◆Barry Finnerty/New York City◆
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Barry Finnerty
Mark Gray
Randy Brecker
Michael Brecker

1.New York City
2.Hangtime
3.Love In Vain
4.I Found A Lady
5.Just My Luck
6.Stonescape
7.Love Far Away
8.Dawn Of A New Day
1982年作品


●Victor/V
IJ-28020(LP)
●Musicians
G.Key.Vo.Perc.Barry Finnerty
Key.Mark Gray
B.Will Lee/Tim Landers/Neil Stubenhaus
Ds.Buddy Williams/Richie Morales/Vinnie Colaiuta
Perc.Carol Steele/Rafael Cruz/Sammy Figueroa
Tp.Randy Brecker/Lew Soloff/Mac Gollehan
Sax..Michael Brecker/Bob Mintzer/Denny Morouse
Tb.Barry Rogers
Vo.Sally Fox/Maggie Swank

●コメント●
 
1978年に発表されたBrecker Bros.のライブ盤「Heavy Metal Be-Bop」の衝撃は今も忘れることができません。そしてこのアルバムでパワフルなギター・ソロをたっぷり披露してくれたBarry Finnertyの名前は一躍シーンで知れ渡るようになったのです。そしてその後も「Detante」「Straphangin'」に参加。そして1980年代二波入り復活を遂げたMiles Davisの新作に抜擢され、Barryの名前はますます轟きわたることになったのです。しかしMiles Davisの復活ツアーのオファーを受けながらもギャラの高いCrusadersのツアーに参加した事から、Mike Stern(G)がMilesバンドのレギュラーとなり、その注目度を一挙にSternに奪われてしまったあたりからどうも歯車が九類始めたように思います。しかし、そうはいってもN.Y.でもL.A.でも引っ張りだこのギタリストであったことには変わりがなく、N.Y.ではBrecker Bros.の周辺で、L.A.ではCrusadersの周辺での活躍は80年代半ばまで続いていたようです。しかし80年代後半以降はシーンの表舞台で彼の名前を見かける音はめっきり少なくなり、Billy CobhamのアルバムやSteve SmithのVital Information等でたまに見かけた記憶がある位です。

 このアルバムは1982年、いわば彼の絶頂期をとらえて発表された1stリーダー・アルバムです。Randy & MichaelのBrecker Bros.はもとより、Mark Gray(Key)やRichie Morales(Ds)といったBrecker Bros.での同僚、Will Lee(B)Buddy Williams(Ds)Sammy Figueroa(Perc)Bob Mintzer(Ts)Barry Rogers(Tb)といったN.Y.音楽シーンの売れっ子ミュージシャンがBarryの門出を祝福しています。そしてL.A.からもVinnie Colaiuta(Ds)Neil Stubenhaus(B)といったミュージシャンが参加しており、実に豪華なメンバーとのレコーディングとなっています。実際、この素晴らしい仲間達と実に多彩なBarryの音楽が詰め込まれています。ボーカルもなかなかのものですし、ギターもエッジのきいたロック・センス溢れるアプローチからマイルドなトーンでのジャジーなプレイ、ファンクやR&Bの影響までもたっぷりと聴かせてくれています。曲もほとんどが彼の作品のようですが、なかなかの作曲センスを持ったミュージシャンであることも十分うかがう事ができるアルバムです。しかしやはりデビュー作から全ての作編曲、プロデュースと全てを完璧にというのは無理な話だったのでしょう。セールス的な部分もそうですが、やはり音楽の全体像を冷静に見つめる第三者(もしくは再三者的な)の視点が必要だったのではないでしょうか?私自身このアルバムは結構好きなアルバムなんですけど、いまひとつインパクトに乏しい印象はやはりぬぐいきれないものがあります。

 1.N.Y.の街の喧騒を切り裂くファンク・ビート。そしていかにもBrecker Brosといったホーン・セクション&コーラスがN.Y.の空気をストレートに伝えてくるようです。Barry自身のボーカルと短いギター・ソロをフィーチュアしていますが、ソロとしてはやはりMichael Breckerの豪快なソロとMichael & Randyのチェイスがやはり圧倒的に強烈な印象で残ります。ギタリストとしてよりもシンガー、作編曲にウェイトをおいたスタンスが感じられます。

