2002年8月の入浴会


8月の入浴会は18日に14名で煙突に猫が登っている中区「末広湯」で行いました。
昔ながらの銭湯で黒湯に浸かりながらの楽しい会話で暖まりながらの入浴会でした。
二次会はまたまた中華料理とビールで楽しい飲み会でした。

   




会員の野間さんからレーポート届いていますのでご紹介します。

8月の入浴会のご案内の銭湯、末広湯へ行ってみました。なるほど、入り口には福助のタイル絵が、「いらっしゃいませ」と、迎えてくれているようでした。
私は、映画狂(*特に、映画の黄金時代に制作された日本映画には、女優が、殊のほか知的で、品がよく、綺麗だし、<例えば、原 節子、高峰秀子、岸 恵子にしても>、黒澤、小津、成瀬などの映画監督は、いい仕事をしているし、特に関心を持って見ています)でもあり、当日は、末広湯近くの映画館シネマ・ジャックで、『沓掛時次郎・遊侠一匹』<加藤 泰監督/1966年東映>を見て、気分を良くしてからの入湯となりました。(余談ですが、この映画は、日本的情感のこもった美しい作品でした。)
前回の鎌倉館と比較しては悪いのですが、末広湯は、かなり小ぶりで、鎌倉館の四分の一位の大きさかもしれません。脱衣場には、あちこちに、棚があり、無造作に、めいめいの洗面具を入れたビニール袋や、湯オケが置かれています。まるで、行きつけの店に置いてある、お客のボトルキープのような風でした。チョット目には、あまり整然としているとはいいがたいのですが、銭湯を日常生活に欠かせない場にしている人にとっては、気さくな雰囲気で、構えず、かえって、いいのかもしれません。
飛び込みで、風呂に入ろうとする人にも、タオル、シャンプー、小さな石鹸など、何でも番台で扱ってくれています。ヘアトニック/50円というのもありました。
浴場の入り口の上に、墨書の横長の掛け軸があり、男湯には、『百 寿 平 安』と書かれています。(寿は春という字に見えなくもないのですが。)後に、大観の字が見えますが、番台の女将さんに聞くと、ホンモノかも知れませんよ、と笑いながら言っていました。
女湯の方には、これも達筆で『爽 気 楽 湯』とあり、なかなか、いい文言ではないでしょうか。うかがえば、この字は、末広湯のご主人の手になるらしく、書が趣味とか。
お客の入りは、約10名ぐらいで、中高年の人が多いようでした。
湯につかっていると、松葉杖の老人が入ってこられました。私は、心配になりましたが、老人は、杖を下に置き、ゆっくりと身体を持ち上げて、黒湯の方へ入られたのです。私は、「手を貸しましょうか」と、話しかけましたが、老人は「いや、ありがとう、でも大丈夫ですから」と、言われました。もう、十年以上もここの湯へ通っているとのこと。
高齢化時代の介護問題など、これからの社会の大きなテーマですが、私は、末広湯へ、たまたま入るきっかけを得て、その老人とお話ができました。老人は、声高ではないけれど、自分のことは、人に頼らず、できるだけ自分でやってみようという、(また、そういう事情も、あったのかも知れませんが)ご本人の意思を静かに示しておられるように思いました。

私は、まだまだ、現役の企業人ですが、日ごろ何かと多忙を言い訳にして、人が生きていくうえで、大切なことに、直面することを避けている“きらい”があるかもしれません。
銭湯に入るということは、そんな私にも、大切な何かを思い出したり、訴えかけてくれる場のような気がしてます。 多謝!多謝!   2002/10/8(記)