◆V.A./A Guitar Supreme◆
〜Giant Steps In Fusion Guitar〜
●このCDの詳細&購入⇒至上のギター_ジャイアント・ステップスイン・フュージョン・ギター

●amazon.co.jpでショッピング情報を見る
Mike Stern
Steve Lukather
Robben Ford
Larry Coryell
Frank Gambale
Tom Brechtlein
Alphonso Johnson
Larry Goldings
→  

1.Eric Johnson "Resolution"
2.Jeff Richman "Afro Blue"
3.Steve Lukather "Crescent"
4.Greg Howe "Giant Steps"
5.Mike Stern "My Favorite Things"
6.Frank Gambale "Naima"
7.Greg Howe "Mr. Syms"
8.Jeff Richman "Central Park West/Your Lady"
9.Mike Stern "Equinox"
10.Robben Ford "Village Blues"
11.Frank Gambale "Lazy Bird"
12.Larry Coryell "Satellite"

1998年作品
キング/KICJ-478

●Musicians●
Greg Howe/Jeff Richman/Frank Gambale/Eric Johnson/
Mike Stern/Larry Coryell/Steve Lukather/Robben Ford
B.Alphonso Johnson
Key.Larry Goldings
Ds.Tom Brechtlein

●コメント●

 「至上のギター〜ジャイアント・ステップス・イン・フュージョン・ギター」とは、何とも如何にも仰々しく、いかがわしささえ感じるタイトルではないだろうか(笑)。そんな事もあってついつい購入を先送りにしていたアルバムだったが、とうとう手をだしてしまった(爆)。それぞれ1〜2曲ずつとはいえ、Steve Lukather、Mike SternにLarry Coryell、Roben Ford等が大挙参加とあれば、やはりタイトルだけでいつまでも敬遠している訳にはいかない。しかしJazzの神様とも言われるJohn Coltrane(Ts.Ss.)へのトリビュート・アルバムだったとは驚きだ。Coltraneの最古請作との呼び声の高い「至上の愛」やAtlantic時代の名作「Giant Steps」から取ったタイトルだったとは・・・。

 ほとんど何の予備知識も先入観も無く聴いたせいかもしれないが、正直それなりに楽しめる内容を持ったアルバムと感じた。というのもフィーチャーされているギタリストのプレイばかりに目を奪われがちだが、全曲でしっかりとした土台となるリズム・セクションを務めている顔触れがまた凄いのだ。元Weather Report(Jacoの前任者)として知られるAlohosnso Johnson(B)、Robbe FordやChick Coreaとの供宴で知られるTom Brechlein(Ds)、David SanbornやMichael Brecker等との供宴で知られるLarry Goldings(Org.Key)と実に豪華!彼等なら「お仕事モード」であったにしてもそれなりの音のクオリティは十分に期待出来るのは、改めて言うまでもないだろう。選曲やアレンジについては、このプロジェクトの中心人物であり演奏者としても参加しているJeff Richmanによるらしい。選曲については特にこれといった脈絡がある訳でもなく、またアレンジも如何にも「フュージョン」といった感じのイージーな感じもなきにしもあらずだが、この手の企画物にわざわざそう目くじらを立てる大人げないだろう(笑)。あのJohn Coltraneのトリビュート・アルバムである事を過剰に意識せずに聴けば、それなりに結構楽しめる内容と言えるのではないだろうか?

 Eric JohnsonについてはG3のライヴ映像のイメージ以上になかなかのプレイを聴かせてくれている様に思う。Jeff RichmanとGreg Howeについては正直あまり聴いた事がないのだが、これもまたきた予想以上の健闘ぶり。LukatherとFord、Coryellについて言えば、選曲やアレンジとのかねあいもイマイチの感は否めない。いずれも一曲のみの参加のため、その点は少々残念ではある。それに比べるとSternとGambaleは2曲とも案外ハマっていて悪くない。Sternに関して言えば、もう少し自由度の高いシチュエーションでたっぷりと聴かせて欲しかったところだ。Goldingsのオルガン・ソロがフィーチャーされている楽曲が多いのでその分だけ主役であるギタリスト達の出番が削られてしまっている。Goldingsのオルガンも決して悪くはないのだが、主役であるギタリスト達の出番を削ってまで大きくフィーチャーする程の個性的な内容という訳ではないのだから。それにしても、やはりJohnson〜Brchleinのリズムは、この手の企画物としては破格にいい出来栄えだ。

1.Steve Vai、Joe Satriani等とのG3での演奏のイメージが記憶に新しいEric Johnsonによるトラック。取り上げられている曲がColtraneの最高傑作として名高い「A Love Supreme」のPart 2というのだから驚かされる。如何にも'Fusion'といったアレンジではあるがきっちりとした誠実なギター・プレイが印象に残る。ここでのJohnsonのプレイを聴いていてつくづくRockとJazz/Fusionといったかつては全く別物だった世界がボーダーレスになってきている事を実感してしまう。ハッタリやトリッキーなプレイは一切なしの、実にしっかりとしたそのフレージングにはとても好感を覚える。それにしてもBrechlein/Johnsonのグルーヴ感いっぱいのリズムは実に生き生きとした躍動感を産みだしていて素晴らしい。終盤のGoldingsのオルガン・ソロはJohnsonの説得力に比べると軽い感じを受けてしまう。

