香港 お買物紀行
プロローグ「はからずも・・・家族ぐるみ海外ツアー」
■4ヶ月程前のことだったろうか。7月に妻と娘が「香港お買物ツアー」に出かけるという。「今回はお父さんは留守番しといて」。お買物ツアーなんぞ、とんと興味のない小生は素直に「ハイハイ」。
ところがその後、事情が変わってしまった。小生のサラリーマン人生が大きく転換したのである。スーパー業界の管理部門所属の身が5月に、子会社のアミューズ業界に転ずることになった。転籍してまもなく香港で展開している新たなアミューズ施設が話題になった。企画担当という職責からも大いに興味あるテーマであった。妻と娘の香港ツアーに相乗りしない手はない。早目の夏休み取得に名乗りをあげた。
突然の父親の変節に、戸惑いを隠さない娘の抵抗を、旅行社への一方的な追加申込みで強行突破。かくして我が家にとって初めての家族ぐるみの海外ツアーの運びとなった。パラサイトの身をも省みず娘がほざいていた。「もう二度とないことだし、しょうがないか」。
■娘の申し込んだツアーは、フリータイムの多い格安ツアーである。ツアーが近づくにつれ、娘のツアー計画づくりに熱がこもる。小生が買込んだ定番ガイドブック「地球の歩き方・香港」や、自ら調達したガイドブックやらと首っ引きで「我が家のオリジナル・パック」を作成している。フリータイムを思い通りのショッピングとグルメで満喫するのだという。それでも父親のアミューズ施設の見学コースはかろうじて入れ込んでくれた。
7月18日 出発・・・娘のツアコン就任
■7月18日、いよいよ出発。関空までのルートはマイカー利用に便利なK-JETを選択。9:45に自宅を出発し、約1時間で神戸港のK-CATに到着。神戸港から関空までの乗船時間は高速艇「クリスタルウィング」(左画像)で僅か25分である。事前に購入したチケットの料金は4日分の駐車料金込みで大人3人で14400円、1人当たり4800円である。重いスーツケースを引きずっての電車、バスの乗り継ぎルートよりパフォーマンスは高いといえる。
下船後、関空内のシャトルバスで4階国際線カウンターに。ツアー窓口での手続きと搭乗手続きを済ませ、昼食。なぜか日本食にこだっわて和蕎麦の注文。
13:30搭乗。搭乗機はAIR INDIA315。香港経由のデリー、ムンバイ行とある。格安ツアーならではの搭乗機だ。民族服に身を包んだ太目のインド人スッチーの姿(右画像)が目に飛び込む。
■14:20に離陸後、約4時間のフライト。1時間遅れの時差修正後の香港時間16:45にチェクラップコク国際空港に着陸。入国手続きを済ませ無事現地のツアーガイドに合流。
妻と二人だけのツアーではこうした手続関係は全面的に私の担当である。ところが今回は既に数回海外旅行の場数を踏んだ娘が同行している。家族全体のカウンター手続きから、両親のチケット・パスポート保管まで引受け、何かと面倒を見てくれる。今回の旅の我が家のツアーコンダクターにはどうやら娘が就任するようだ。
■かつて香港の啓徳国際空港は、九龍の市街地にあって操縦士たちから世界でもっとも危険な空港のひとつといわれていた。その分空港から香港の中心街までは至近距離にあった。3年前にランタオ島北部に開港したチェクラップコク国際空港は、香港の中心部まで約40km。バスで60分ほどの距離である。
ホテルに向かうバスの車中で、現地ガイドの「東洋旅行社・林(リン)鎮明」さん(右画像)からいくつかの助言があった。「パスポートのコピーは持っていますか?パスポートはホテルの金庫に保管し、外出の時はコピーを持っていくのが安全です。」「クレジットカードのナンバーは控えていますか?もしも盗難にあった時でも、ナンバーが分かっていれば迅速な対処ができます。」なるほど、これは頂き。今後の海外旅行にも使えるハウツーだ。
併せて車内で香港ドルとの交換をしてもらえるとのこと。当座の買物資金用に日本円2万円を交換した。1香港ドルが15.5円のレートだった。
■ほどなくツアー中の3泊の宿「アイランド・パシフィック・ホテル」(左画像)に到着。香港島の中心部の西端の上環(シェン・ワン)の更に西端に位置している。ショッピング街のある中心地まではかなりの距離がありそうだ。ここでも格安ツアーのデメリットが発揮されている。それでも7階の部屋からの眺め(右画像)はなかなかのもの。ビクトリア・ハーバーを挟んで対岸の九龍の町並みが展望できる。
