◆Chuck Loeb/Life Colors◆
●このCDの詳細&購入⇒Life Colors

●amazon.co.jpでショッピング情報を見る
Chuck Loeb
Michael Brecker
→→Will Lee
Jim Beard
Bill Evans

1.7th Ave. South
2.John Leslie (For Wes Montgomery)
3.Momento de Luz (Moment of Light)
4.Gravity
5.Springs
6.Blue
7.Life Colors
8.Crayons (For Christina & Elizabeth)
9.Snow Song
10.Water Colors
11.Kali-Au

1989年作品


●DMP/CD-475
●Musicians
G.Chuck Loeb
B.Will Lee
Ds.Perc.Zach Danziger
Perc.Sammy Figueroa
Key.Jim Beard
Ts.Michael Brecker
Ss.Bill Evans
Vo.Carmen Cuesta

●コメント●

 Mike Mainieri(Vib)〜Michael Brecker(Ts.EWI)率いるエレクトリック・サウンドを打ちだしたSteps Aheadへの参加で一躍その名を知られるようになったギタリストChuck Loeb。80年代後半から90年代にかけて元Miles Davis(Tp)グループのBill Evans(Ts.Ss.)グループのライヴ盤等でも大活躍を聴かせたくれたLoebがDMPレーベルに残した2ndアルバムが本作「Life Colors」です。手持ちのCDを整理していたら出てきたアルバムなんですが、私もよくまあこんなマイナーなアルバムを買っていたものです(笑)。久々にトレイに乗せて聴いてみると、NY系の硬派なエレクトリック・ジャズ路線のイメージとは若干違って、ポップでメロウな聴きやすい印象のアルバムといった印象でしたが、よくよく聞き込んでみるとどっこい一筋縄ではいかない曲者ぶりが随所に発揮されていますね。メロディアスな楽曲のコンポーザーとしての力量もなかなかなものですが、クリーン・トーンとディストーション・サウンドを自在に操るエレクトリックでも、アコースティックでの美しい響きも、並大抵ではないLoebのギター・テクニックを十二分に感じとる事ができます!確かに音色やプレイ・スタイルには硬派なJazz路線で鳴らすJohn ScofieldやMike Sternのような強烈な個性は感じられませんが、進むべき確かな方向性さえ踏み外さなければ大化けしそうな予感を感じさせるプレイが随所に見られます。とにかくそのギター・テクニックの確かさと言ったら天下一品ではないでしょうか?上手すぎるが故に敬遠する向きも多いLee Ritenourを思い起こさせる程に、実に安定したギター・ワークを聴かせてくれます。

 そしてその脇を固めるミュージシャン達がまた凄いです!この時期Michael BreckerやMike Stern、Bill Evans等の作品に大きく関わり高い評価を得ていたJim Beard(Key)をはじめ、NY随一の売れっ子ベーシストWill Lee(B)、Michael Brecker(Ts)やBill Evans(Ss)等も実にいいプレイを聴かせてくれています。そしてここで要注目なのが実にシャープで小気味の良いドラミングを聴かせてくれるドラマーZack Danzigerの存在でしょう!一時代前のフュージョン・サウンド的な楽曲/アレンジになってしまいそうな所をかなり彼に助けられているような気がしてなりません。これがSteve GaddやPeter Erskineだったら、やはりそれなりのクオリティには仕上がっていただしょうが、ある意味通り一遍のサウンドになっていたのでは?と思ってしまいます。そしてかつてBrecker Bros.のメンバーだったパーカッション奏者Sammy Figueroaのカラフルで躍動感溢れるプレイも忘れるわけにはいきませんね。女性ヴォーカルをフィーチャーしたナンバーなんかも決して悪くはないのですが、いかにも誰風といった感じでないのにはとても好感が持てるのですが、説得力や存在感といった面ではまだまだといった印象で、こういったインスト系のアルバムでのヴォーカルの使い方の難しさを感じちゃいますね。

1.いかにもWill LeeらしいファンキーなベースとDanzigerの小気味いいドラミングがなかなか新鮮なグルーヴを産みだしていますね。そしてそれに乗ってクリーン・トーンでダイナミクスを十分に効かせたメロディアスなプレイからディストーションの効いたプレイでよく歌うLoebのプレイはさすがですね。ここではLoebとBeardのソロがフィーチャーされていますが、Organ音色のBeardのソロが意外にも普通なのが残念(笑)。やはり彼はピアノの上手い人だけにアコピ・ソロを期待しちゃいますね。

2.イントロからMichael Breckerのテナーをフィーチャーしたメロウ&ファンキーな味わいのナンバー。既にソロ作2枚をリリースしているこの時期のMichaelにしては意外にフュージョン・タッチのソロですが、音色の存在感がかつての物とは比べ物にならないのがはっきり判りますね!ここでのLoebはジャジーなトーンやオクターブ奏法等を駆使してブルージーな雰囲気を出していますが、この人、何をやらせてもきっちりミスなくこなしちゃうんですよね・・・。やや軽めながら切れのいいDanzigerのドラムと野太いWillのベース、Figueroaのラテン・パーカッヨンが曲を通してとっても印象的です。特にWillのベースの存在感はピカイチですね!

