◆The Crusaders/Healing The Wounds◆
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The Crusaders
Wilton Felder
Joe Sample
Marcus Miller
Steve Lukather

1. Pessimisticism
2. Mercy, Mercy, Mercy
3. Little Things Mean A Lot
4. Cause We've Ended As Lovers
5. Shake Dance
6. Maputo
7. Healing The Wounds
8. Running Man

1991年作品


●GRP/GRD 9638
●Musicians
Sax.Wilton Felder
Key.Joe Sample
G.Steve Lukather/Michael Landau
B.Key.Marcus Miller
Ds.William 'Bubba' Bryant
Perc.Lenny Castro

■コメント■
Joe Sample(Key),Wilton Felder(Sax),Stix Hooper(Ds)のとりアングル体制からStix Hooperが抜けて遂に二人になってしまったCrusadersがMarcus Miller(B)をプロデューサーに迎えGRPレーベルからリリースした作品です。70年代前半〜中盤にかけての銅鑼臭いCrusadersから「Street Life」の大ヒットを経て洗練された方向へ走り始めた彼等、そしてあのバタバタしているようでいて何とも言えない独特のグルーヴを生み出していたStix HooperのいないCrusadersには正直言って全く関心がなくなってしまっていた私でしたが、このアルバムは彼等への関心とは全く無縁の動機で購入したアルバムなのです(笑)。プロデュースに当たっているMarcus Millerのプレイ目的という訳でもなく、Lee Ritenour & Freiendsの映像やLarry Carltonとの共演でSteve Lukather(G)のプレイする「Cause We've Ended As Lovers(哀しみの恋人達)」が収録されており、そこにLukatherが参加しているのが私にとって最大の目玉だったのです(爆)。この曲元々はStevie Wonderの作品らしいのですが、Jeff Beck(G)にプレゼントした曲でStevieによる録音はないらしいという不思議な作品。Beckの「Blow By Blow」に収録されているナンバーです。Jeff BeckをアイドルとしていたLukatherが羅イヴでプレイするのはともかく、Marcusプロデュースの、しかもCrusadersのアルバムで、というのは一体どういった経緯からなんでしょうね?まあ、それはさておき、それ以外にも私にとって興味があったのは、Bob James & David Sanbornの「Double Vision」で取り上げられていたMarcusのオリジナル「Maputo」が演奏されている点なのです。これがMarcus自身の手でどんな風に料理されているのかといったあたりも興味深い点だったという訳です。この曲Marcus自身「Live & More」でKenny Garrett(As)をフィーチャーして収録していますが、Crusadersとの顔合わせでどうこの曲が生まれ変わっているのかというあたりでしょうか。

MarcusととCrusadersという顔合わせは意外にも思われるかもしれませんが、実はJoe Sampleのリーダー作品にはMarcusが参加しているので、おそらくその辺の人脈からと思われます。Crusasersの二人以外はMarcus以下L.A.のセッションマンで周りは固められています。William'Bubba'Smith(Ds)にはStix Hooperのあのグルーヴを期待してみたのですが、やっぱりそれはなかったですね(笑)。そしてSteve Lukatherの参加は「哀しみの恋人達」1曲のみで、それ以外はMichael Landauがギターを引いています。Stix Hooperがいないというだけでなく、Marcusがベースですから、グルーヴ自体に往年のCrusadersを期待してもそれは無理というものですね。FelderとSampleのプレイは確かに個性的で雰囲気がありますけど、特にSampleのプレイは彼自身のリーダー作品でのプレイとの差がほとんどなく、やはりこのサウンドをCrusadersと云われても私などは戸惑いを覚えてしまうばかりです(爆)。

1.冒頭からMarcusのスラップ・ベースが印象的なミディアム・テンポのファンキーなナンバー。Saxとギターのユニゾンで演奏されるエキゾチック&オリエンタルなムードを漂わせるテーマの後はSampleのアコースティック・ピアノによる叙情的なソロ、Felderのテナーによるファンキー・ブロウと続きます。Sampleのピアノは如何にもSampleらしいといってしまえばそれまでなのですが、あまりにも予想通りの展開過ぎてしまう程で面白みは全くありません。Felderのアプローチも旧態依然といった印象です。グルーヴ面でも、やはり私などは頭の隅っこでHooperのドラムが鳴っているんですよね(笑)。Landauのギターをフィーチャーしたエンディング部でフェイド・アウトしているのはちょっと残念。

2.Cannonball Adderley(As)の演奏で有名なJoe Zawinulのオリジナル。数多くのミュージシャンによってカバーされている超有名曲ですが、Jaco Pastorius(B)もよく演奏していましたね。これもゆったりとしたミディアム・テンポのメロウなナンバーとして演奏されています。お馴染みのテーマの後は、またまた自己のソロ・アルバム同様なアプローチのSampleのアコピ・ソロ。Felderのテナーは貫録十分のプレイなのですが、個人的にはやはり70年代前半の泥臭くも豪快そのもののソロが懐かしいですね。Marcusのスラップを多用したバッキングモマンネリっぽくてやや退屈な印象。ここでは絶妙のフィルで頑張るLandauの趣味のよいギター・プレイに注目です!

