税調への申し入れ


 全国税は全労連、国公労連とともに毎年税調への申し入れをしてきました。
 以下は1997年12月4日に提出した「申し入れ文」です。
 *全労連のホームページからの引用



1996年12月の申し入れ


1997年12月4日
税制調査会
会長 加藤 寛 殿

全国労働組合総連合
議 長 小林 洋二
日本国家公務員労働組合連合会
中央執行委員長 藤田 忠弘
全国税労働組合
中央執行委員長 井ノ上 繁利


1998年度税制審議に関する申し入れ書




1 9月の日銀短観によれば、製造業、中小企業の景況感が軒並み悪化し、先行き
不透明 感一段と強まっているとしています。さらに、経済企画庁の11月の月例
経済報告では 「景気の足踏み状態」と景気が一層後退していると判断していま
す。この4月からの消費税率引き上げ、特別減税の打ち切り、医療制度の改悪など
での負担増の影響により、個人消費の落ち込みが景気回復の足枷になっています。
今、個人消費を柱とした内需拡大による景気対策が強く求められています。もとも
と、消費税の増税は総選挙での公約に違反しています。私たちは、第一に消費税率
を元の3%に引き下げることを求めます。そして、基礎控除など人的控除の引き上
げによる所得税・住民税減税を実施し、国民の消費を拡大する政策を強く求めま
す。

2 貴調査会は、各種引当金を廃止・縮小したうえで、法人税率の引き下げの方向
で検討するとされています。各種引当金の廃止・縮小については、私たちはかねて
から貴調査会に申し入れてきたところであり、貴調査会が引当金の廃止・縮小を打
ち出すことは望むものです。しかし、各種引当金の廃止・縮小は不公平税制是正の
観点から行われるべきで、法人税率引き下げは行うべきではないと考えます。財界
は露骨に企業の実質負担減を主張しています。多国籍化した日本の大企業は抜群の
国際競争力を持ち、そのことは、輸出の好調、大企業の高蓄積に現れています。法
人税率の引き下げの恩恵は、大企業に集中します。税率の引き下げによる影響で、
大企業と中小企業の力の格差は一段と進みます。政府は景気対策として法人税率引
き下げの検討をするとのことですが、大企業の利益を拡大する政策をとっても、消
費が冷えていれば設備投資に資金が回らず、内部留保の増加か不良債権の処理に回
るだけで、景気回復にはなりません。

 一方、財政構造改革法案は、財政危機を口実に社会保障、医療など国民生活に直
接関わる予算を大幅に切り下げ、国民に一層の負担増を押しつけるものになってい
ます。その上、大企業に対する法人税などの負担軽減の財源は消費税増税の呼び水
になります。

3 いうまでもなく、税制改革の基本は、いかにして税負担の公平を確保するかに
あります。それは、不労所得には重課をし、勤労所得には軽課をし、生活費には課
税をしないという理念であり、法人課税においては大企業優遇税制の是正にありま
す。この観点からすれば、消費税はその逆進性ひとつをみても、不公平税制そのも
のといわなくてはなりません。

 所得課税を税体系の基幹税とする認識のもと、税負担の公平確保の実現を最優先
とすることが、今国民が求めている税制改正です。1980年代後半からはじまる
一連の税制改革(消費税の導入、利子所得への一律分離課税、所得税・住民税の最
高税率の引き下げ・税率ブラケットの簡素化、法人税率の引き下げ)は、大企業と
中小企業、富める者とそうでないものものの一層の格差をもたらし、租税のもつ所
得の再分配機能を著しく低下させています。資本主義社会はそのままにしておくと
貧富の差が限りなく拡大し、社会に不平等化と不安定化をもたらします。そのこと
は、民主主義の危機を招きます。私たちは、累進的な課税によって所得の再分配機
能を確保することは非常に重要なことだと考えます。