2.このプロジェクトの中心人物Jeff Richmanによるトラックだ。ここではColtraneの代表的名曲「Afro Blue」を取り上げているが、少々アレンジをヒネリ過ぎたキライがあるのは事実だ。せっかくのJohnsonとBerchlineの躍動感のあるリズムにも今ひとつ乗りきれていない感じと、若干フレージングの構成にストーリーが感じられないのは残念な所だ、基本的にはソツのない演奏でしっかりとまとめてはいるのだが、やはりイマイチ強烈な個性が感じられないあたりは致し方のない所か。Goldingsのオルガン・ソロはトーンを巧く切り替えながら、なかなかしっかりとしたソロを聴かせてくれている。

3.老舗グループTOTOのギタリスト/中心人物であるSteve Lukatherによるトラックだ、ここではColtraneの作品の中では比較的地味な存在ともいえる「Crescent」に挑戦しているが、アレンジが如何にもスムース・ジャズ/フュージョンといった感じのイージーな分だけ損している様に思う。しかしながら数々のセッションで鍛え上げられた名手らしくリズム・セクションのグルーヴを巧く活かしたフレージングとお得意のRockフレーヴァーの強い個性的なプレイでしっかりとソロを構成しているあたりは流石だ。間の使い方やフレーズの歌わせ方の巧さはやはりまだまだ若手の追随を許さない貫録のプレイだ。個人的には以前Steve Vaiと雑誌の対談で熱く語っていた「Naima」を聴いてみたかった所だ。

4.Greg HoweによるRock感覚みなぎるトラックだ。ここではColtraneの超有名曲「Giant Steps」に取り組んでいるが、この曲も少々懲りすぎたトリッキーなアレンジといった感じを強く受ける。Howeのギター・プレイは若干粗削りな所は見られるもののなかなかの善戦健闘ぶりを発揮している。ただ歯切れの良いリズム・セクションのグルーヴをフレーズに活かしたりといった部分があまり感じられないのは実に勿体ない。Brechleinのドラミングがかえってその辺りを補っている様に聞える。またGoldingsのオルガン・ソロも、もっとRockタッチの強いソロの方がハマる様な気がする。

5.今日のJazzギター界の中心人物の一人Mike Sternによるトラックだ。ここではColtraneの愛奏曲であるミュージカル/映画「Sound Of Music」からのナンバー「My Favorite Things」を取り上げている。ここでは他のトラックに比べると比較的シンプルなアレンジ処理で、Sternのあの独特のテレキャスターのトーンによる非常によく歌うプレイを堪能できる。テーマでの歌い方からいつものStern節は健在で。こういった企画物と言えども全く手を抜かないSternらしい誠実なプレイぶりが印象的だ。前半はデリケートなタッチで歌う事を中心に、Goldingsのオルガン・ソロを挟んで終盤ではトーンを切り替えて次第にジワジワと盛り上げていくプレイを展開している。Sternにしてはややテクニカルな高速スケール等は控え目のプレイだが、それがかえって風格の様な物を漂わせている感じだ。ここでのGoldingsのプレイもなかなかしっかりしたJazz演奏を展開していて実にいいソロを聴かせている。Johnson〜Brechlineの細かな部分でのしなやかなプレイも効いていて、なかなか素晴らしい演奏となっている。

6.Chick CoreaのElektric Bandでの活躍で知られるFrank Gambaleをフィーチャーしたトラックだ。Coltraneのバラードの最高傑作「Naima」という実に美味しい素材を与えられて好演を聴かせている。おオクターブ奏法を使ってのテーマはメロウなスムース・ジャズ風の入りだが、やや甘めのトーンながら非常にしっかりとしたテクニカルなフィンガリングで、実に滑らかに、しっかりと歌い上げている。この人もJazzギタリストとしては決して個性的といった存在ではないが、確かなセンスとテクニックを併せ持った実力派である事を存分にアピールしている。ずっしりと重く手応え十分のJohnsonとメリハリの効いたBrechleinのコンビはここでも実にいいグルーヴを発揮している。

