◆Bob Berg/Short Stories◆
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Bob Berg
Mike Stern
David Sanborn
Don Grolnick
Will Lee
Peter Erskine

1.Friday Night at the Cadillac Club
2.Words
3.Snakes
4.Kalimba
5.Search
6.Maya
7.That's the Ticket
8.Junior

1987年作品


コロンビア/Denon/COCB53528

●Musicians
Ts.Ss.Bob Berg
As.David Sanborn

G.Mike Stern
Key.Don Grolnick /Robbie Kilgore
B.Perc.Will Lee
B.Jeff Andrews
Ds.Perc.Peter Erskine


■コメント■

 Michael Breckerという図抜けた存在の蔭に隠れて意外と注目されつ事の少ないテナー奏者達の中にあって、Bob MintzerやBill Evans等とともに重要な役割を果たしたBob Berg。2002年に惜しくも交通事故でこの世を去ってしまいましたが、実にテナ=らしい豪快なトーンでの圧倒的なプレイは実に個性的で、今後を期待させるに十分な存在魅力的なテナー奏者でした。Horace Silver(P)のクインテットを皮切りにTom Harrell(Tp)とのクインテット等で注目を集め、1978年には1stソロ作「New Birth」をリリース。その後も1982年にライヴ盤「Steppin'」をリリース。1980年代半ばにはAl Foster(Ds)の紹介でMiles Davis(Tp)グループへ参加し、約3年にわたる活躍は後のBergの音楽キャリアに大きな影響を与える事となります。そしてMilesバンドを離れて後、Randy Brecker(Tp)やMike Stern(G)との音楽活動をスタートさせたBergに注目したのが日本のDENONレーベルでした。そのDENONレーベルからは5枚のリーダー作と1枚のベスト盤を発表していますが、本作「Short Stories」は1987年にその第一弾としてリリースされた記念すべきアルバムという事になります。そして本作ではキーボード奏者Don Grolnickがプレイにプロデュースに全面協力している他、盟友Mike Stern(G)が全面参加。そしてNYの実力者Will Lee(B)、Peter Erskine(Ds)がリズム・セクションを務めています。また一曲のみではありますがDavid Sanborn(As)のゲスト参加も彩りを添えています。

 「Short Stories(短篇集)」と名付けれた本作には、バラエティに富んだ8曲が、一見何の脈絡も無い様でいて、とても自然な形で調和を見せています。多様なBergの音楽性のショーケース的な側面も確かに十分に感じ取れるのですが、Bergの男性的で包容力のあるプレイとSternのギターを軸として、まるで一冊の短篇集を呼んでいる様な不思議な統一感を感じる作品に仕上がっています。しかも単なるセッションといった雰囲気以上に全編を貫く生き生きとしたバンド・サウンドがしっかりと感じ取れるのも特筆に値すべき点でしょう。Grolnickのプロデューサーとしての手腕もさることながら、セッション・ワークとは思えない程の躍動感&グルーヴを発揮しているWill Lee/Peter Erskineのコンビの本作への貢献度は計り知れない程の大きさです。そして「Cycles」、「In The Shadows」・・・とバンド色を強めていく一連の作品に比べても決して見劣りしないヒューマンで「熱さ」を感じさせる一作となっています。大抵ならSanbornの参加を意識して聴く私なのですが、それ抜きに純粋に音楽に浸れる一枚です。勿論Berg、SternをはじめSanborn、Grolnick、Will、Erskineの個々のプレイも最高に素晴らしいですよ!

1.冒頭からワイルドなSternのギターがフィーチャーされるシャッフル・リズムののりのいいナンバーです。Grolnickのハモンド・オルガンが実に効果的にドライヴ感を演出しています。勿論Lee/Erskineの躍動感満点のリズムは言うまでもありません。先発するBergのテナーは魅力的な逞しいトーンで縦横無尽のブロウを聴かせています。中低域から高域のフラジオまで、実に楽器が豊かに鳴り響いているのがよくわかります。続くハモンドの名手Grolnickのソロも軽妙な味わいでBergのプレイと好対照を聴かせていていいですね。

2.如何にもSternらしいロマンティックな味わいのイントロから、豊かなトーンで説得力を感じさせるBergのテナーがよく歌うバラード・ナンバーです。甘さ一辺倒でなく、時折ファンキーなアプローチを店ながらも単調で平板なブロウに終始する事のないその語り口はBergならではの個性を存分に感じさせてくれます。ここではGrolnickやSternのソロもなく、エンディングにErskineのドラム・ソロがフィーチャー(フェード・アウトしていきます)されている以外はBergの独壇場といった感じですが、繊細にサポ、決して押し付けがましい印象の無いのがBergの説得力の大きさなのでしょう。