 私たちはこれまで、貴調査会に対して総合課税を軸にした税体系を確立するよ
う、その改革案を申し入れてきました。税制は常に国民の立場に立った観点から改
革される必要があるからこそ、改めて以下申し入れます。私たちは、国民が納得で
きる税制改革を答申することを望みます。





I 税制について



 私たちは、税制のあるべき姿を考えるとき、税負担能力をより客観的に把握する
ため、特定者に対して課税ベースを縮小する優遇措置を廃し、応能負担原則による
公平な税負担配分を基本におくべきだと考えます。

1 直接税中心の税体系



 応能負担原則を基本とする直接税中心の税体系を確立すべきです。消費税はこの
応能負担の原則にも反し、生活保護者や所得税を負担する能力のない低所得者層も
担税者となります。所得税については、課税最低限の大幅引き上げを中心とした減
税が必要です。

2 総合課税・累進構造の確立


 所得課税における総合課税・累進構造(税率)を確立すべきです。

様々な特別措置や資産性所得の分離課税制度にみられるように、課税ベースの縮小
を容認したり、実質税負担率を引き下げている税制を改め、本来の総合課税・累進
構造(税率)の実効を上げることが必要です。

3 国民生活を重視する税制への転換



 大企業を中心に適用されている様々な税の優遇措置は、大幅な見直しが必要で
す。同時に、過度に集中蓄積された土地・債券等の資産に対する課税を考える必要
があります。また、「民間活力」発揮や経済活性化などを名目とした、新たな優遇
措置をとるべきではありません。とりわけ、所得格差、資産格差を助長させるよう
な税制上の措置はすみやかに改廃すべきです。いま何よりも必要なことは、国民生
活の充実向上をめざす税制へと改革することです。

4 制度改正における民主的手続の確立



 税制および税務行政の制度改革にあたっては、国民にその内容を周知し議論を尽
くすなど、民主的手続きを貫くことが必要です。

II 所得税・住民税について


 所得税・住民税については、最低生活費非課税の原則に立って、総合累進課税を
より完全なものにすることを基本にする必要があります。そのためには、最も担税
力のある資産所得の特例制度や分離課税を廃止するとともに、担税力のない所得層
にまで課税している現行税制を是正するため、生活保護給付水準以下の課税最低限
を大幅に引き上げること、税率については、最高税率の引き上げ、最低税率を引き
下げ、基礎的人的控除および税率適用区分に物価調整制度を採用すべきことを要請
します。

 以下に掲げることは、国民の求める減税と不公平税制の是正の必須事項であり、
その実現のための具体的措置が必要と考えます。

1 所得税・住民税の課税最低限(基礎控除+配偶者控除+扶養控除)を大幅に引
き上げること。少なくとも生活保護基準を超える金額とすること。

2 最高税率を引き上げ、最低税率を引き下げること。

 中位の所得者の税率適用区分を負担緩和の方向で検討すること。

3 給与所得者の給与所得控除の定額部分を大幅に引き上げ、高額所得者の定率部
分の頭打ち控除制度を復活させること。

4 課税最低限および税率適用区分について、物価調整制度を導入すること。

5 給与所得者に対する実額控除による確定申告方式の必要経費項目を拡大するこ
と。

6 白色申告者にも専従者給与を認めること。

7 利子・配当・譲渡所得については、総合課税を行うこと。

III 法人税について



 これまで、現行法人税制が大企業に有利な仕組みになっており、それら優遇措置
を温存したままに放置することは、税の不公平感を助長させるものであり、基本的
仕組みに踏み込んで検討する必要があります。租税の基本は、負担能力をより客観
的に把握できる体系を確保することが原点です。

 そのためには、租税特別措置の大幅圧縮、各種引当金・準備金の存廃の検討が必
要であり、税率構造については、利益の大小による負担能力の格差について、累進
課税という傾斜をつけた税負担配分を実現するよう要請します。しかし、これまで
の改正は、各種特別措置について基本的に温存し、大企業の法人税率を大幅に引き
下げるなど大企業優遇税制をすすめ、不公平をより拡大して国民の不満を募らせて
います。

