第37回税研全国集会


1998年1月15日〜17日の日程で税研全国集会が伊東市で開催されました。
参加者の数は約250名です。(内部100人、外部150人)です。

以下は全国税労働組合の機関紙からの引用です
*ごく一部変更しています


 大雪が降るなか第三七回税研全国集会は、1月15日から三日間、静岡県伊東市
内の伊東市観光会館及び山平旅館で開催されました。「混迷する行財政と課題―
真に転換すべきは何かー」を中心テーマに、沖縄から北海道までの256名が参加し、
熱心に討議しました。
 今集会は、税研運動の原点に学び、仕事の問題を中心に分科会を構成し、また、
税制のありかたや税金の使われ方を重視し取り組まれました。


1日目


 主催者側の税研中央推准委員会・飯島健夫委員長、全国税労働組合・井ノ上中
央執行委員長のあいさつ、来賓あいさつに続き、税研中央推進委員会・大野事務
局長が基調報告を行いました。

 続いて、札幌学院大学・安藤実教授が「借金大国ニッポン」とその改革、税金は
どう生かされているのかと題し、財政赤字の原因は不徹底な建設国債主義にあり、
国債発行の受益者は公共事業関連の大企業であることを解明しました。
さらに、教育費や社会福祉関係の経費は充実すべき分野であり、抑制してくる政府
は国民にとって役立たない政府であることなどについて講演されました、

 その後、税制経営研究所長の谷山治雄氏は「経済・財政改革と税制」と題し、グロ
ーバリゼイション、ビックバン、規制緩和民営化そして政治的、軍事的には「新ガイド
ライン」等の情勢が大きく変化していることと勤労者を中心とする国民が、資本主義
の過程で勝ち取ってきた陣地に対する攻撃が行われていることが、租税政策でど
のようにあらわれ、どのように対処しなくてはならないかなどについて講演されまし
た。


2日目


 二日目は六つの分科会に分かれ、参加者の意見交流・討論が行われました

【暮らしと税金分科会】

 暮らしと税金分科会は、家計での税金・社会保険料負担の実態、予算の財政危
機と「構造改革」における「偽りの危機」などの報告を受け、金融機関救済に三〇
兆円の公的資金が使われる問題、杜会保障の負担金の問題、減税の財源問題
等について討議しました。

【税制一般分科会】


 税制一般分科会は、国公労連の政策提言、消費税仕入れ税額控除否認事件
裁判、民主的税制改革の構想の具体化、コンプラィアンス・コスト等について検
討しました

【行政1 管理・徴収分科会】


 管理・徴収分科会は、管理・徴収部門の運営方針や職場での定員や実態等
の問題点の報告を受けた後、KSKシステムの問題、「委託納付」の問題、消費
税滞納にともなう消費税滞納処分を優先する売掛金差し押さえ問題等について
討議しました。

【行政2 個人課税分科会】


 個人課税分科会は、KSKシステム導入、消費税導入等による職場の実態や
問題点の報告を受けた後、税務行政にとってノルマ主義・成績主義」は大きな
問題であること、任意調査の限界の問題、内部事務担当者の人員不足などの
問題について意見交換・討議を行いました

【行政3 資産課税分科会】


 資産課税分科会は、税制や資産課税部門の税務行政、KSKシステム導入
の問題、評価問題などの報告に基づき、資産課税の税制は土地政策も含め
検討すべきこと、調査で重加算税賦課を追求している実態、評価通達はあい
まいな点が多いことなどを討議しました。

【行政4 法人課税分科会】


 法人課税分科会は、税務運営方針や法人税・消費税・源泉所得税同時調
査と一元処理の問題等の報告を受けた後、連携調査、組調査などの問題、
「顕著」な事績をだした職員に対する表彰問題、重加算税賦課の遡及問題、
公益法人問題等について討議しました。


三日目


 来賓挨拶、都留文科大学教授川上則道教授の講演、参加者の意見交流、
分科会・集会のまとめなどが打われました。

 川上則道先生は、高齢化杜会と国民負担−国民負担率50%上限政策を斬
ると題し、国民負担率と「国民経済の循環構造図」を説明され、「公の負担」抑制
は公的保障の抑制であり弱者への負担強化であること、国民負担率50%上限
政策は公的保障の一人あたりの水準切り下げ政策であることを解明されました。
 さらには日本の格差の大きい社会であり、応能負担の原則により強者・富者へ
負担強化により公の負担を増やすことなどについて講演されました。