◆Push/Bill Evans◆

1.Push
2.Road to Ruin
3.If Only in Your Dreams
4.London House
5.Nightwing
6.Stand up and Do Something
7.The Hobo
8.You Gotta Believe
9.Life Is Dangerous
10.U R What U Hear
11.A Simple Life
12.Matter of Time
1994年作品


●Lipstick/LIP-89022-2
●Musicians
Ts.Ss.As.Key.Bill Evans

P.Bruce Hornsby/Hilary James
Key.Michael Colina/Cliff Carter/Philippe Saisse
G.Chuck Loeb/Jeff Golub/Nick Moroch
B.Victor Bailey/Marcus Miller/Mark Egan/Chris Minh Doky
Ds.Bill Ward

B.G.Ds.Perc.Max Risenhoover

Vo.Margot Adler/Porter Carroll, Jr./Blackstar/ K.C. Flight/Benny AdlerHorn.Michael Davis/Dave Stahl/Gary Smulyan/Chris Botti/Conrad Herwig/Barry Bryson

■コメント■
 1994年にリリースされたBill Evansのこのアルバムには驚かされました。いつものように、エレクトリックは使っているだろうし、ロックやファンクのビートもすでに、決して珍しくはなかったので、いつものようにそんな上でゴリゴリ吹きまくってるんだろうな、位にしか考えずにCD店で購入してCDトレイに載せて音が出た瞬間、唖然茫然、思わず口が開いてしまいました(笑)。打ち込みのビートにラップまで出てくるじゃありませんか!!それに音の印象もいかにもクラブ等でかけるのに剥いたサウンドに作り込んであるものですから、アレアレ、Evans君、どうしちゃったの?って感じでした。いやいや、これがイケナイというのでは決してありませんが、今までここまで徹底してくれたJazzプレイヤーというのはHerbie Hancock位しか思いつかなかったものですから・・・・。まあ、ポップな路線を打ち出してボーカルをフィーチュアしたり、という手法はことフュージョンが全盛になってからは、かなり多くみられましたが、Evansのように比較的硬派とみられていたミュージシャンでは非常に珍しい大転換ではなかったでしょうか?まあ、勝手に「硬派」というレッテルを貼っていたこちらの勝手な思い込みな訳だったのですがね(笑)。考えてみたら、あの自由な発送で知られるMiles Davisグループで長年フロントマンを務めていたわけだし、同僚にMarcus Millerなんかもいたわけですしねえ。それに90年頃には先に名前を出したHerbie Hancockのヘッド・ハンターズ2にも参加していたりするわけですから、何の不思議もないわけですよね。

 しかしよくよく聴いてみると、チープな響きとみせかけておいて、曲によってはChriff Carter(Key)やPhillippe Saisse(Key)をサウンドメイクの要にしたトラックがあったり、V.Bailey/M.Miller/M.Eganといった日頃から演奏を友にしてきたベースを要所に起用していたりと、実に贅沢な作りで細かいところまでつくり込んでいると行った事がよくわかってきます。そしてEvansのサックス自体はそれまでに持っていたBN東京での2枚のライブ盤と、空気こそ違うものの、硬派なスタイルに大きく替わりはありません。確かにソプラノをメインにした曲では、非常に透明感のある音色でメロウに、時にはGrover Washington Jr.かと思うような節回しを聴かせたりもしていますが、元々彼のソプラノでのバラード・プレイは透明感のある美しい部分とファンキーでソウルフルな節回しが同居していたようなところがあったので、まあ、それほど違和感はありませんでしたが。そしてゲストに何とBruce Hornsby(P)まで迎えちゃったりもしてるんですよね。

 曲毎の印象というよりもアルバム全体の印象としては、昨今流行している、いわゆるスムース・ジャズの走りみたいな部分も随所に聴くことができますが、そこにばかり目を奪われていると、意外に芯の通った、腰の据わったサウンドを見過ごしてしまうかもしれません。正直言って、スムース・ジャズの中にも色々あって、結構、玉石混交だっやりもするのですが、その辺に転がっているその手の音楽よりははるかにJazzのスピリットに満ちているように感じます。そして、結構なヒットを収めたこのアルバムのツアーの際に録音されたヨーロッパでのライブ盤「Push Live In Europe」も、このアルバム以上の迫力を持ったライブ・サウンドで迫ってきて場決して悪くはありません。音楽というのは、朝から晩まで、様々なシチュエイションに応じて聞込んだり、聞き流したり、そういう部分もあっていいわけで、「Rockじゃなければ音楽じゃない」とか「やっぱJazzしかないね」とかいった了見の狭い発想では豊かな音楽生活は送れないわけで、ドライブ中のBGMにしても昼と夜、渋滞した一般道と飛ばせる高速道路とではすんなり入ってくる音楽も自然変わってくるわけですし、そんな意味では非常に懐の広いJazzミュージシャン達が、こういったアプローチを試みる事自体決して間違っているとは思いません。そして、たまにはこういう音楽を聴くことによってRapやヒップ・ホップ等の音楽に対しても余り抵抗感がなくなっている時分に気がついたりもします。まだまだ、狭い了見でしか音楽を聴けない私の貧困な感性には、こういう音楽も必要なのです(爆)。

 脱線しっぱなしですが、このBill Evansの2001年リリースのアルバム「Soul Insider」というアルバムにもまた驚かされました。何がかというと、当代随一のオルガン奏者Ricky Peterson(Key)との共演まで実現しちゃってるんです。この一見とんでもないムスマッチの様に見える顔合わせ、皆さんはどのように聴かれるでしょうか?機会があれば、またその辺のアルバムをUpしてみようと思っています。なんかアルバムの内容よりも勝手なことばかり欠いちゃってすみませんでした。


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