7.再びGreg Howeをフィーチャーしてのブルース・ナンバーだ。ゆったり目のリズムに熨せてGoldingsのブルージーでJazz感覚の強いオルガン・ソロがフィーチャーされていて、これがまたなかなか素晴らしい。そしてその後に表れるHoweのソロは4よりもはるかに素晴らしい出来栄えだ!エッジの効いた存在感十分のトーンで、ややRock感覚の強いプレイながら実によく歌うフレーズでソロを巧みに構成している。やはりこういう企画物では曲の向き不向きもあるだけにこの様に異なるタイプの楽曲を聴けた方がミュージシャンの個性が見えてきやういのかもしれない。そしてここでもJohnson/Brechleinのグルーヴ感いっぱいの好サポートが大きな役割を果たしている。ここでは終盤Brechleinのドラムをも大きくフィーチャーされていて大きな聴き所となっている。

8.今度はJeff RichmanがJazz感覚の強い楽曲/アレンジで聴かせている。この人確かに非常にしっかりとしたテクニックの持ち主と感じるのだが、ソロのフレーズをいくら聴いても「歌」が伝わってこないのが残念だ。ある意味無機的というか、伝わってくる物が至って稀薄な感じとでも言うのだろうか?せっかくのJazz的な土俵もJohnson〜Berechleinのグルーヴ感も、Gpldingsのオルガンのもたらす空間の広がり感や奥行き感も、Richmanのプレイと有機的に噛みあっていないのが残念だ。

9.再びMike Sternをフィーチャーしたトラックだ。少々ファンキーなアレンジが施されてはいるがColtraneの代表的なブルース・ナンバーだ、ここでのSternは序盤はゆったりとBe-Bopフレーズを中心にした構成で、次第に高速のスケールを折り込みながら、あの独特のら旋状に構築されたソロ空間を創出している。終盤はトーンを変えてのお馴染みのRockフレーバーの強いトーンでの個性的なプレイを延々と繰り広げている。Sternファンにとっては丸々一曲たっぷりとStern節を満喫できる非常に嬉しいトラックと言っていいだろう。アレンジについては決してそう褒められたアイディアとは言えないが、Sternをはじめとする超凄腕メンバー達の手腕に救われているといった感じだ。ソロが盛り上がっていくにつれてもっと自由な動きも期待したい所ではあるが・・・。

10.ここに来てようやく名手Robben Fordの登場だ。持ち前の非常に音の立つエッジの効いたブライトなトーンでの粘っこいブルース感覚に溢れたプレイが展開されている。個人的にはこういうイージ=にハネる感じのリズムではなしに、もっとルーズな感じのゆっくりとしたテンポでのFordのプレイが聴きたかった所だ。Fordとは長年演奏をともにしてきたBrechleinがなかなか張りきったドラミングを聴かせているのもなかなか印象的だ。そしてFordのソロの後にフィーチャーされるGoldingsのオルガン・ソロもそう個性的という訳でもないが、なかなか雰囲気のあるソロを聴かせている。そして何と言っても比較的自由に動き回るJohnsonのベースの躍動感がカッコいい!

11.再びFrank Gambaleをフィーチャーしたトラックで、今度はしなやかな躍動感を感じるJazz感覚の強いアレンジに熨せてシングル・ノートでbリバリ弾きまくっているプレイが実にいい。Elektric Band時代からかなりのテクニシャンではあったが、随分とソロの構成も巧みに練れた物へと成長してきているのが十分に窺える。ここでも終盤エキサイティングに盛り上がりを見せるBrechleinのドラミングにもスポットが当てられているが、やはりこの人、本当に巧い!もっと評価注目されていいドラマーだと思う。

12.トリを締め括るのはベテラン中のベテランLarry Coryellだ。正直どこか4の「Giant Steps」に似たようなアレンジで4ビートとHR/HM風の部分を組み合わせた様なあざとい感じのアレンジなのだが、あまりいいアイディアとは感じない。まあRockタッチの演奏からオーソドックスな4ビートまで何でもござれのCoryellだからどんなシチュエーションでもしっかりとそれなりの聴かせ所を心得ているので、それに救われているといった所だろう。あのセミアコでの独特のトーンでジャジーに、ソシてRock感覚溢れるプレイにも本当に楽しそうに適応するCoryellっていう人は本当に若々しく、音楽に対する偏見が全く感じられないのにはつくづく頭が下がる。ここでもGooldingsがなかなか張りきったオルガン・ソロを聴かせているが、個人的にはやはりJohnson〜Brechleinのソロ背後での動きに注目してしまう。エンディング手前でのCoryellの自由な感覚のソロは圧巻だ。

 この手の企画物は普通そう何度も聴き孵す気にはならないのだが、本作は第一印象はさほどでもなかったものの、じっくりと何度か聴いているうちに面白い部分にあれこれ気がついてくる感じだ。Coltraneへのトリビュート作品というには、あまりその空気は感じられないが、Coltraneナンバーを素材にしたアルバムと理解すれば、決してそう悪いアルバムとは思わない。ただもう少々アレンジ面やギタリストと楽曲の相性をじっくり煉った企画は可能だったのでは?と思える部分も多々あるのは事実だろう。ギタリスト諸氏にはやはり是非聴いてみて頂きたいアルバムだと思う。



Back To ToppageFrom Session