◆Getting Even/Dennis Chambers◆

| 1.Fortune Dance |
| 2.The Opener |
| 3.Keep Walking |
| 4.Red Eyes |
| 5.Getting Even |
| 6.Window's Peak |
| 7.Boo |
| 8.Unitl We Return |
| 1992年作品 |
●Pioneer LDC/PUCJ-1002
●Musicians
Ds.Dennis Chambers
B.Anthony
Jackson/Gary Grainger
G.John Scofield/Jimi Tunnell
Key.Jim Beard
Ts.Bob Berg
Perc.Victor Willimas
●コメント●
1980年代半ば、ジョン・スコフィールドのバンドで一躍脚光を浴びることになったDennis
Chambers。ライナーノーツによると、トニー・ウィリアムス、エルビン・ジョーンズやジョン・ボーナム等の名前を挙げているのですが、とりわけビリー・コブハムへの傾倒振りが顕著なようです。若いころは所謂「追っかけ」までしていたほどにのめりこんでいたようです。Billy
Cobham好きというと、Simon Phillipsをすぐ思い出してしまいますが、Dennisもそうだったんですね。それにOmar
Hakimの後任としてStingバンドやマイルス・デイビスからの誘いを断ってまでJohn Scofieldとの活動に拘っていたというエピソードも興味深いです。その後マイク・スターン/ボブ・バーグやビル・エバンス(Sax)のバンド、再編Brecker
Bros、ビリー・シーンとのナイアシン等での活動で活躍を続けているDennisの硬派な側面が十分に前面に出た1stソロ・アルバムです。
曲に寄って主に二つのバンドを使い分けています。
Gary Grainger(B)Jimmy
Tunnell(G)かAnthony Jackson(B)John Scofield(G)が入れ替わり、Bob Berg(Sax)Jim
Beard(Key)Victor Williams(Perc)がほぼ全曲に参加している形です。Bob BergはMichael
Brecker,Bob Mintzer等と同様に1970年代後半からNYを中心に活躍しているテナー・プレーヤーです。かなりアプローチとしてはBreckerに近い感覚があるのでイマイチ目立たない存在ですが、1980年代後半にMike
Sternとの双頭バンドで一躍その名を知られるようになったプレーヤーです。スタジオ盤では彼の本領である豪快に楽器を鳴らしきるプレイ迄は伝わってきませんが、素晴らしいプレーヤーです。Mike
Sternのアルバムにも多数参加していますので、そちらも注意して聴いてみて下さい。Jimmy Tunnellは1990年代の後期のSteos
Aheadのメンバーとして頭角を表してきた人です。ScofieldやSternよりも更にRockフレーバーの強いサウンドですが、NYの中堅ギタリストとして、結構色々なところで名前を見かける人です。確か90年代前半にソロ・アルバムもリリースしていたと思います。Dean
Brown等と並んで用注目のギタリストの一人です。このアルバムでも決して脇役に留まらない奔放なプレイを展開しています。Jim
Beardもアコースティックピアノを中心になかなかモダンで洗練されたプレイを聴かせてくれるのですが、もう少しガツンと来るダイナミズムの様なものがあれば、もっとシーンの前面に出てくる人なんでしょうけど、惜しいです。その作編曲能力の高さや演奏の室の高さで引っ張りだこなのがとてもよくわかる人なのですが、Bill
Evansグループでの来日の折りにもその辺から非常に損していたように思います。二人のベーシストについては、ちょっと辛口のコメントになってしまうのですが、Anthony
Jacksonについては、どうも彼の個性が活きているとはどうも考えにくいです。グルーブ・メーカーとしての強力なうねるようなグルーブがあまり感じられないのは、恐らくChembersの強力なグルーブ、楽曲の中での自由度の問題ではないかと思われます。Simon
Phillipsとのコンビでも非常に大人しいというか、彼の個性がもうひとつ表れていなかったような気がしたのですが、コブハム系の手数・足数の多いドラマーとの相性はあまり良いとはいえないようです。Gary
Graingerについては、Scofieldバンドでもそのチョッパープレイが話題になっていたベーシストですが、音色もそのプレイ自体もあまりデリカシーを感じないベーシストなのですが、ここでもその印象にあまり変化はありません。Jhon
Scofieldのプレイもたっぷりフィーチュアされていますが、やはり彼とChambersの相性は非常にいいようで、Chambersのフレーズを上手く活かしたソロ・フレーズが印象に残ります。音遣いの巧みさばかりでなく、ダイナミクスを活かしたプレイからもJim
Hallの影響が見て取れるような気がしますね。ただどうなんでしょう、リズム感というかタイム感覚のフィーリングがなんとなく私の肌感覚と微妙に合わないみたいで、やっぱりPat
MethenyやMike Stern、John AbervcrombieやJoe Beckといった方が好きみたいです。ちなみにアルバムはScofieldののソロ作を一番多く持っているのですけれど(爆)。Percについては、Chambersと組むのは辛いでしょうね(笑)。マノロ・バドレーナとかミノ・シネルとかの方が空間の拡がりがあっていいような気がしました。
主役のChambersについては十分に彼の特徴がよく伝わってくるアルバムだと思います。基本的には彼はインスト音楽の人ですからVo.もフィーチュアしない姿勢は評価できますが、もう少しアルバム全体にバリエーションが欲しかったような気がします。聞き終わった後に音楽全体というよりも彼のドラミングの印象ばかりが残ってしまうのはやや残念です。やはりドラマーのソロ・アルバムなんだなあ、というのが実感です。サウンドの方向性も、ドラマーとしての彼の志向も好きなだけに、またいつか満を持してのソロ・アルバムを期待してしまいます。できればVictor Baileyあたりと組んで、じっくり聴かせてくれるアルバムを期待してしまいます。
それにしても、何度聞き返してみてもAnthony Jacksonのベースの存在感が浮き出てこないのは、やはり勿体ないです。私的には、Bob Bergのテナーがじっくり聴けるアルバムの一枚として実に貴重なアルバムなんです。Jimmy Tunnellの元気のいいプレイもなかなかお薦めです。個人的にはラストの8.が地味ですが一番好きです。Anthonyが活躍しそうでしないのが唯一残念なのですが。