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新しい地域文化の創造へ

「小平よさこい」の実現 
小平市立小平第六小学校  教頭 長津 芳

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 250名近い「ソイヤー」の掛け声が、鳴子の音とともに決まった。沿道からは盛大な拍手。10月20日、市民まつり会場のあかしあ通りに、踊り手たちの笑顔がはじけた。

多くの方々の善意と善意がつながって、この日を迎えたのである。よさこいソーランを踊って、市民まつりを盛り上げようという「小平よさこい実行委員会(後に命名)」が動き始めた。まずは「南中ソーラン」が大好きな子どもたちに呼びかけ、踊ることが好きな地域の方々も交えての8月3日小平駅前サマーフェスティバルヘの出演を実行。鳴子を用意してくださった市民生活課のバックアップのお陰で大成功!拍手を浴びた踊り手たちの輝く笑顔や、子どもたちと地域の方々が一緒に夏祭りを盛り上げようとする姿が感動を呼んだ。
この成功に力を得て、実行委員会では、北海道のソーラン節ではなく、小平独自のものを創りたいとの思いが強くなった。「小平音頭をロック調にしてみたら?」「南中ソーランのようにかっこよく踊りたいね。」と動きだした。そして、作曲家、信楽順三氏のご厚意で「小平音頭」が現代風リズムにアレンジされて「小平よさこい」の曲が出来上がった。

すぐに四小の武藤先生とともに踊りの原型を創作。さらに子どもたちはじめ踊り手たちのアイディアを取り入れて小平のオリジナル作品が誕生したのである。初めに六小の運動会で取り組んだ。ダンスリーダーを中心に、子どもたちは鳴子の心地よい響きと共に、心も体も弾ませて踊った。その動きを知って、次々と「一緒にやりましょう」との声をいただき、練習会場も六小だけでなく、二小、学園東小…と広がった。四小、七小、八小、九小、十小、十三小、十五小、そして、近隣の市の小学生や、市報で知った地域の方々がそれぞれの近くの会場に集まって、仲間がぐんぐん広がっていった。各校の先生方や、PTAの方々が率先して輪を広げてくださり、一気に元気づいた。

さらに「小平子ども放課後・週末活動支援事業」として、教育委員会の力強いご支援をいただき、実行委員会の熱意や、賛同してくださる方々のあたたかい励ましで着実に前進を始めたのである。練習も佳境に入ってきたころ、何だか曲だけでは物足りなくなってきた。しかも「小平音頭」自体を知らない人が多いという。小平音頭をみんなが口ずさめるようにするため歌を入れたい。すぐさま実行委員会の方が奔走し、市内在住のギター奏者・歌手の濱田忠雄氏による歌も入れることができた。多くの方々の善意と善意がつながって「小平よさこい2002」が完成。

こうして、10月11日、プレデビューの形で、市民スポーツまつりでのお披露目の日を迎えたのである。感動と期待を込めたたくさんの拍手を送られて、スポーツまつりに花を添えた踊り手たちは晴れやかだった。

そして、いよいよ、市民まつり。
あかしあ通りの本部前に250人の踊り手が列をなした。沿道は人、人、人…。中心となって踊りをリードしてきた実行部隊が、衣装もキリリと決めて先陣を行く。その切れのある動きに感嘆の声が漏れる。続く、小学生、中学生、大学生、幼児、地域の方々……中には、赤ちゃんを抱っこしながら踊っているお母さんもいる。親子三代そろっての参加もうれしい。「あ!○○先生だ。先生、がんぱって」「○○さ一ん!うまいよう〜」と、沿道のあちこちから声援が飛ぶ。「かっこいいね!一緒に踊りたい。」「来年も踊ってくれるのかしら?」と大好評。たくさんの励ましや賞賛の声をいただき踊り手たちの笑顔がはじけた。

その後、出演依頼があちらこちらから沸き起こり小平養護学校の文化祭、障害者福祉センターの「ちいさなステージ」、四小地区青少対まつり、12月21日には中央公民館の「友・遊まつり」でと、踊り手たちはさらなる発表の場を得ている。六小学区域内にある中宿の商店街では、空き店舗が目立ち始めた町を少しでもにぎやかにしようと、子ども会、青少対、サポートネットのコーディネーターの方々が力を合わせて「中宿よさこいまつり」を立ち上げた。子どもたちは、総合的な学習の時間にお店番体験などでお世話になった町のため、自分たちの力を役立たせようと張り切っている。よさこいを高学年の児童が踊っていると、1、2年生まで見よう見まねで踊り始めた。3、4年生中心のカントリーダンスも交えてにぎやかになることと思う。何よりもうれしいことは子どもたちが地域で活躍できることである。学校のみならず、多くの方々に見守られて育つ子どもたちは、やがて、自分の力をみんなのために役立たせる喜びを知る。

思えぱ、いつの間にか盆踊りの輪の中に子どもたちの姿が少なくなった。地域のつながりを支えてきた様々な地域文化の崩壊が進みつつある今、市民みんなの力で新しい地域文化の創造を実現させることは大きな意義を持つ。未来を担う子どもたちが「何かできる」「」何かやろう・!」と地域杜会に貢献する力を培うことは、正に生きる力を育てる。

子どもが、地域の大人たちを手本とし、あこがれ、自分たちだってやれるぞと動き出す姿があってこそ、地域の活性化となるのである。新しい地域文化の創造のために、「小平よさこい2003」へと大きく広げていきたい。来年の市民まつりには、さらに市内のあちこちから「連」が生まれ、踊りの列の中に入ってくれることを願っている。小平よさこい実行委員会が核となって、老若男女が和気あいあいと集い、踊る者も見る者も楽しく、新しい小平の息吹となることを目指した活動を広げていきたい。「よさこいのおばちゃ一ん」道で出会うと、子どもたちから実行委員の方に声がかかるそうである。「小平よさこい2003の練習、早くやろうよ。」「僕の隣のおばちゃんもやりたいって言ってたよ。」と、うれしい声も聞かれる。

子どもたちが学校を基盤とし、地域の中に飛ぴ込んで、地域の方々から多くのことを吸収しつつ、自分たちの力を発揮して元気に活動する姿が目にうかぶ。「小平よさこい」は、大きな可能性を秘めているのである。