新緑まぶしい絶好のハイキング日和
■近所のご夫婦と四人で、神戸市北区道場町の大岩岳に登った。朝9時半にマイカーで出発し、JR道場駅前を通り、10時に千刈り浄水場前の駐車場に到着。ここからいよいよハイキング登山が始まる。まぶしいばかりの新緑が目に沁みる絶好の好天である。浄水場横の川沿いの小道を行くと、大きな望遠レンズを装着したカメラを構えた人がいる。聞けば朝6時からここで待機してカワセミを捉えるシャッターチャンスを狙っているとのこと。写真愛好家たちのねばりに舌を巻く。
■行く手に忽然と巨大な千苅ダムの構造物が登場した。最上段の放水口からは豊かな水量が急角度の斜面に張り付くように流れ落ちている。右手の放水路からも、自然の滝のような水爆が見事だ。透き通るような青空、新緑の山並み、灰色のダムを覆う真っ白な水流、流れ落ちた水面のさざ波の青さ・・・息を呑むような絶景である。
ダム湖の絶景が見え隠れる登山道
■ダムの前の千苅橋を渡り川沿いに少し下り、坂道の登山道に入る。水源地を囲む網フェンス横の小道を伝って山中に分け入る。潅木が生い茂る山中を、先人たちが踏み固めた人ひとりが通れるだけの登山道が延々と続いている。30分ばかり登ると左手に突然青い湖が見えてきた。千苅のダム湖の眺めを楽しみながら一息入れる。巡視艇らしき白いモーターボートが波立てている。木々の間からは近隣で最も標高のある羽束山も見えている。先生に引率された男子高校生グループ数人が挨拶を交わしながら追い抜いていく。この辺りはもう尾根伝いの雰囲気だ。頂上はもう間近いと思われた。ところがそんなに甘くない。頂上とおぼしきところに出たが三角点がない。よく見ると谷の向こうにまさしく頂上と思われる頂きが見え、人の話し声が聞こえてくる。気を取り直して登山再開。最後の登頂は岩場が続く難関ルートだった。
標高384mの360度のパノラマ
■頂上を守る最後の岩を踏みしめた。ようやく山頂に立った。出発から1時間30分が経過していた。標高384mの三角点を中心にわずか5坪ほどの山頂だった。先客の主婦3人グループや中高年夫婦が弁当を広げている。先ほど先を越された高校生グループは携帯コンロとお鍋でスキ鍋風の調理に余念がない。360度のパノラマを眺めたり写真を撮ったりした後、昼食に入る。男二人は早速、保冷容器に入れた缶ビールに手を伸ばす。朝からの苦行がこの一瞬の喜びにかかっていたかのようにビールの心地よい刺激が喉から食道にしみこんでいく。山頂の見知らぬお隣さんたちとも一気に垣根のない会話が弾む。40分ばかり滞在し下山することにする。
上から眺める千苅ダムの度迫力
■下山ルートは登りとは別の南東の丸山方向のルートを選択する。丸山湿原・千苅ダムの道標に従って、倒木の多い湿原のダラダラと下る道が続いている。起伏の少ない変化に乏しい下山道だった。ルートの終盤に登山道に合流し、千苅ダムに到着した。さすがに下山は1時間10分と登山時間を20分ばかり縮めていた。ダムの前にダム湖の西側を光明寺方面に抜ける道がついている。その道をしばらく登るとダムの頂上横の道に出た。流れ落ちろ水流を上から眺める迫力のある感動的な風景が広がっていた。
■駐車場に戻りマイカーに乗り込む。二組の夫婦の登山の余韻を楽しむ切れ目のないおしゃべりが車内を覆う。2時半には自宅のドアを開けた。5時間のほどよい体力消費の山登りを終えた。万歩計が15000をカウントしていた。