3.女性ヴォーカルをフィーチャーした美しいバラード・ナンバー。ラテン系なのかな?このシンガーの声と素直な歌い方は悪くないです。でも演奏が盛り上がってくるにしたがって次第に影が薄くなっていくのは仕方のない所なのでしょうね(笑)。こういった歌物ではWillの名人芸が光りますね!Beardのシンセ・ソロもLoebのギター・ソロも短いながらツボを押さえたプレイを聴かせてくれます。Danzigerはグルーヴの面では今一歩といった感じですかね?figueroaのサウンドのカラリングも絶妙ですね。

4.どこかMainieri〜Steps Ahead風な雰囲気の漂うナンバーですね。テーマ部のたゆたうような感じはDanzigerが今ひとつ加わりきれていないのが惜しまれる所です。リズムを強調したサビの部分ではパワフルなプレイでいい感じなんですけどね・・。Michaelの朗々と吹くテーマと比較的抑え目のソロもも良く歌っていていいのですが、もう少し後の時期のちょっとダークな音色だったらもっと良かったかなあ・・・。いずれにしても決して弾きまくらないLoebのぷれいLoebのプレイって逆に弾けた時を想像すると空恐ろしくなりますよね(笑)。

5.イントロではメロウな感じのMainirtiやBernhardtみたいな感じも漂ってきますが、さりげなくメロディアスなギターによるテーマがなかなか印象的でLoebのコンポーザーとしての才能を感じさせてくれますね。透明感/広がり感のあるトーンでのプレイはここでも歌う事重視でとても落ち着いた味わいを感じさせてくれます。ここではBeardのアコピ・ソロがフィーチャーされていますが、ややバランス的に抑えすぎって感じでしょうか?重い重いWillのベースと小技のきいたフィルを繰り出すDanzigerのドラムもカッコいいです!

6.BeardのシンセとFigueroaのパーカッションをバックにLoebのあこーすてぃっく・ギターが重苦しい哀感を漂わせる説得力に満ちたプレイを聴かせています。Beardの抜群のセンスが実に効果的にサウンドを引き立てていますが、ここでは何よりもLoebの素晴らしいアコースティックでのプレイに聴き惚れてしまいます!やはりただ上手いだけの人じゃありませんよ、この人!この豊かな表現力はマジ只者じゃありませんよ!!

7.ここではJim BeardのJan Hammerばりの打ち込みサウンドとバンド画上手くブレンドされたサウンドを聴く事ができます。この頃は打ち込み&デジタル・シンセ&サンプリング全盛の時代でしたから、こういうサウンド多かったんですが、さすがにBeard、センスいいですねえ!Loebはアコースティックにディストーションの効いたエレクトリックで、思う存分歌いまくています。とは言っても怒濤の弾きまくりというわけじゃないんですよねえ(笑)。

8.ここでもアコースティック・ギターとアコースティック・ピアノ、パーカッションの絡みから曲が幕を開けます。ここでも透明感のあるクリーン・トーンで美しいテーマをじっくり聴かせてくれます。ギター・ソロの後ろでの実に繊細なWillのベース・プレイには注目です!ギター、アコピ、ベースが絡み合い、もつれあいながら美しい余韻を残しながらフェード・挙宇土していくあたりも心憎いですね(笑)。

9.ボサノバやサンバの感覚を前面に出したナンバーです。女性ヴォーカルのスキャットもなかなか効果的ですし、こういう曲ではFigueroaの存在がとても大きいですね!クリーン・トーンでジャジーで滑らかなソロを繰り広げるLoebのギターはまさに完璧といったところでしょう!実にブラジルのさわやかな風を感じさせるような鮮かなプレイは見事です!Beardのソロもいいのですが、録音の加減か低音があまり効いてないのが残念な所ですね。軽すぎず重すぎず、実に巧みにコントロールされたサウンドはめちゃめちゃカッコいいです!

10.ここではエレクトリック・ギターを効果音的に上手く使って、アコースティック・ギターをメインにした一人デュオを披露しています。この人のアコースティック・ギターは本当に凄い表現力を持っていますね!どこか陰鬱で物憂げな音色/フレーズで、音数云々ではない不思議な説得力があるんです。何かこう聴き手のイマジネーションを刺激して視覚化、映像化させてしまうような、そんな魔法をかけられてしまったかのように感じてしまいます。これって一体何なんでしょう?

11.再びアコースティック・ギターをフィーチャーしたナンバー。Bill Evansのソプラノをフィーチャーして、何処となくWeather Report風だったりSteps Ahead風な部分もあったりしますが、Willのスラップ・ベースがそうはさせじと跳ねてます(笑)。Evansのピッチを巧みにコントロールしながら不安定感、浮遊感を演出する上手さは、或る意味Shorterにも匹敵するんじゃないでしょうか?そしてEvansのソロの後にLoebの気合いの入ったディストーション・ギターによるパワフルなソロがフィーチャーされています。この人最後の最後まで一度も超絶早弾きを出しませんでしたねえ。これって或る意味本当に凄い事なのかもしれませんよ!エンディング前のBeardのシンセ・ソロはいかにもZawinul風で笑えます。

 それにしても80年代半ばから90年代にかけて、このDMPレーベルはなかなか面白い企画のアルバムを数多く制作していましたね。私もJohn TropeaやJoe Beck、Warren Bernhardtのアルバムなんかを何枚か持っていますが、残念な事に今日では廃盤&入手困難状態のようで、いかにこういったレーベルの存続が難しい状況なのかが推測できますね。「売れる」物至上主義の業界体質を買えていくには、リスナーも頑張らなければいけませんね。入手を希望される方は中古市場やネット・オークションで根気よく探される事をお薦めします。


Back To ToppageFrom Session