◆Billy Cobham/Total Eclipse◆

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Billu Cobham
Michael Brecker
Randy Brecker
John Abercrombie


1.Solarization
 a)Solarization
 b)Second Phase
 c)Crescent Sun
 d)Voyage
 e)Solarization-Recapitulation
2.Lunarputians
3.Total Eclipse
4.Bandits
5.Moon Germs
6.The Moon Ain't Made of Green Cheese
7.Sea of Tranquility
8. Last Frontier

1974年作品


●Wounded Bird/WOU 8121
●Musicians

Ds.Perc.Billy Cobham
Perc.David Earl Johnson
Marimba.Sue Evans
B.Alex Blake
G.Cornell Dupree/John Abercrombie
Key.Milcho Leviev
Ts.Ss.Michael Brecker
Tp.Flh.Randy Brecker
Tb.Glen Ferris

●コメント●

 Miles Davisの大問題作「Bitche's Blew」への参加、ブラス・ロック・グループDreamsへの参加、そして一躍その名を轟かす事となるJohn McLaughlin率いるMahavishnu Orchestraへの参加、CTIでの様々なセッションへの参加と70年代のクロスオーヴァー/フュージョン・シーンの話題をさらったスーパー・ドラマーBilly Cobhamの4thアルバム(スタジオ録音としては3作目)にあたるのが本作「Total Eclipse(皆既食)」だ。とにかくその驚異的なテクニック、手数足数の多さといったら他のドラマーの比ではない。ツー・バスでの圧倒的なパワーと怒濤の如く繰り出される超絶技巧の嵐はJazzシーンばかりでなくRockシーンでも大きな話題となったものだ。当時クロスオーヴァーと呼ばれていたエレクトリックを駆使した新しいJazzには否定的であった日本のJazzジャーナリズムでさえ、当時はかなりの高評価を与えていた位だ。勿論それにはMilesやMahavishnu Orch.での活躍が前段にあっての事ではあるが、高校時代足繁く通ったJazz喫茶等でも、このアルバムが大音量で鳴っていたものだ。

 サウンドの路線としてはソロ・デビュー作「Spectrum」や2ndの「Crosswinds」の延長線上といったプログレッシヴ・ロックの影響を強く感じさせるコンセプチュアルなサウンドとなっている。しかし本作はライヴ盤「Shabazz」にフィーチャーされた自己のメンバーによるサウンドを更に突きつめた、かなり高い完成度を持つ作品に仕上がっている様に思う。Jan HammerやGeorge Dukeといったアクの強いキーボード奏者を敢えて起用する事をしなかったあたりにも、Cobhamの意図が透けて見える様に感じられる。Randy & MichaelのBrecker Bros.やJohn Abercrombieのソロを大きくフィーチャーしているのは「Crosswinds」同様だが、作編曲が大きく前進しているためか、全体として受ける印象が非常にスッキリしてきている様に思う。この音数の異様に多いCobhamのドラミングが苦手、という向きも少なくない様だが、単に音数が多いというのではなしに、その音数の多いフレーズによって彼独特のドライヴ感やグルーヴが産みだされている点はまさに驚愕に値する。しかし少なくとも私と同世代のドラマー達に与えた影響は絶大な物がある。得にSimon PhillipsやDennis Chambersといった今日の音楽シーンをリードするドラマー達の多くはTony Williamsと並んでCobhamをアイドルとして育っている様だ。

 Michael BreckerやBrecker Bros.の音楽を知る上でもCobhamの音楽はやはり避けては通れない存在だ。勿論共にDreamsを率いた盟友でもあり、「Crosswinds」、「Shabazz」、本作、そして「Funky Thide Of Sings」と、一連のCobahamの作品群では非常に大きな役割を果たしているからだ。、あたこの時期のMichaelはソプラノやフルートも持ち替えて吹いていた時期でもあり、本作でも珍しいソプラノでのソロがフィーチャーされている。実の所、私がMichaelのプレイを意識する様になったきっかけというのは本作なのだ。そんな意味からも本作は個人的に非常に思い入れのある作品と言える。そしてコンセプト・アルバム路線も本作で一応の完結を見る事になる。

1.5つのパートからなる11分を超える大作組曲だ。アコースティック・ピアノの響きの中から沸き上がってくる怒濤のドラミングに始まるa)ではエキサイティングなAbercrombieのギター・ソロを大きくフィーチャーしている。パワフルなホーン・アンサンブルも強烈なインパクトで迫ってくる。ピアノ・ソロによるb)を挟んでラテン・parかsッ四を活かしたc)はゆったりとした大らかなグルーヴに乗せたGlen Ferrisのトロンボーンが実にいい感じでハマっている。再び強力なホーン・セクションを大きくフィーチャーしたd)ではRandy Breckerの若々しいトランペット・ソロがいい。ここでは再びAbercrombieのギター・ソロもフィーチャーされている。そして冒頭のテーマでのe)でこの組曲は締め括られている。実によく構成された印象に残る大作だ。