4.ソプラノによるモーダルなテーマが印象的な躍動感に満ちたナンバーです。フュージョンというよりも当時のJazzの主流ともいった感じのサウンドが展開されています。Grolnickのアコースティック・ピアノがJazzの空気感をより強めているばかりでなく、Lee/Erskineのリズムもジャジーでスリリングな動きを見せていていいですね。そのリズムに応え千発するBergはテナーで実にエモーショナルなプレイを展開しています。決してこれみよがしのテクニカルなプレイという訳ではないのですが低域から高域までをくまなく使い、またトーンのバリエーションも折り込みながら迫力満点の見事なプレイです。続くSternもクリーン・トーンからディストーションを使ったトーンを駆使してのシングル・ノート中心のテクニカルなプレイで大きな聞き所を作っています。それにしてもこの二人、実に相性の良さを感じさせてくれますね。

4.当時全盛だったシーケンサーを使ってのパターンを遣いながらも決してそれをイヤミな感じに使っていないあたりが巧いですね。プログラミングにあたっているのはBob Jamesの「Obsession」等でも腕を発揮しているRobbie Kilgoreです。そう言えば何処となくSteps Aheadにも通じる雰囲気を感じるナンバーですね。ここではテーマのアンサンブルに、ソロにとDavid Sambornがフィーチャーされています。先発のSteel Pan風のシンセ・ソロは面白いのですが、やや長く冗長な感じがしてしまいます。続くSanbornのアルト・ソロは、当時のSanbornらしくややジャジーなアプローチですが、続くBergのソロに比べるとやはりやや平板で単調な印象は否めません。比較的コード進行に乏しいこの手の楽曲ではイマイチ本領発揮とはなっていませんが終盤のBergとのエモーショナルな掛け合いは絶品です!こでだけでもSanbornファンには一聴の価値ありでしょう!

5.繊細な味わいのSternのギターとテナーでのデュオから、Bergの暖かみの或る優しい雰囲気が伝わってくる様なナンバーです。トーン自体は逞しくパワフルなトーンなのですが、歌い回しやプレイ全体のどっしりとした安定感から、そんな雰囲気を感じてしまいます。フル・トーンで豪快に鳴り響くテナーのトーンはとにかくBerg最大の魅力と言っていいででしょう。比較的フュージョン的な雰囲気の楽曲ながらSternのギターの響きやErskine/Leeのと触発しあいながらヒート・アップしていくプレイはJazzそのものですね。

6.静かな中にさりげなくシーケンスを使ったナンバーですが、決して強くそれを意識させない音作りが実にいいですね。ここではアコースティック・ピアノの豊かな響きに乗せてBergはソプラノでゆったりと浮遊感を感じさせるプレイを展開しています。淡々とした中に抑揚の効いた味わいがとても個性的です。それにしても1981年の復活後のMilesグループはBill Evans、そしてBob Berg、Kenny Garettと素プアのの名手を排出していますね。

7.これもシーケンスを使ったいかにもありきたりのフュージョン・サウンドといった出だしではありますが、Bergのテナー・ソロが翔びだしてくると、なかなか硬派なJazz的な世界へと雰囲気が一変します。Erskineのプッシュも効いている感じですね。そしてそれはSternのディストーションの効いたソロで更に一段と盛り上がりを見せていきます。そしてこの終盤のSternの暴れっぷりは本作の中でも際立ったプレイとなっています。Sternファンもこれには興奮しちゃいますね!

8.どこかおっとりした雰囲気を漂わせたR&B/ファンク感覚を持ったポップなメロディのナンバー。とはいってもシンプルな中にも決してファンキー・ブロウだけでは終わらないBergですから、じわじわと盛り上げていってくれます。Bergのソロとは対照的に訥々とした味わいを見せるGrolnickのアコースティック・ピアノ・ソロもなかなか素晴らしい出来映えを効かせてくれています。

 Bergの死後、彼の作品が次第に入手し辛くなっていく中、「完全限定生産」ではありますが、このDENON時代の一連の作品の復刻は実に嬉しい限りです!Chick CoreaのStretchレーベルからの作品ももっと手軽に入手できる様になるといいんですけど・・・・。ちなみにStretchレーベルからの一連の作品ではBerg〜Stern Bandでも叩いているDennis Chambersがドラマーを務めています。


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