◆Bob Berg/Steppin'◆
〜Live In Europe〜

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Bob Berg

1.Steppin'
2.Terrestris
3.Arja
4.Luce Di Fulvia
5.Secret Life of Plants
6.Untitled(Hidden Track)

1982年作品


Red/123178

●Musicians
Ts.Bob Berg
P.Danilo Rea
B.Enzo Pietropaoli
Ds.Roberto Gatto

●コメント●

 1982年に録音されたBob Berg名義としては唯一となるライヴ・アルバムが本作「Steppin':Live In Europe」だ。1978年に録音されたデビュー作「New Birth」が長い間廃盤&未CD化状態が続いている今日では初期のBergの演奏を聴くことのできる数少ない音源ということができるだろう。本格的にプロ活動をはじめたHorace Silverクインテットの音源も現在なかなか入手が困難なため、ライヴ音源としては1977年のCedar Waltonカルテットでの「1st Set」〜「3rd Set」の三部作に次いで古い音源でもある。80年代半ばにMiles Davisグループに参加して意向のBergのプレイ・スタイルとはやや異なり、モーダルなアプローチはかなり見られるものの、比較的ハード・バップ的な色彩の強い演奏といった印象が強い。本作ではハード・バップ的なプレイから更にモダンなMichael Brecker的なアプローチへと至る過渡期的なプレイを聴く事ができる。

 本作はイタリア楽旅中に現地の逆手ミュージシャンをバックにした比較的小さな開場でのクラブ・ギグを収録した物の様だ。生々しいライヴの臨場感は十分だが、ドラムスの音量がやけに大きくバランス的にはやや難ありといった印象だ。またバックを務める現地のピアノ・トリオだが、Roberto Gatto(Ds)をはじめ今日ではイタリアのジャズ・シーンを代表するミュージシャン達のようだが、いずれもそれぞれの楽器のテクニックはかなりの水準に達している様なのだが、いかんせん若い。グルーヴ=スウィング感よりも熱さ優先で、あからさまなインタープレイや過度な自己主張が目立ち、主役であるBergを引き立てるといった配慮はあまり感じられない。多分にそのせいもあるのだろうが、Bergのプレイも今ひとつ乗りきれていないというか、発展性に乏しい感じがしてしまうのは少々残念なところだ。ライヴ盤としてのクオリティという点では前述したCedar Waltonカルテットでの演奏には遠く及ばないといった印象だ。まあWalton(P)をはじめSam Jones(B)、Billy Higgins(Ds)といった名主達とイタリアの若手では明らかに格違いなのだから当然といえば当然なのだが・・。まあBerg名義としては結局のところ唯一のライヴ作品ということになるので、その意味では貴重な作品ということになるのだが、それ以上でもそれ以下でもないといった所だろう。

1.ドラムのGattoだけをバックにハード・バップ的なテーマを持つナンバーだが、かなりゴリゴリとした硬派な感触のテナー・ソロをたっぷりフィーチャーしている。盛り上がっていってもう一つ弾けて欲しい所だが今一歩の所で踏みとどまってしまっているのが少々残念。ピアノ&ベースが入ってきてからも同様な展開が繰り返される感じで少々冗長な印象は否めない。ここではピアノ・ソロがフィーチャーされているが、これも巧いのだが今ひとつ方向性がよく見えない。Bergのテナーとドラムの掛け合いではGadd風のドラミングに聴衆は大喜びの様だが個人的にはちょっと興醒めしてしまう。ベースもなかなかいいトーンなのだがドラムとのコンビによるリズムが余りにもバタバタと落ち着きがないのが気になってしまう。

2.Horace Silverクインテット以来の盟友Tom Harrellのオリジナル・ナンバー。テーマはやはり二管をイメージした曲の様でワン・ホーンでは少々寂しい感じがしてしまう。Bergのテナーはなかなか豪快なブロウを聴かせているが、ここでもリズムがかなりバタバタしているせいか盛り上がりがイマイチ中途半端な感じなのが残念。ピアノ・ソロに入るやストンとダイナミクスを落としているが、これが出来るのだったらテナーのバックでもそうしてもらえると有り難いのだが(笑)。Bergの様々なアイディアの断片がショーケースの様に紹介されている様な印象が残る。

3.とてもメロウな感じのBergのオリジナル。なかなかいい曲だと思う。こういうメロディをしっかりと勘定移入して吹くBergのテナーの説得力はやはり凄い。ここでのテナー・ソロも朗々とした歌い上げに主眼を置いたブロウに徹していていい。トーンに変化を持たせながら速いパッセージを織り交ぜながらじわじわと盛り上げていくソロ構成はやはり素晴らしい。しかしバックがイマイチ効果的な動きを見せず、単調で平板なバッキングに終始しているのが惜しまれる。テナーという楽器を知り尽くした名手Bergならではのプレイが堪能できるトラックだ。

4.これまた耳に馴染みやすいポップなメロディ・ラインを持つBergのオリジナル・ナンバーだ。ここではピアノが先発ソロをとっているが、ここでの演奏はメロディ・ラインを活かしながらなかなか歌心十分のプレイを聴かせていて悪くない。ベースもなかなかいいトーンでソロに反応したいいプレイを聴かせている。正直なところドラムのGattoが一人張りきりすぎてリズムを乱しているといった印象だ。とにかくドラムとベースの折り合いがあまり良くなくて、終始リズムがバタついている感じになってしまっている。Bergのテナー・ソロもこれでは気持ち良く盛り上がっていけないのも道理だ。ここではそんな事もあってか無理に強引なブロウはせずにいるのがかえって成功している様だ。

5.私は知らなかったが、これStevie Wonderの曲だったんだ・・。いかにもStevieらしいメロディアスな綺麗なバラード・ナンバーだ。ピアノだけをバックにしてのデュオ演奏がとてもいい結果を招いていている様に思う。音が疎な分だけトーン変化を多用してのソロ展開がとてもいい効果を挙げている。ダイナミクスもとても豊かに活かしていてデリケートな表現までじっくりと味わう事が出来るのが嬉しい。

6.オリジナルLPにも未収録でブックレットにも何の記載もない、完全な隠しトラックと言っていいだろう。おそらくこれは単独の楽曲ではなくて、何かの曲の終盤にフィーチャーされていた無伴奏でのプレイを収録したものの様だ。このアルバムの演奏がイマイチである主要な原因はドラムを中心とするリズム面の問題が一番なので、こういった演奏では全く問題なくBergのプレイの真骨頂を堪能することができる。Bergの参加したライヴ/スタジオでの演奏でもいくつか無伴奏の名演奏があるが、これもこの時期のものとしてはなかなかのプレイだと思う。低域から高域までにわたる安定した美しいトーンとピッチ。性格無比の超絶テクニックを駆使してのプレイ、様々なフレーズを引用してのウィットに富んだ、そして歌心十分のプレイ、音符の長さや微妙な抑揚に至まで実に細かい点にまで配慮の行き届いたプレイといえるだろう。これがまだ30才そこそこでのプレイとは恐れ入る。個人的にはアルバム中のベスト・トラックと確信する。

6.

 Roberto Gattoというドラマーは後にMichael Breckerをフィーチャーしたアルバムを制作していたりするのでご存知の方も多いのではないだろか?そちらもアルバムとしては取り立ててどうこうというアルバムとは思わないが、Michael Breckerファンの方にとっては興味津々のアルバムなのかもしれない。本作もBergの若き日の演奏の一コマと割り切って聴かれる事をお勧めする。



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