2.一転してファンキーなリズムを意識させるリズムが特徴的なナンバーだが、決してイージーなダンス・ナンバー的なアプローチでないのがいい。モダン・ジャズ感覚のホーン・アンサンブルがこのファンク・リズムに乗って実に個性的なサウンドを醸し出している。音数は礼によってかなり多めだが、粒の揃った切れ味のいいドラミングから生まれるそのグルーヴは実に小気味良い。ここでも野太いFerrisのトロンボーンが実にいいソロを聴かせている。

3.メロウな雰囲気のオープニングから骨太のリズムにチェンジ、フルートを加えたホーンによるアンサンブルも実にいい味わいだ。パーカッシヴなアコースティック・ピアノ・ソロや、今日では珍しいMichaelの短いながらJazz感覚の強いソプラノ・ソロ、パワフルなAbercrombieのRockタッチのギター・ソロも、いずれもなかなか聞き応え十分だ。

4.いかにも玩具っぽいチープなリズム・マシン(?)を巧く使って、ここではリズム・セクションだけによる演奏となっている。ギターとベースのユニゾンによるテーマの後はCobhamのドラム・ソロ、Blakeのワイルドなベース・ソロ(エレクトリック)、Abercrombieのギター・ソロがフィーチャーされている。BlakeのソロはちょっとStanley Clarkeっぽい部分もあるが、それよりももっとJazz的なワイルドさを感じさせてくれてカッコいい。

5.ずっしりと重厚なリズムに時折怒濤のタム&スネア・フレーズの嵐を織り交ぜながら、ホーン・セクションの導くブラス・ロック感覚のテーマと実にいい感じのマッチングを見せるナンバーだ。ここではゲストのCornell Dupreeのワウを使ったギター・ソロがフィーチャーされている。如何にもDupreeらしい泥臭いファンキーなフレーズが妙にピッタリ来るのも面白い。それに続くのはMichaelの野太いテナー・ソロだ。ファンキーなブロウとクロマチックをうまく組み合わせてのソロ構成はどっしりとした安定感を感じさせるプレイだ。そして今度はAbercrombieのDupreeとは対照的な音色&音遣いを際立たせたソロをフィーチャーしていて、これもなかなかの聞き所だ。

6.アコースティック・ピアノだけをバックにRandyが朗々と吹くメロディが印象的なナンバーだ。わずか一分足らずの短いナンバーだが、パワフルでドラマチックな楽曲の間でちょっと寛いだ瞬間を巧く演出している感じだ。

7.幻想的なピアノの響きの中からパワフルかつドライヴ感のあるリズムが沸き上がってくるが、曲調としてはアルバム中最もJazz的な印象の強いナンバーとなっている。ここでもMichaelのテナーがなかなかJazz感覚に満ちたソロを披露している。お得意のフラジオを使ってのファンキー・フレーズや高速フレーズも実にバランスよく構成されていて見事だ。続くエフェクトを使いながらのエレピ・ソロも、いかにも70年代っぽくて懐かしい(笑)。Crombieのギターとエレピの絡みを活かしたソロもJazz的な感覚でなかなかスリリングだ。終盤はエレピと指弾きのベースを使って冒頭で提示されたテーマを演奏して締め括っている。これも10分を超える長尺な演奏ながら聞き応え満点だ。

8.アルバムのラストはCobhamのドラム・ソロをたっぷりと堪能できるソロ・パフォーマンスだ。長いドラム・ソロは苦手な人には少々辛いかもしれないが、Cobgamのテクニックもさる事ながら、その見事な構成力は単なるテクニック至上主義のドラマーとは片付けられない内容が詰込まれている。前半〜中盤にかけては怒濤のドラム・ソロ、終盤はピアノ・ソロで締め括っている。アルバム全曲をCobham自身のオリジナルで構成している点も驚きだが、その楽想の豊かさ、幅広さにも驚かされる。全体的にJazz/Rockテイストが強いが、停留にはクラシック音楽もしくはそれと相通ずる物が流れている様な印象が強い。アルバムの最後にこういったトラックを持ってくる大胆ともいえるチャレンジ精神も立派。

 個人的にはやはりCobhamはこのAtlantic時代が一番輝いていた様に思う。その後CBS/Columbiaに移籍して以降はあまり魅力を感じなくなってしまった(少なくともアルバム・レベルでは)。近年は亡くなったTony Williamsの代役的にHerbie HancockやRon Carterとのトリオでもプレイしているので、興味のある方は是非聴いてみて頂きたい。そこには本作等とは全く異なるCobhamのプレイが収められている。


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