 そのため以下に掲げる不公平税制の是正が必要と考えます。

1 法人税率について



  現行の法人税率37.5%は、当面、引き下げないこと。

2 課税ベースについて


(1)引当金について



  賞与引当金は、廃止すること。

  貸倒引当金、退職給与引当金は廃止すること。当面、段階的に縮小すること。

  特別修繕引当金、製品保証等引当金、返品調整引当金は縮小の方向で検討する
こと。

(2)準備金について


  準備金にたいする租税特別措置法に基づく損金算入、税額控除などの特別控除
は廃止すること。

(3)減価償却制度について



  建物に対する償却方法は定率法を廃止し、定額法とすること。

  中小企業向けを除き、特別償却、割増償却、税額控除などの加速償却は廃止す
ること。(4)資産の評価基準について

  有価証券などの評価基準に時価会計の導入を検討すること。

(5)みなし外国控除について


  みなし外国税額控除は廃止すること。

(6)プレミアム課税について



  株式発行差金(プレミアム)非課税、法人間受取配当益金不算入制度は廃止す
ること。

3 法人の有価証券保有税の創設について



(1)資本金1億円以上の全法人の保有する株式に、財産課税として決算月1ヶ月
の平均時価(取引相場のない株式については、相続税評価基準による評価額)を課
税標準に0.1%の有価証券保有税を課税する。

(2)株式以外の有価証券については金融機関を除き、期末における額面金額(無
額面のものについては期末時価)を課税標準に0.05%の有価証券保有税を課税
する。

(3)上記、(1)(2)の課税方法は申告納税とする。

IV 相続税等について


 相続税は富の過度の集中を抑制し、再配分を目的とした税です。相続税の土地な
どの評価は、売買実例を基礎としていますが、売買を予定しない小規模な生活用土
地についても同じように扱っています。このため、都市部の小規模住宅等に過重な
負担を強いることになっています。現行の公示価格を基礎とした「時価」評価方法
を改め、収益還元方法を基礎とする評価方法にすることは緊急の課題です。

1 課税最低限及び最高税率について

  課税最低限は現行金額とし、最高税率を75%に引き上げること。

2 配偶者軽減措置について

  配偶者軽減措置は5億円を限度とすること。

3 土地の評価方法について

  土地等評価の路線価方式を、収益還元方式を基本とする評価方法に改めるこ
と。

4 小規模宅地について

  自己居住用土地については200uまでを非課税とすること。

  個人事業用土地については事業に準ずるものを含め200uまでは80%の軽
減措置  をとり、自己居住用土地非課税と合わせて認めること。

5 事業承継保障について

  農業承継保障措置としての現行制度を維持するとともに、林業についても同様
の措置  をとること。

6 贈与税の課税最低限について

  贈与税の課税最低限を引き上げること。

V 消費税について



 4月からの消費税率(地方消費税を含む)引き上げにより、中低所得者層の家計
はますます圧迫され、国民の消費を冷えさせ、景気回復の足枷になっています。

 一方、消費税はどのように手直ししても逆進性を排除することはできず、その存
在は所得の低いほうにシフトして過重な負担を強いていることになります。

 また、限界控除の廃止、課税仕入控除の要件の改正などで事務負担の増加など中
小事業者への影響も大きなものがあります。

 

1 消費税率を引き上げ前の3%にもどすこと。

2 当面、食料品についてはゼロ税率を適用すること。

3 消費税は、廃止の方向で検討すること。

VI 固定資産税について



 固定資産税は、公示地価の7割と評価されたためにその負担額が急増し、国民の
生活基盤をおびやかすものとなっています。現行の売買実例を基盤とする評価方法
は応益税としての固定資産税に適用することは不適当であり、収益還元方式を基礎
とする評価方法に改める必要があります。