■旅装を解くまもなく、娘のオリジナル・パックに従って中環(セントラル)にある四川料理の店でのディナーに出かけることに。ホテルのシャトルバスがある筈だったが本日運行中止とのこと。やむなく自力で目的地をめざす。ホテルの最寄の停留所から2階建てトラムに飛び乗った。方向は合っているようだが目的の駅まで行くのかどうか覚束ない。やむなく善良そうな年配のオジサンにカタコト英語で話し掛ける。返ってくるのは早口のカントン語らしき言語でチンプンカンプン。それでも地図を介して何とか教えてもらい無事、地下鉄「上環駅」前で下車。地下鉄で2駅先の「銅鑼灣(コーズウェイベイ)駅」に。ガイドブックに「数少ない四川料理の老舗」と紹介される「南北楼」(右画像)を捜す。辿り着いた「南北楼」はいかにも老舗風の店構えながら、店内の雰囲気は庶民的。盛り上がるイギリス人グループ(香港にたむろする白人グループはイギリス人の筈という思い込みなのです)の宴席の傍らのテーブルに着席。ガイドブックお勧めのエビチリ他の単品を幾つか注文。発注者の娘は、ガイドブックからスキャンして作成したオリジナルガイドの写真を指差して何とか意を通じている。蒸した鉄板に乗せられた熱々のエビチリがもうもうたる煙とともに登場する。
7月19日 乗り乗り観光とショッピング
■7月19日。ツアー2日目は香港名物の多彩な乗物の体験しながらの市内観光である。
8時過ぎに旅行社手配のバスでホテルを出発。とある街角で2階建て路面電車「トラム」(下左画像)に乗換え香港島の中心街を周遊。再びツアーバスに乗換え、香港必見の観光スポット「ビクトリアピーク」に向かう。
■展望スポットから望む中環(セントラル)のビル群、ビクトリア湾、対岸の九龍半島の眺めは壮観そのもの(下中画像)。”百万ドルの夜景”と謳われる足元の超高層ビル群の景観から、狭い土地を最大限に活用して発展を目指そうとする香港の人達のエネルギーや執念が伝わってくる。何はともあれここは家族そろっての記念撮影(下右画像)。
■ビクトリアピークからの下山は、ピークトラムと称するケーブルカーである(下左画像)。かってこれほどの急傾斜のケーブルカーにお目にかかったことはない。
■ケーブルを下車すると今度はオープントップバスと称する「屋根なし2階建てバス」への乗車である。幸い好天気に恵まれ、2解析に陣取って風を切って走る気分は最高。とはいえこれはあくまで好天気が条件。雨の日は最悪の席に早変わりする席でもある。
■香港島から対岸の九龍半島へはフェリー(下中画像)で渡る。現地の人々に混じってチケットを買い、乗船する。10分足らず航海ではあるが、ちょっぴりプライベートな旅人気分に。
■九龍半島に渡ると昼食タイムである。庶民的なレストランでの飲茶料理(下左画像)が待っていた。次々に並べられる飲茶の数々は瞬く間に胃袋を一杯にしてしまう。最初のピッチが後半に急速に衰える中華料理特有の配膳。同席の若い女性グループの健啖ぶりに舌を巻く。
■昼食後、向かった先は道教寺院「黄大仙廟」だった。バスから寺院までの道すがらガイドの林さんとの雑談。「香港への観光客はかっては日本人が多数だったが、現在は70%が中国本土からの観光客で日本、韓国が続いている。香港は今や広東省との広域経済圏の中心になっている。」参道の側で法輪功メンバーによるビラ配りの場面に遭遇。ガイドの林さんの批判的なコメントを聴きながら、香港が庶民の生活感の中でも着実に中国に組み込まれつつある現実を認識させられたひとこまだった。
本堂前の広場(下中画像)には、多くの善男善女が熱心にお参りをしている。あちこちで焚かれている長くて太いお線香の煙が境内にたちこめる。お年寄りだけでなく20代の若い参拝者の姿が目につく。筮竹の入った竹の棒を一心に振っているのは占いをしているとのこと。
本堂前の広場から階段を降りた所にも広場がある。その広場をバッラック風の建物が取り囲んでいる。180軒もの占い師たちが軒を並べる占いスポット(下右画像)である。
■以上が、今回ツアーの観光スポットである。この後は格安ツアー定番のツアーとセットのお買物コース。宝石店、アウトレット(どこがアウトレットやねん!)、シルク専門店、漢方薬店等を各々20〜30分かけての巡礼である。ツアー関係者へのマージン含みの売価が安いわけはない。ひやかしショッピングを決め込む積りが、漢方薬店での便秘の恐さと薬の効能説明の説得力に、思わず便秘薬を買ってしまった。
7月19日 フリータイム・・・マクドーンの正体?
