GnRHアゴニスト療法

子宮筋腫に用いられるホルモン治療にGnRHアゴニスト療法があり、 現在ではリュープリン・スプレキュア・ナサニール等が使用されています。

子宮筋腫には卵巣から分泌される女性ホルモン(エストロゲン)が深く関係すると言われる ことから、脳の下垂体(卵巣に女性ホルモンを分泌させる器官)に働きかけ、 女性ホルモンの分泌を押さえるという治療方法です。
排卵(月経)を止めてしまうことから、偽閉経療法とも呼ばれ、 過多月経による下腹部痛や貧血の改善、筋腫の縮小等に効果があります。 また、手術時の出血を抑える目的で使用されることもあります。

薬の種類には皮下注射と点鼻薬があり、女性ホルモン(エストロゲン)低下による副作用が強いことから、 基本的には6ヶ月(1クール)以上の連続投与はできないと言われています。
また、投与を中止すると月経も再開し、筋腫は数ヶ月で元の大きさに戻ってしまうことから、 根治治療ではありません。


女性ホルモン(エストロゲン)

エストロゲンは卵巣から分泌されるホルモンで、思春期に分泌量が急増し、第2次性徴の発現に 深く関与して、女性らしい体型が形成されます。
妊娠中には通常の何十倍ものエストロゲンが分泌され、妊娠を継続し子宮を大きくします。 閉経期が近づくと卵巣の働きも悪くなりエストロゲンの分泌も減少します。 それに伴い様々な更年期障害が起こり、エストロゲンの分泌が止まると閉経を迎えます。

卵胞ホルモン(エストロゲン)と並んで重要な、黄体ホルモン(プロゲステロン)があります。
プロゲステロンは排卵後に卵胞が黄体に変わると卵巣から分泌されはじめ、受精卵が子宮
内膜に着床しやすくする役割りがあります。妊娠中の子宮の発育・成長と深く関係します。
妊娠しなかった場合、排卵後約2週間で分泌は止まり、いらなくなった子宮内膜は剥がれて排出されます。 これが月経です。


リュープリン

通常、成人の場合は4週に1回リュープリン1.88を皮下注射します。ただし、体重が重い、 筋腫が高度等の場合は、リュープリン3.75を投与することもあります。初回投与は月経周期 1〜5日目に行います。

投与初期に一時的に性腺刺激ホルモンの濃度が上昇し、出血が増える場合があります。 これは薬が下垂体を強く刺激するために起こる"フレアーアップ"という現象で、 徐々に緩和されるので心配ないと言われています。ただし、粘膜下筋腫のように過多月経の症状がある場合には、 出血により貧血の悪化等を招く恐れがあるので、医師と相談の上、慎重に使用する必要があります。


副作用

偽閉経療法とは更年期と同様のホルモン状態にすることなので、のぼせ・ほてり・肩こり・頭痛・発汗・ 動悸・不眠・うつ状態・肝機能障害・めまい・腟の乾燥等の更年期障害と同様の症状が出ることがあります。 また、エストロゲン減少の影響で骨密度の低下を招き骨粗鬆症になることもあります。

副作用の緩和にはアドバック療法といって女性ホルモンを少量補充する方法や、漢方薬の服用等があります。


使用方法

スプレキュア・ナサニール等の点鼻薬は、1日2〜3回左右の鼻に噴霧します。 リュープリン等の皮下注射は、4週に1回上腕部または腹部に注射します。 1回の注射で効果が4週間持続するので、 注射後もんだりすると急激に効果が出ることがあり注意が必要です。 また、副作用軽減のために毎回違う場所に注射します。

点鼻薬も皮下注射も副作用が強いため、連続投与期間は6ヵ月(1クール)までとなります。 長期間に渡り使用する場合も6ヶ月あけてから再度使用します。

また、皮下注射は4週間に一度の通院で済むので日々の煩わしさはありませんが、副作用が 出た場合でも1ヶ月間は途中で止めることはできません。


費 用

皮下注射に比べて点鼻薬の方が多少お安いということですが、 どちらにしてもホルモン治療にはかなり高価な薬が使われます。

参考までに・・・本人2割負担の保険の場合、リュープリン1.88は1回8500円程でした。
 ・点鼻薬が1カ月分で35,000円前後、リュープリン1.88が1回45,000円前後です(2002/3現在)





ホットフラッシュ

核出だったため、筋腫を小さくすることと、手術の時の出血を抑える目的でリュープリン1.88を 6回注射しました。2回目と3回目に中間くらいから「ホットフラッシュ」と呼ばれる、 「ほてり」「のぼせ」の症状が出てきて、ところかまわず突然噴出す汗には本当に悩まされました。 ハンカチとウチワは手放せませんでした。でも、幸い頭痛・腹痛等の「痛み」を伴う副作用は出なかったので、 なんとか乗り切ることができました。


リュープリン1.88

初診・検査の都合で、初回のリュープリンの注射が生理開始から2週間程経っていました。
(初回投与は月経周期1〜5日目に行うのが普通のようです)
そして、次の生理はほぼ予定通りにやって来ました。医師からも、「次回も生理は来ちゃうと
思います。いつもより出血が多いかもしれない・・・・(これってフレアーアップ?)」って言われて
いたので驚きませんでした。
実際は、出血は多少多かったものの期間的にはいつもと変わらず。その頃は徐々に生理の
量も増えていたのでさほど気になりませんでした。
これで生理が止らなかったら1ランク強い薬(リュープリン3.75)を使うって言われていましたが、
2回目の注射以降生理はピタッと止まりました。


果たして効果は・・・

術前には10cmあった筋腫が7cm程度まで小さくなったと言われて喜んでいましたが、 実際には10cmと8cmの2個の筋腫があったので、 「本当に小さくなったいたのかなぁ・・・・」と今になって??です。
でも、手術時の出血はほとんどなく、こちらの方はリュープリンの効果大だったと思ってます。