シアターキノ1周年記念「ワンダフルライフ」上映会

「小田エリカ」の画像です「是枝監督」の画像です「ARATA」の画像です

 1999年4月20日、札幌の共済ホールでシアターキノ1周年記念「ワンダフルライフ」上映会が行われた。「ワンダフルライフ」は、死後に自分の一番大切な思い出の映画をつくり、その思い出だけを抱いて天国に行くという荒唐無稽な設定だが、しっかりと計算された脚本をもとにゆったりとした穏やかな時間が流れ、思わず「自分なら...」と人生を振り返ってしまう佳品だ。

 是枝裕和監督、ARATA、小田エリカの三人が舞台挨拶し、監督の率直さ、ARATAの真面目さ、小田エリカのキュートさが伝わってくる素敵な内容だった。是枝裕和監督は「若いキャスト、スタッフと、映画を観ていただくと分かるが役者さんではない一般のおじいちゃん、おばあちゃんたちにもたくさん出てもらっている。いろいろな人が一緒になって、とても楽しい時間を過ごすことができた。その過ごした時間が映画の中に記録されいるので、映画を観て時間を共有してもらえたらと思う」と三年半ぶりの新作を自己紹介。

 ARATAさんは「『ワンダフルライフ』は皆さんが映画の中に参加できる映画だと思う。皆さん、それぞれいい時間を過ごしてください。もし気に入ってくれたら、恋人、お父さんお母さん、おじいちゃんおばあちゃん、自分の大切な人をつれて、また劇場に足を運んでください」と模範的なあいさつ。一方、小田エリカさんは一言「楽しんで観てください」とだけ。

 また是枝監督は「骨格になる脚本は、10年ほど前26歳の時に作っていた。人の記憶に興味があって、心の中に入って出てくるファンタジーをつくりたいと思っていた。それが変形して、この作品になった。クランクインの前半年かけてあちこち回り、500人くらいの一般の人に取材し、同じ質問をしてその中から特に印象に残った人に、そのまま映画に登場してもらった。ある形に縛れるのではなく、撮影の現場にどういう感情が立ち上がってくるのか。皆が面白いというと、自然に映画が流れていく。形を決めずに映画づくりを皆で自由に楽しめた」と、充実した時間を振り返った。出演した印象をARATAさんは「すごく気持ちのいい時間を過ごした。人も場所も素晴らしかった」、小田エリカさんは「全部楽しかった。終りたくなかったが、終るもだから仕方ないと思った。監督はおだやか人だった」と話した。

 上映後には予定外のティーチ・インが行われ、感動した観客の婚約が成立するなど、思わぬ出来事もあった。


あいさつのビデオ(Realplayer)

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 Visitorssince99.04.21