1 評価方式の改定について

  土地等の現行方式を収益還元方式を基本とする土地評価にすること。

2 評価額の公開と課税標準・税率について

  評価額は公開するとともに、評価額の一定割合を課税標準とし、その割合およ
び税率は地方自治体が決定すること。

VII 税務行政の改革について



 税務行政は民主・公正・効率を基準として改革する必要があります。これを保障
する基盤として次の事項が必要です。

1 国民への税務情報の公開と国民参加

2 納税者の権利憲章の法制化など権利の尊重および適正手続

3 徴税労働者の行政への参加と労動基本権の保障

 具体的には、つぎのような改革をすべきだと考えています。

1 公開と参加に関するもの

(1)租税法律主義の徹底、税法・政・省令・通達等の制定手続の民主化と公開

(2)大企業の課税に当たっての申告、調査内容の公開、大口資産家の財産債務明
細書の提出の徹底、並びに申告公示制度の改善

(3)情報公開法の制定、オンブズマン(行政監察員)制度の導入

2 納税者の権利と適正手続に関するもの

(1)納税者の権利尊重を前提にした適正手続、特に事前手続の確立などと、それ
に基づく公正・公平な執行

(2)国税不服審判所の独立性の確保及び機能強化など、事後救済制度の民主的改


(3)守秘義務、プライバシー保護の明確化

(4)納税者番号制の名目による国民総背番号制の導入禁止

(5)国税総合管理(KSK)システムの開発の中止と再検討

3 国税労働者の権利に関するもの

(1)国税職員の労動基本権の回復、勤務評定制度の廃止

(2)国税庁当局による職員の思想・信条調査、プライバシーの侵害や不当労働行
為の禁止

(3)国税庁当局による全国税労働組合の組合員に対する一切の人事差別政策の撤


4 その他



(1)特権官僚の天下り禁止

(2)大企業に対する民主的規制

(3)申告書の公示制度を改め、所得金額を基準とし、公示内容は所得の種類、収
入金額、申告所得金額および申告納税額とすること。

(4)申告所得税の申告期限と納期限を分離し、申告期限を3月15日、納期限を
4月15日とすること。

VIII その他の事項



 1 労働組合は非課税団体とすること。

 2 労働組合に対し、収益事業を営まない公益法人等の「収支計算書」の提出を
義務づけしないこと。



 1996年12月11日午前、全労連をはじめ国公労連、全国税の3団体は税制調査会に対
し、97年度税制審議に関する共同申入れをおこっなた。この申入れには全労連・池田企画
局長をはじめ4名が参加、大蔵省側は主税局・瀧澤係長が対応した。申入れ書の内容につ
いては別項のとおり。




税制調査会

会長 加藤 寛 殿

全国労働組合総連合

  議 長 小 林 洋 二

日本国家公務員労働組合連合会

  中央執行委員長 藤 田 忠 弘

全国税労働組合

  中央執行委員長 井ノ上 繁利

1997年度税制審議に関する申し入れ書



1.先の衆議院選挙において、消費税問題は大きな争点になりました。結果は、消
費税の廃止を主張した共産党が、得票数、議席を大きく伸びました。消費税率5%
を選挙公約した自民党でしたが、対有権者得票率は20%であり、消費税率5%を
公約した自民党候補者は5人に一人という状態でした。選挙後のNHKの世論調査
でも消費税率引き上げ反対・廃止は64%にのぼっています。私たちは、5%増税
が国民の信をえたとはとてもいえないものと考えます。

 貴職は「すでに減税を実施しており、財政立て直しのためにも5%に引き上げる
しかない」と発言していますが、最初に消費税増税ありきではなく、総選挙の結果
をふまえて消費税増税そのものの是非をあらためて論議すべきものと考えます。

