京都タワーからの360度の展望
 昨日午後から今日午前にかけて労働委員会労働者側委員の近畿ブロック連絡会議総会があった。毎年この時期に開催される近畿二府四県の委員の研修交流の場である。各府県の持ち回りで会場設営が行なわれ、今回は京都府の担当だった。会場である京都駅前の京都タワーホテルでの総会が5時前に終了した。
 6時からの夕食懇親会までの時間を、宿泊サービスのタワー展望招待券を利用することにした。ホテルのあるビルの11階最上階からタワー専用エレベーターで一気に地上100mの展望室に運ばれる。展望室からは東山三十六峰の稜線をはじめとした京の風景が360度のパノラマで楽しめる。各方向に設置された無料の望遠鏡からは、清水の舞台の観光客の様子まで見える。ガラス上に掲示された建物名記載の写真と目前の建物を見比べてそのつど納得しながら展望する。完成後45年を経たタワーに初めて昇った。京都盆地のほぼ中央に位置するタワーならではの価値ある必見の展望だった。
早朝の東西本願寺の散策
 翌朝5時に目覚めた。7時の朝食までを周辺散策することにした。最初に訪ねたのは東本願寺の飛び地境内にある枳殻邸である。早朝6時前に開園している筈もない。周囲を一周し正面入口から覗くのが精一杯だった。入口正面の通りを西に進むと正面に東本願寺がある。正面突当りには御影堂門の堂々たる姿が見える。門内に入り工事塀に覆われた修復中の御影堂を窺う。隙間から真新しい甍の波が見え隠れする。塀沿いに北の端まで辿りそこから西に向う。途中、本願寺国際センター前に建つ親鸞聖人の銅像を過ぎ、堀川通りに出るとすぐ南に西本願寺がある。新撰組ゆかりの太鼓楼を見ながら堀に沿って南に進む。境内に入り御影堂近くに来ると大勢の読経の声が聞こえてくる。前を歩いていたお年よりがお堂正面の階段を昇り障子を開けて堂内に消えた。後に続いて堂内に入ると大勢の信者が僧侶のお勤めに合わせてお経をあげていた。早朝6時半頃の本山での信仰風景を目に留めながら、しばし念仏して辞した。宿泊ホテルに着いたのは6時45分頃だった。
葵祭りの雑踏と京都御所・建礼門の風格
 会議は11時に終了した。葵祭りの日でもある。会場を後にして駅前から乗車した地下鉄で「今出川駅」まで行く。今出川通りを左に同志社大学、右に京都御苑を見ながらひたすら東に進む。事前に入手した祭りの巡行ガイド情報では巡行コースである河原町通りの交差点付近で行列を見ることができる筈だった。交差点周辺を鈴なりの観光客が埋めていた。行列はまだずっと南の彼方のようでその姿は見えない。ならば下鴨神社まで先回りし、ずっと風情のある観覧スポットで待機しようと考えた。その考えの甘さは、進むにつれて思い知らされることになる。進むほどに観客数は膨れ上がり、下鴨神社には事前の観覧席チケット持参者以外は入れないと言う。やむなくその手前の葵橋付近で待機した。下鴨神社に11時40分到着の巡行予定は大幅に遅れているようだ。行列の先頭が12時頃に葵橋付近に差し掛かった。平安期の衣装に身を包んだ従者や騎馬姿の貴族たちが姿を現わした。大勢の従者に守られた花飾りの牛車が通り過ぎる。間延びした行列が延々と続く。空腹が最後まで見るだけの気分を萎えさせた。途中で観覧を断念し地下鉄駅を目指した。
 今出川通りから京都御苑に入った。折角そばを通ったのだから御所を外からでも見ておきたいと思った。緑深い御苑の中に御所の優雅な築地塀が果てしなく続いている。ようやく正面入口の御所正門の建礼門に辿り着く。切妻造り、桧皮葺の堂々たる風格である。
 地下鉄「丸太町駅」からJR京都駅を辿り、キオスクで求めたおにぎりを車内で口にしたのは13時前だった。