さっぽろ映画祭リターンズ98での藤原智子監督のトーク

 藤原智子監督。これまでに『オラウータンの知恵』 (1960年、日本映画新社)、『歌舞伎の立廻り』 (1981年、桜映画)、『杉の子たちの50年−学童疎開からの明日へのメッセージ−』(1995年、「学童疎開」記録映画製作女性の会)を完成。1997年には『ルイズ その旅立ち』を監督し、高い評価を得ている。「さっぽろ映画祭リターンズ98」のクロージング作品として『ルイズ その旅立ち』が上映されたのを機に、1998年7月5日札幌を訪れ、ドキュメンタリー製作について話した。

 「私自身はルイさんにお会いした事がない。大杉栄、伊藤野枝の四女であるルイさんの存在を知り、映画を撮りたいと考えた。しかし、たぶん断わられるだろうと思った。カメラを持ち込む事は不可能と思っていた。そのうちに訃報に接した。送る会があることを知り、そこに飛び込んで手掛かりを得ようとした。全国から大勢の人が集まっていたので、映画をつくろうと決心した。本人がいなくてもつくれる自信はあった。どんな映画ができるだろうと心配されたが、出来上がって大変反響か大きかった。賞をいただいて、私の方が驚いている。家族が取材に応じてくれた事で、別の側面のルイさん像が出てきた。ルイさんに御会いできなくて、とても残念だが、一度会ったら忘れられないような魅力的な女性だったと聞いている。外見もいいが、それを超えて人に訴えるものが非常に強くある御一家だと思っている。本人を撮ったから、その魅力がどれほど出るかは疑問だ。この映画はルイさんの生活記録、活動記録ではなく、 ルイさんの思想、自由な人とのつながり、組織に縛られないつながりを描いている。そういうものが、今の時代に求められているのではないかと、つくり終えて考えている」


藤原智子監督のVIDEO(RealPlayer)


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 Visitorssince98.07.12