2.貴調査会は法人課税見直しで小委員会を設置し審議を行ってきましたが、各種
引当金を廃止・縮小したうえで、法人税率の引き下げの方向で検討するとされてい
ます。

 各種引当金の廃止・縮小については、私たちはかねてから貴調査会に毎年申し入
れているところであり、貴調査会が引当金の廃止・縮小を打ち出すことは望むもの
です。しかし、各種引当金の廃止・縮小は不公平税制是正の観点から行われるべき
で、法人税率引き下げは行なうべきではないと考えます。

3.いうまでもなく、税制改革の基本は、いかにして税負担の公平を確保するかに
あります。それは、不労所得には重課をし、勤労所得には軽課をし、生活費には課
税をしないという理念であり、法人課税においては大企業優遇税制の是正にありま
す。この観点からすれば、消費税はその逆進性ひとつをみても、不公平税制そのも
のといわなくてはなりません。

 応能負担原則を基本とする直接税中心の税体系を確立するという認識のもと、税
負担の公平確保の実現を最優先とすることが、今国民が求めている税制改正です。

 私たちはこれまで、貴調査会に対して総合課税を軸にした税体系を確立するよ
う、その改革案を申し入れてきました。税制は常に国民の立場に立った観点から改
革される必要があるからこそ、改めて以下申し入れます。貴調査会においては、多
くの国民の意見を積極的に求める場を設けるなど、国民が納得できる税制改革を答
申することを望みます。

                 記

一.税制について  私たちは、税制のあるべき姿を考えるとき、税負担能力をより
客観的に把握するため、特定者に対して課税ベースを縮小する優遇措置を廃し、応
能負担原則による公平な税負担配分を基本に置くべきだと考えます。

 1.直接税中心の税体系

応能負担原則を基本とする直接税中心の税体系を確立すべきです。

消費税はこの応能負担の原則にも反し、生活保護者や所得課税のない低所得者層も
担税者とする大衆課税です。所得税については、課税最低限の大幅引き上げを中心
とした減税が必要です。

 2.総合課税・累進構造の確立

所得課税における総合課税・累進構造(税率)を確立すべきです。

様々な特別措置や試算性所得の分離課税制度に見られるように、課税ベースの縮小
を容認したり、実質税負担率を引き下げている税制を改め、本来の総合課税・累進
構造(税率)の実効を上げることが必要です。

 3.国民生活を重視する税制への転換

大企業を中心に適用されている様々な税の優遇措置は、大幅な見直しが必要です。

同時に、過度に集中蓄積された土地・債券等の資産に対する課税を考える必要があ
ります。また、民間活力発揮や経済活性化などを名目とした、新たな優遇措置をと
るべきではありません。とりわけ、所得格差、資産格差を助長させるような税制上
の措置はすみやかに改廃すべきです。

いな何よりも必要なことは、国民生活の充実向上を目指す税制へと改革することで
す。

 4.制度改正における民主的手続の確立

税制および税務行政の制度改革にあたっては、国民にその内容を周知し議論を尽く
すなど、民主的手続を貫くことが必要です。

二.所得税・住民税について

 所得税・住民税については、最低生活費非課税の原則に立って、総合累進課税を
より完全なものにすることを基本にする必要があります。そのためには、最も担税
力のある資産所得の特例制度や分離課税を廃止するとともに、担税力のない所得層
にまで課税している現行税制を是正するため、生活保護給付水準以下の課税最低限
を大幅に引き上げること、税率については、最高税率の引き上げ、最低税率を引き
下げ、基礎的人的控除および税率適用区分に物価調整制度を採用すべきことを要請
します。

 以下に掲げることは、国民の求める減税と不公平税制の是正の必須事項であり、
その実現のための具体的措置が必要と考えます。

1.所得税・住民税の課税最低限(基礎控除+配偶者控除+扶養控除)を大幅に引
き上げること。

 少なくとも生活保護基準を超える金額とすること。

2.最高税率を引き上げ、最低税率を引き下げること。

 中位の所得者の税率適用区分を負担緩和の方向で検討すること。

3.給与所得者の給与所得控除の定額部分を大幅に引き上げ、高額所得者の定率部
分の頭打ち控除制度を復活させること。

4.課税最低限および税率適用区分について、物価調整制度を導入すること。

5.給与所得者に対する実額控除による確定申告方式の必要経費項目を拡大するこ
と。

6.白色申告者にも専従者給与を認めること。

7.利子・配当所得については、総合課税を行なうこと。

三.法人税について

 これまで、現行法人税制が大企業に有利な仕組みになっており、それら優遇措置
が拡大傾向にあることは、税の不公平感を助長させるものであり、基本的仕組みに
踏み込んで検討する必要があります。