 2.ジャジーでマイルドなトーンによる軽快でよく歌うBarryのギターがテーマからソロまでたっぷりと楽しめるナンバーです。リズムや曲想等は、どこかGeorge Bensonを思わせる程に流麗で、意外な(?)程メロウな彼の側面を見せられた思いがします。さりげなく背後で鳴っているホーンやコーラスも押し付けがましくなくて、そのアレンジ・センスはかなりの物と思います。

 3.ポップでメロウなバラード調のボーカル・ナンバー、と思いきや途中でMichael Brecker(Ts)の流れるようなロング・ソロをフィーチュアしていて、これがカッコいいです!この曲はボーカルを聴かせる曲なのかと思ったらMichaelのソロに続いてBarryの負けず劣らず歌心満点のソロも登場!いやあMichaelのソロの直後に自分のソロを突っ込むなんて余程自身がなければ出来ない芸当ですよ。そしてそのソロがまた実に素晴らしいときてますから、もう凄すぎます!Will Lee(B)/Buddy Williams(Ds)のコンビが流石といったツボを心得たプレイでしっかり支えているのも忘れてはいけないでしょう。

 4.ホーン&コーラスを贅沢につかったファンク風のポップなボーカル・チューンです。曲としては非常にコマーシャルな線を狙ったもののようですが、間奏の短いギター・ソロ以外にこれといったソロもフィーチュアされているわけでもなく、ちょっと平板で退屈な曲になってしまっています。

 5.この曲、静かな中にもなかなか凝ったつくりで好きな曲です。ボーカルもなかなかいいですし、トーキング・バッグなんかの使い方も上手いですね。Barryのソロもいい感じで泣いていて味がありますし、押さえ気味に聞こえるホーンもなかなか効果的でいいですね。Randy Brecker(Tp)の短いソロもムーディーでメロウなマンハッタンの夜を感じさせてくれるようです。

 6.ちょっとコミカルな感じさえ受けるチョッパー・ベースとタイトなドラムに乗せてトリッキーなテーマをBarryが奏でる不思議な曲です。何かこのベース・ラインってスーパー・マリオみたい(笑)。ちなみにここではNeil Stubenhaus(B)Vinnie Colaiuta(Ds)のL.A.コンビがリズムを担当しています。途中短いColaiutaのドラム・ソロがフィーチュアされています。ベースの動き方なんか聴いていると、この当時LAでStubenhausが売れっ子だったのが何かうなずけますね。Barryのソロはちょっと高性的にもメリハリ部作かな・・・。

 7.インストによるバラード・ナンバーです。なかなか聴かせるいいメロディーですね。ソロは一転してエッジの効いたロック・フレーバー満点のアプローチで面白いですね。以前、このアルバムを聴いたギタリストの友人が、「このギタリスト名前知らないけどメチャメチャ巧いなあ!」って驚いてたのを思い出します。きっとギタリスト諸氏は思わず唸っちゃうようなテクニックが隅々にちりばめられているんでしょうね。

 8.ストレートなギター・トーンでドラマチックな印象さえ受けるメロディーを悠然と弾くFinnertyには風格さえ感じてしまいます。エンディングをこんな感じのスローなナンバーでじっくり聴かせようなんて、普通ノギタリストがデビュー作で考えることじゃないですよね。Barryのロック感覚がとてもよく表れたプレイをじっくり味わいながらフェイド・アウトしていきます。アルバムの殆どを担当しているTim Landers(B)もいいですし、Buddy Williams(Ds)も曲を見事に演出するドラミングで貢献しています。

 1970年代後半〜1980年代前半、数多くのスタジオ・ミュージシャンがソロ・アルバムをリリースし、注目を集めましたが、このBarry FinnertyはMike Sternと並び次代を担うギタリストとして嘱望された才人です。この後やはり日本国内での企画で「Lights On Broadway」というアルバムをリリースしています。これも決して出来の悪いアルバムではないのですが、本作同様、あまり大きな話題にならずに終わってしまいました。今改めて聞返してみると、Barryの溢れんばかりの才能がいっぱいに詰まっているように思います。是非ともCD化して再発してもらいたいアルバムの一つです。


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