3.小洒落たボサノバのリズムによるナンバー。テーマこそFelderが吹いていますけれど、事実上Sampleの「虹の楽園」以来の路線を踏襲した作品といっていいでしょう。メロディ・ラインも「あれ?何処かで聴いたような・・・」という感じですし、ソロの行き方も相変わらずの超マンネリ・パターンです。だったらいっそのことFelderにソプラノでの吹いてもらってひたすらメロウにKenny Gを凌駕する位まで行って欲しかった所ですね(笑)。そrにしても随所に工夫は見られるもののMarcusのスラップもこの時期かなり鼻につくようになってきた時期でもありますね(笑)。

4.Stevie Wonder作でJeff Beckの「Blow By Blow」に収められている美しいバラード・ナンバー。コピによる出だしは一瞬おやっと思わせますがLukatherのギターによるテーマが出てくるとやっぱり一安心といった感じがしますね。ギターに続いてテナーでメロを繰り返すというアイディアはいかがなものでしょうね。ソロはSampleの須田カートのきいたアコピ、Lukatherのギター、Felderのテナーとフィーチャーされていきますが、Sampleのソロは原曲を知っているのか知らないのか、どこからこういう解釈が出てくるのか私にはとんと理解できませんね。Jeff BeckフリークのLukatherは、さすがに知り尽くしたナンバーといった感じで解釈、アプローチともに非常に素晴らしい内容のソロを聞かせていますが、Lee Ritenour & Freiendsの映像やLarry & Lukeの羅イヴ、Jeff Beckのオリジナルのイメージに比べるとややがっかりといったところでしょうか?

5.チープな打込リズムを使ったナンバーではありますが、案外かえってこの路線の方がこの時代としてのCrusadersの生き残り戦略としては正解なのかもしれません。いかにもFelderらしいテナーはテーマでもソロでも水を得た魚のように感じられます。途中Marcusのスラップをフィーチャーしたブリッジ部分はなかなかカッコいいなあ、と思ったりもするのですが、その後出てくるSampleのアコピ・ソロには、ほとほと退屈してしまいます。Sampleはファンキーなエレピを弾かせたら右に出る者がいない程の達人なだけに、個人的にはこのアコピに対する妙なこだわりがかえって鼻についちゃうんですよね。かえって途中一瞬聞こえてくるLandauのギター・ソロ、もっとしっかりと聞かせて欲しかった所ですね。

6.Bob James & David Sanbornの「Double Vision」での名演で知られるMarcusのオリジナル。Felderのテナーは予想以上に頑張って原曲の持つ味わいを表現しているように思いますね。しかしアレンジがオリジナルに比べるとやや落ち着きのないリズムになってしまっていることもあって、あのたゆたうような色っぽい原曲のイメージまでには至っていません。そしてSampleはここでもそうなのですが、曲がメロウないい曲だとかえって頑張ってガンガンいっちゃうんですから参っちゃいますねえ。Felderの泥臭くも朗々とした歌との対比を考えての事かもしれませんが、もっとアコピの豊かな響きを活かしたアプローチでいって欲しかったなあ・・・。

7.美しいメロディとサルサっぽいリズムの対比が面白い作品です。ここでFelderはアルトを演奏していますが、メロウな部分でのプレイはどこかGrover Washington Jr.の音のイメージとダブッて聞こえちゃいますね(笑)。安っぽいシンセによるオーケストレーションにはちょっと興醒めしてしまいました。Sampleも確かにマンネリではありますが、こういったリズミカルな曲でのスタッカートのきいたプレイは悪くないですね。それよりも、この全編にわたって鳴り続けるMarcusのスラップは何とかならないものでしょうかね(笑)。重低音をきかせたグルーヴをきかせたプレイも得意なMarcusなのに勿体ない・・・・。

8.最後はなかなかクールでファンキーなナンバーです。ここまでくればもうマンネリだなんだと云っても仕方がありませんね(笑)。個人的にはMarcusのスラップはこういったテンポ/グルーヴでもっともカッコよさが際立つような気がしますね。ただ他の曲でも感じたことではありますが、打込なのか何なのかスネアの音が趣味悪く、尚且つ耳障りなのが残念です。ソプラノ(テーマ)にテナー(ソロ)にとワンパターンながら年季の入ったプレイで頑張るFelderには、とにかく拍手を贈りたくなっちゃいます。この人のファンク・テナーはやっぱり一級品ですよ!!そしてSampleの頑固なまでにアコピにこだわる姿勢にも参りました。今日の活動を見てもそうですが、やはりアコースティックのJoe Sample、というイメージを作り上げたかったのかもしれませんね。ああ、あのカッコいいローズ(エレピ)の音はもう聞けないんでしょうか・・・。

正直言って、決していいアルバムだとも思いませんし、好きなアルバムというわけでもありません(笑)。私にとっては何度聴いても4のLukatherのプレイと6の素材のよさしか印象に残らないアルバムです。全体にゆったりめのメロウなナンバー/演奏が多いのですが、だったら決してスラップ・ベースにはこだわらずに、そうFourplayのような行き方の方がセンスがいいんじゃないでしょうか?プロデューサーとしてのMarcusの失敗作であることは明らかでしょう。なんかけなしてばかりで・・・ファンの皆さん、申し訳ありません・・・。


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