは違い音色やフレーズの歌わせ方に重きを置いた構成になっているのがとても興味深いですね。淡々としたプレイを繰り返しているようで微妙に変化を持たせているChambers/Willの重量リズムはやはり凄い存在感ですよ。

4.パワフルなドラムはそのままですが、ダイナミクスを聴かせた何処かJeff Beckの曲のような(Jan Hammer的な?)メロディー、コード進行を持った不思議な美しさを感じさせるナンバーです。そしてやはりこの曲ではHeringhtonのよく歌う泣きのギター・ソロが実に素晴らしいです。90年代2杯ってBrecker Brosの周辺でよくクレジットを見かけるようになったギタリストですが、なかなか音の立つ、存在感十分の実力はギタリストで、注目株の一人ですね。そしてその後を引き継ぐMichaelの豪快かつよく歌うテナー・ソロもまたなかなかのもので、このアルバムの中でも屈指の演奏といっていいのではないでしょうか。

5.これまたChambers/Willのファンク・グルーブの心地よさとBrecker Brosの軽快な切れ味のホーン・アンサンブル、そしてBeardのオルガン・サウンドが実にいい感じで絡み合って、かなり強力なグルーブを生み出しています。ちょっと古い感覚のグルーブとシュールなホーンの響きのバランスがとても不思議な面白さを醸し出しています。そしてここでもMichaelの骨太のテナー・ソロがフィーチュアされていていますが、やはりぐっと音に存在感が増しているのが感じられます。マリハリの効いた強力グルーブも凄いですが、節目節目で翔びだしてくる瀑布のようなドラミングの重量感、音圧は凄まじいものがあります。

6.何か古く懐かしい雰囲気のギターのカッティングによるイントロ・・まるでAwBか、はたまたChicか、といったファンキーなグルーブにRandy Breckerのミュートを使ったトランペットが乗っかると、Randyの独特な音遣いと相まって、実に不思議な雰囲気になってしまいます。御機嫌なグルーブとサイケ調のRandyのプレイ、そしてこの曲だけ参加しているDean Brownのワウを使ったギター・ソロがまたいい味をつけ加えています。以前は結構いいリズムを出すギターだな、位にしか思ってなかったんですけど、最近あちこちで聴くBrownのソロはかなり個性的で、存在感もとても大きくなってきてるように思います。Herington同様サイドマンとしては知名度十分ですが、今後のソロイストとしての成長もとても楽しみなギタリストです。

7.エレピの美しいコード進行から一転スピーディなファンク・ビートがChambersによってたたき出され、そのリズムとはまるで無縁のようなシュールな美しさを感じさせるMichaelのテナーが面白い対比を見せるナンバーです。Ds/Bの強力な疾走感を持ったリズムを土台にBeardのエレピを中心にしたキーボード・ワークも冴えています。ここでのBeardのエレピのリズミカルなプレイはバッキングもソロもなかなかHancock的なアプローチではありますが実に素晴らしい内容です。そしてMichaelの怒涛のテナー・ソロがフィーチュアされては、もう完全に聴き手はChambersの思うままですよ(笑)。後半フィーチュアされるChambersの豪快でメロディアスなドラム・ソロも大きな聞き所のひとつでしょうか?私はテナー・ソロの途中でChambersとMichaelだけになった瞬間、鳥肌が立っちゃいました。Michaelの火を噴くように咆哮する2ndソロは壮絶です。私個人としてはアルバム中のベスト・トラックだと思っています。

8.ゆったりと、そしてずっしりと重たいビートを際立たせたナンバー。ここでの昔っぽい音色のエレピ・サウンドもそうですが、一昔前のRock/Funkの雰囲気を感じさせるなかなか渋いカッコ良さを放つナンバーです。しかしここでのScofieldのソロの行き方は、特に前半は何をどうしたいのか私にはよく理解できないサウンドです。後半の泣きのギターは決して嫌いじゃないんですけど、前半のは私にはちょっと理解不能です(笑)。

9.ラストも軽快なファンク・ビートに乗せて再びBrecker Brosのホーン・アンサンブルがフィーチュアされています。先発ソロはBob Malachのバス・サックスのソロですが、バリトンよりも更に馬鹿デカいとんでも無い楽器なんですよ、コイツは(笑)。そしてScofieldのどこか妖しげなギター・ソロ、本当に奇想天外なフレーズやアプローチをノーマルな構成の中に平気で持ち込んじゃう人ですよね。MalachとScofieldの掛け合いというか、絡みが延々と繰り広げる中、他のホーン奏者が次々にしれに割り込んでくるといった、どこか雑然とというか混然とした状態の中フェイド・アウトしていくという趣向のようです。

同じようにファンクからJazz/Fusion系のドラマーとしてはOmar Hakimが大好きな私なのですが、この両者の音のなんと対照的な事でしょう!だからといってChambersの音が決して嫌いな訳ではないのですが、やはりこういう豪快でパワーを前面に出したアルバムを作っちゃうんだな、とちょっとした失望感も確かにありますね。オーソドックスな伝統的なファンク・ビートを叩かせたら、おそらくは現在一線で活躍するドラマーの中でも一番のドラマーだとは思うのですが、そろそろパワー&テクニック以外の面もじっくり聴かせて欲しい気がするからです。Omarのアルバムともじっくり聴き比べてみようかな・・・。


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