■16:00頃、本日のツアーの全日程終了し、尖沙咀(チムシャーチョイ)駅近くのDFSギャラリアで解散。我が家のオリジナルツアーのスタートである。
まずは父親の仕事絡みの遊戯施設見学である。九龍半島南東のホンハムの「ホンハム・ジャスコ」の中にあるとの情報。タクシーを拾い助手席に陣取り地図を示しながら「ホンハム」と「ジャスコ」を交互に口走る。何とか通じた。15分ほどで無事到着。
ところがこれからが大変だった。ジャスコの店内をあちこちさまようが一向にそれらしき施設は見当たらない。やむなく地図片手に案内所で聞いてみる。彼女は頷きながら「マクドーン」「マクドーン」を連発するばかりで要領を得ない。表通りに出てあらためて周囲を見回す。ジャスコと交差点を隔てて斜め向かいにマクドナルドの看板が目につく。ここでやっと事態が呑み込めた。「マクドーン」の正体がマクドナルドであり、その建物の中に目指す施設があることを案内嬢(実際は案内オバサン)は告げていたのだ。
商業施設「Whampoa Garden(ウォンポーガーデン)」内の「Tressure Word」のビルの地下2Fに向かう。正面玄関からエスカレータを降りたところの正面に巨大なアラジンのモニュメント(下左画像)が飛び込んでくる。アミューズメント施設「美国冒険楽園Jumpin Gym USA」だ。地下2Fのワンフロアながら地下1階は吹き抜けになっており天井空間は広々としている(下中画像)。ここはもう店内施設をデジカメで撮りまくるしかない。とはいえ、いかにも業界関係者が同業施設をフォーカスしている格好ではいつ何時ガードマンの尋問にかからないとも限らない。娘の出番である。目指す施設の前で娘の記念写真(下中画像)を撮っているお父さんを演じる。
■ウォンポーガーデンから徒歩数分の所にフェリー乗り場がある。乗り場に隣接する桟橋から対岸の香港島のビル群(左画像)が、夕陽を映して美しい。北角(ノースポイント)行きのフェリーに乗り込む。片道10分、約70円の運賃だ。
■フェリーを降りた頃既に午後7時を回っている。北角駅近くの福建料理の店を目指す。地図を頼りに捜すが中々見つからない。捜しあぐねて道端で親子3人雁首を揃えていると若い学生風の女性が声をかけてくれた。地図を覗きこんで合点をしながら一緒にさがしてくれる。すぐに見つかった。「○江春小館※○の文字は門構えに虫という漢字なのだが何故かホームページビルダーでは?記号になってしまう」(右画像)である。ガイドブックには「日本の観光客にはほとんど知られていない穴場中の穴場」とある。屋台風の小さな店だ。ガイドブックの写真や壁の写真やらを指差してクレープ風、お好み焼風、チャーハン風、焼きソバ風などを注文。納得できる美味しい庶民料理だ。勘定をしてみて驚いた。ナント3人で99香港ドル(=約1540円)という安さだ。
■旅は日頃のダイエットの苦しみを一気にふっ飛ばすようだ。母娘は二人して燕の巣のデザートに挑戦するという。「地球の歩き方」紹介の「手軽に味わえる燕の巣デザート」の店「盞記燕甜品」に行きたいと主張する。疲れが出てきて渋る父親を尻目に地下鉄2駅先の銅鑼灣(コーズウェイベイ)駅に向かう。目指す店と思われる地点に到着。ところがここでも全くそれらしき店はない。周辺を徘徊してやっぱりここしかないと思われる店で勇を振るって尋ねてみる。ガイドブックを示してのカタコト会話。どうやらこの店舗で以前に営業していたようだが今は廃業してしまったようだ。全くの無駄足だった。「地球の歩き方」に言いつけてやる。やむなく銅鑼灣駅に戻り駅前の三越を散策。
7月20日 思いっきりショッピングデー
