
| 1.You and the Night and the Music |
| 2.Summer Wind |
| 3.Michelle |
| 4.Just in Time |
| 5.My Man's Gone Now |
| 6.All the Way |
| 7.No Trouble |
| 8.It Was a Very Good Year |
| 9.I Could Write a Book |
| 10.It Could Happen To You |
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●ユニバーサル・ビクター/Stretch/MVCL-24004
●Musicians
Ts.Ss.Bob Berg
P.Dave Kikoski
B.Ed Howard
Ds.Gary Novak
G.Mike Stern(7/10)
Tp.Flh.Randy Brecker(5/9)
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1997年、Bob BergがChick Coreaの主宰するStretchレーベルに残した最後の自己名義のアルバムが本作「Another Standard」だ。タイトルからも解るように、Bergにとっては唯一となるスタンダード作品集だ。実は邦題が「あなたと夜と音楽と〜アナザー・スタンダード」となっていたため、ありきたりのスタンダード作品集と勝手に思い込んでしまい、Bergの死後になってようやく聴いた作品なのだが、これが実に素晴らしい内容なのだ!とにかく月並みなスタンダード集等にはない、勢い、躍動感、創造に賭ける並々ならぬ意欲に満ち溢れている作品なのだ。その1曲1曲にBergとKikoskiが施したアレンジからもその姿勢がダイレクトに伝わってくる。Bergのテナーの豪快な鳴りも際立っているし、Bergの右腕としてのKikoskiのプレイも進境著しい。 1.スタンダードの名曲が見事に躍動感いっぱいのコンテンポラリーなアレンジで返信を遂げている。ぱわふるではあるが決して力みを感じさせないBergの余裕すら感じさせるブロウはまさに圧巻だ。そしてKikoskiおダイアイックなピアノ・プレイもテクニック、パワー、センスが絶妙のバランスで実力派の面目躍如と言ったところだろう。そしてここではNovakのドラム・ソロもフィーチャーされているが、これまた個性満点のドラミングで秀逸だ。 Dave WecklやDennis Chambersなんかの亜流といった扱いをされる事の多い彼だが、Howerdのベースと組んでの独特のぐるーヴ/スウィング感は決して侮れない物がある。実に複雑なアレンジを一糸乱れぬアンサンブルとエモーショナルなプレイで聴かせる見事に呼吸のあったカルテット・サウンドは実に強力そのものだ。 2.一転ゆったりと大らかに優しいブロウを聴かせるBergのプレイは、Coltraneの「Ballad」を思わせる様な説得力を感じさせるプレイだ。オーソドックスな表情をたたえたKikoskiのピアノ・ソロの後のBregのテナー・ソロにもColtraneのプレイに一脈通ずる物を感じさせられる。よくMichael Breckerの亜流といった声も耳にするが、Mある意味Michael以上にColtraneの傾倒を感じさせられるプレイと云っていいのではないだろうか?1と3に挟まれて少々地味な印象ではあるが、Bergの類い稀なバラード・プレイにおける才能の高さを示す演奏だ。 3.本作中の目玉の一つと言っても過言ではない秀逸なアレンジが施されたトラックだ。ビートルズの作品の中でも美しいメロディを持つバラード・ナンバーとして有名な曲に新鮮な解釈を持ち込んだトラックと言っていいだろう。Kikoskiの美しくもテンション感のある素晴らしいピアノ・ソロ、どっしりとした豊かなトーンでのHowardのベース・ソロと、いずれも十分に聴き応えのあるプレイだ。そして最後に登場してくるBergのテナー・ソロはフェード・アウトしていくのが残念だが、高速フレーズを織り交ぜながらの安定感十分のプレイで貫録十分と言った所だろう。 4.これまた実にユニークなアレンジが施されていて、うっかりするとテーマのフレーズすら聴きもらしてしまいそうになる程だが、そのソロ自体は軽快にスウィングするリズムに乗せての比較的オーソドックスなBe-Bopに根差したプレイと云っていいだろう。かつてHorace SilverやCedar Waltonのグループで鍛え抜かれたスタイルをベースにモダンなイディオムを盛り込んだソロのアプローチは時代の寵児Michael Breckerとも確かに共通する部分の多いこともしっかり見て取れる。伝統的なスウィング感とモダンな手法のバランスに非常に優れたKikoskiのピアノ・ソロもまたBergに負けず劣らず見事なプレイだ。終盤Berg〜Novakの掛け合いをフィーチャーしてヒート・アップしていき、はぐらかすようにクールに抑えたテーマ演奏に持っていくあたりの展開もまたしたたかだ。 5.これまたゆったりと大らかに歌い上げるBergのテナーの表現力の高さが発揮されたナンバーだ。