 そのためには、租税特別措置の大幅圧縮、各種引当金・準備金の存廃の検討が必
要であり、税率構造については、利益の大小による負担能力の格差について、累進
課税という傾斜をつけた税負担配分を実現するよう要請します。

 しかし、これまでの改正は、各種特別措置について基本的に温存し、大企業の法
人税率を大幅に引き下げるなど大企業優遇税制を体制化し、不公平をより拡大して
国民の不満を募らせています。

 租税の基本は、負担能力をより客観的に把握できる体系を確保することが原点と
して必要です。

 そのため以下に掲げる不公平税制の是正が必要と考えます。

1.廃止すべき制度

  ・株式発行差金(プレミアム)非課税

  ・受取配当益金不算入

  ・輸入製品国内市場開拓準備金

  ・海外投資等損失準備金

  ・自由貿易地域投資損失準備金

  ・創業中小企業投資損失準備金

  ・金属鉱業等鉱害防止準備金

  ・海洋油田・ガス田廃鉱準備金

  ・特定災害防止準備金

  ・特定都市鉄道整備準備金

  ・ガス熱量変更準備金

  ・計画造林準備金

  ・電子計算機買戻損失準備金

  ・プログラム等準備金

  ・渇水準備金

  ・使用済核燃料再処理準備金

  ・原子力発電施設解体準備金

  ・保険会社等の異常危険準備金

  ・原子力損害賠償保険又は地震保険に係る異常危険準備金

  ・関西国際空港整備準備金

  ・探鉱準備金、海外探鉱準備金

  ・賞与引当金

  ・特別修繕引当金

  ・製品保証等引当金

  ・返品調整引当金

  ・中小企業向けのものを除く特別償却、割増償却および特別控除

2.改正し、適正化すべき諸制度

  ・大企業の法人税率の引き上げ(累進税率の採用)

  ・貸倒引当金繰入限度額

  ・退職給与引当金繰入限度額

  ・償却資産耐用年数及び償却方法

  ・外国税額控除

  ・国外関連者との取引に関わる課税の特例(移転価格制度)

3.法人の有価証券保有税の創設について

 資本金1億円以上の全法人の保有する株式に、財産課税として決算月1カ月の平
均時価(取引相場のない株式については、相続税評価基準による評価額)を課税標
準に0.1%の有価証券保有税を課税する。

 株式以外の有価証券については金融機関を除き、期末における額面金額(無額面
のものについては期末時価)を課税標準に0.05%の有価証券保有税を課税す
る。申告納税とする。

四.相続税等について

 相続税は富の過度の集中を抑制し、再配分を目的とした税です。バブル崩壊後、
土地の価格が下がったとはいえ、売買実例を基礎とする評価によって、売買を予定
しない小規模な生活用土地についても同じように扱っています。このため、都市部
の小規模住宅等に過重な負担を強。したがって、政府は、男女ともに人間らしく働
けるような長時間労働の解消のため法的規制を早急に設けなくてはならない。

 さらに、男性についての法的規制について何ら具体化されておらず、かつ、長時
間労働の実態が解消されておらず、政府も所定外労働時間を年間147時間にする
必要があるとしていることからすれば、母性の保護のためには、現在の女子保護規
定は撤廃すべきではなく、これを維持させたうえで、「労働者保護規定」として早
急に男性にも時間外労働などの法的規制の具体化をはかるべきである。

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