初めて訪れた焼津の街
■毎年恒例のチェーンストア労組OB・現役懇親会があった。会場は初めて訪れる静岡県の焼津だった。リタイヤの身とて時間はたっぷりある。新大阪から静岡までを「こだま」で行くゆっくり旅を選択した。静岡と焼津間は在来線で10分余りである。
■新大阪を出発するなりおつまみと缶ビールの口を開ける。文庫本を読んだりぼんやり車窓を眺めたり・・・。何の縛りもないのんびり独り旅のプチ贅沢を愉しむ。米原駅で駅弁と缶ビールを買い込んだ。近江牛大入飯(千円)はカレー味のご飯の上に炊いた肉厚の近江牛と玉ねぎがたっぷり載っかっている。ビールの当てにも十分な量だった。5時半頃に夜の帳の降りた焼津駅に着き、ホテルの送迎バスで6時前に焼津グランドホテルに到着した。
■部屋で出身労組の参加者たちと合流し6時半からの懇親会に参加した。70名あまりの参加者の内訳は現役組とOBがほぼ半々である。開宴前に舞台上でOBたちだけの集合写真が撮られた。酔いで座が乱れた後の収拾がつかなくなった過去の学習効果が冒頭の撮影となっている。それぞれの風貌が年々深みを増し参加者の顔ぶれがが少しずつ変わっていく。他界したOBもいれば新たにOBリストに加わる者もいる。有数の漁港・焼津ならではの海鮮中心の料理も懇親に追われる中で味わうことを忘れてしまう。
■席を移した二次会でもカラオケそっちのけで懐かしい面々との交流にいとまがない。ようやくお開きとなり部屋に戻る。地下一階の海の見える温泉大浴場で疲れを癒し布団にもぐりこんだのは日付が変わった頃だった。
レンタカーで焼津観光
■同宿者の携帯アラームの音で目が覚めた。大浴場で朝風呂を愉部屋に戻った。すっかり夜明けを迎えた海側の展望を眺めようと窓を開けた。何と東の岬の向うにくっきり浮かぶ富士山が目に飛び込んだ。わずかに頂きだけに横一線の雲がかかっているものの雪で覆われた南斜面が朝日に照らされて輝いていた。バイキング形式の朝食をとる。地場の食材をたっぷり使った和洋の総菜を少しずつお皿いっぱいに取り分ける。
■8時半に出身労組の現役・OB4人でレンタカーによる焼津観光に出発する。雄大な太平洋の眺望を求めて御前崎に向う。ホテルから約1時間で駿河湾西の岬・御前崎に到着。岬の突端に御前崎灯台があった。まっ白な灯台のらせん階段を登り最上階の展望台に出た。文字通り360度の絶景が広がっている。地球の丸さが感じられるような南側の広大な太平洋、西側の岬が延びた美しい海岸線、東側の公園を望む海岸線、北側の掛川や島田の街並みとパノラマが展開する。そして北東には富士の雄大な姿が望める筈だった。ところが肝心の北側の空はどっぷりと雲に覆われていた。最寄りの御前崎の海鮮なぶら市場でお土産用の海鮮を下した後、再び焼津に向った。
■焼津でのお目当ては昼食とお土産げ目的の「焼津さかなセンター」である。東名高速焼津インターすぐそばのセンターは水揚げされたばかりの鮮魚やその加工品を中心に70もの店舗が軒を連ねる巨大な市場だった。11時過ぎに到着し、ひとまず昼食をとることにした。市場の中に旬のネタを扱う高級回転寿司店があった。開店したばかりのお店に入り早速注文する。焼津特産のシラスと桜エビの軍艦、マグロ三昧(赤身、中トロ、大トロ)に蟹入りの赤だしを皮切りに各々お好みのにぎりを注文する。食べ過ぎ気味のお腹を気にしながら寿司店を後にした。待ち合わせ時間を確認し各自自由に30分ばかりのお買い物に散らばった。シラスと桜エビの釜揚げ、ちりめんじゃこ、桜エビ、ヒジキのフリカケ、サヨリの干物三尾、わさびの醤油漬け等を買い込んだ。
■12時半頃にセンターを後にし東名高速を駆って静岡駅に向った。駅前でレンタカーを返し1時12分の新幹線ひかりに乗車した。気のおけない旧知の仲間たちとの懇親と観光の旅が終わった。