サビの部分にRandy Breckerのトランペットをフィーチャーしてコントラストをつけているアレンジもなかなか秀逸だ。ここでのBergのテナー・ソロの展開もまたColtraneの影響を色濃く感じさせるプレイとなっている。トーンといい展開といいBergならではのColtrane解釈の様な物が透けて見えてくる。Randyのトランペット・ソロはいつも通りといえばいつも通りなのだが、非常に安定感のある元気なプレイで調子の良さがうかがえる。最後にKikoskiの美しいピアノ・プレイでしめくくるあrたりのアイディアも見事だ。 6.これまたBergのテナーによる珠玉のバラード・プレイが堪能できるナンバーだ。Bergのバラード・プレイはMichael Breckerのそれと比べると一見クールにも感じるが、その感情移入の深さというか、こめられた想い、美意識の大きさは十二分に聴き手の胸に迫ってくる物がある。Kikoskiのピアノも非常に繊細なプレイを聴かせているが、ここは正直Bergの独壇場といった感すら受ける。また癖の強いテクニカルなプレイばかりが話題となりがちなNovakのブラシ・ワークを主体とした実に音楽的かつ繊細なドラミングも決して見逃すことはできないだろう。それにしてもやはりBergのColtraneライクなバラード・プレイの深い説得力にはつくづく感心させられる。 7.カルテットにSternのギターが加わっての演奏。これまたSternのコンッテンポラリーな感覚を活かしたアレンジが絶妙だ。テーマのアンサンブル部分とソロだけにSternが加わった形ではあるが、Sternの持ち込む空気なのだろうか、ギター・ソロではKikoski、NovakとSternのスリリングなインタープレイが大きな聴き所となっている。先発のBergのテナー・ソロや後に表れるKikoskiのピアノ・ソロ時のインタープレイとはまったく異なる表情を見せていて面白い。ここでもKikoskiのピアノ・ソロがBerg、Sternと互角のnインパクトを伝えてきて見事だ。まさにこれぞコンテンポラリーなスタンダードといった趣に満ちたトラックとなっている。 8.Frank Sinatraの名唱で知られるナンバーを、これまた斬新な解釈で料理してみせていて実に面白い。ここでのKikoskiの抑制の効いた美しさを放つ序盤からMcCoy Tyner風のモーダルな後半の展開を受けてColtraneの「My Favorite Things」を彷彿とさせる踏み込んだソロ展開を聴かせているBergのソプラノのプレイは凄まじい。ソプラノでのこんなに熱いBergの演奏は極めて珍しい様に思える。Novakの鋭く切れ込んでくるヂラミングも、安定感のあるHowardのベースもぬ毎で,正直Coltrabeカルテットの演奏が現代に蘇ったような錯覚すら覚えてしまう程だ。これまた印象に強く残るトラックとなっている。 9.ちょっとヒネリの効いたアレンジではあるが、原曲の持つほのぼのとした味わいは実にうまく活かされている。ここではRandyのフリューゲルホンが先発ソロを吹いている。いつもの如何にもRandyらしい音遣い満載のプレイながら、表面的なプレイではない、しっかりとした歌心が感じ取れる誠実なプレイといってい位だろう。ここでのBergのテナー・ソロのアプローチはかなりMichael Breckerと共通する部分も感じられるが、同じ様なフレーズを使っているにもかかわらずトーンと歌い回しの違いでこれ程までにテイストが変わって聞えるのは非常に面白い。Kikoskiのピアノも非常によく歌っていていい。決してテクニカルなプレイに流れないあたりがこの人の実力の高さをかえって如実に表している様に感じる。 10.日本盤のみのボーナス・トラック。Kikoskiのピアノが抜けてSternのギターが加わった形でのカルテット演奏だ。確かにKikoskiが居ない分アルバムの流れからイウと少々雰囲気が異なる感じもするが、Sternファンならばこの一曲のために日本盤を購入する価値は十分だ。かつて共に双頭バンドを率いていた盟友二人の実に久々の共演という事になる。。独特の繊細なタッチでテクニカルなフレーズを紡ぎ挙げていくSternと歌心満点に朗々と歌い上げるBergと、それぞれ互いの持ち味を存分に発揮したプレイはさすがといった所だ。あの伝説の双頭バンドの演奏を彷彿とさせながらも更に円熟味を増した二人のプレイは実に見事としか言い様がない。 凝ったアレンジといい練り上げられた解釈/アプローチといい、誠実に丁寧につくりあげられた非常によく出来たスタンダード・アルバムだと思う。オリジナル中心のフュージョン/エレクトリック・ジャズ的な作品では捉えきれていなかったBergの魅力が実によく表れている。残念ながらこのカルテットによる作品は本作1枚しか残されていないが、グループとしての魅力も非常によく反映されている。このアルバム、ボーナス・トラックを収めた日本版が今日では廃盤状態というのがつくづく惜しまれる。個人的にはBergの代表作、大傑作アルバムと確信する超お薦めの1枚だ。是非、中古店やネット・オークション等で根気よく日本盤を購入される事をお薦めしたい。 |