■娘のオリジナル・パックによれば丸一日フリータイムの本日は母娘にとってツアー最高のイベントデーである。
朝一番、中環(セントラル)駅近くの「陸羽茶室」で朝食をとる。ガイドブックのキャッチコピー曰く「伝統の味を伝える飲茶の名店」。入口ドア前にはインド人のドアマンが配置されハイグレードな構えである。
店内では駅弁の車内販売風にオバサンたちが次々に肩からかけた台に載せて各種の飲茶を売り歩く(左画像)。思い思いに5品ばかり取り寄せた。料理自体は取り立てて印象には残らなかったが、3人合わせて207香港ドル(=約3200円)の朝食会計は、昨夜の福建料理の安さもあって少々ビックリ。
■いよいよ買物ツアーの出発である。
最初のショッピングは娘の最大の狙いでもあるPRADAのアウトレット。目的地は香港島の南岸に位置する海怡半島にある。中環駅近くのセントラルバスターミナル(右画像)から海怡半島行きの特急バスで約30分の道のり。これで運賃は100円程度なのだから驚き。2階建てバスの2階最前部に陣取り、郊外の農村風景を楽しむ。途中、南方特有の激しいスコールに見舞われる。車窓を叩きつける大粒の雨や見る間に車道に溢れかえる雨水に息を呑む。海外ツアーならではの体験でもある。
■バス停「海怡半島」を下車。大規模なベッドタウンのど真ん中である。進行方向にそって2つ目の角を左折すると向い側に目指すSPACEの看板のビル(左画像)が見える。
■入店チェックはかなり厳しい。常時ドアは施錠されており、店内から入店者を確認して開扉する。平日の10時過ぎのこととて先客は日本人客の1組だけである。ワンフロア200坪位の売場にPRADAブランドが十分にゆとりを取って陳列されている。娘は「日本での価格よりかなり安く、その割に品数も豊富だ」と母親共々商品選びに夢中になっている。こうなるとオジサンの出番はない。ひたすらお買物タイムが終了するの待つばかりである。まだまだ不満げな様子だが、それでも1時間半ほどでお会計になる。娘のバッグ2個、新婚早々の長男の嫁のお土産用バッグ、それに小生の小銭入れのおまけが戦果である。
■店を出ると、止んでいた筈の雨が再び降り始めている。最寄の雑貨店で急遽調達した傘を差しバス停に向かう。「金鐘(アドミラル)」行きの特急バスに乗り込み12時過ぎに到着。香港有数の巨大ショッピングセンター「パシフィック・プレイス」が目前にある。早速、母娘の猛然たるショッピング開始。父親は到底一緒には付き合いきれない。時間と場所を決めて解散。晴れて自由の身になって適当に興味のある店を徘徊。1時間半ほどのショッピングタイムを終え、地下鉄の海底ルートで再び九龍半島に渡る。
■14:00、尖沙咀(チムシャーチョイ)駅を下車し、九龍公園近くの麺の店「雲呑麺世家」で遅めの昼食。雲呑麺、牛筋肉入り麺、つみれ入り麺と家族3人、各々の注文。ガイドブックのコメント「旨みタップリ、コクのあるスープ」通りの極上のラーメン。しこしこと腰のある細麺が独特のコクのあるスープにぴったり。
食後の腹ごなしをかねて尖沙咀駅を超えて徒歩20分ばかりのDFSギャラリアに向かう。有名ブランドのショップを集めた大きくて買いやすい店である。どの売場でも日本語が通じるのがありがたい。ここでの来店客は圧倒的に日本人観光客である。各々の職場、知人へのお土産やらブランドバッグやらを買込む。
再び尖沙咀駅方向に戻りペニンシュラホテル併設のショッピングアーケードに。有名な(自身は全く知らなかった)ペニンシュラチョコレートやクッキーを買う。1階ホテルロビーはいかにも老舗の名門ホテルらしい風格と雰囲気を漂わせる構えである。ここでのティータイムは香港ツアーの必須アイテムらしい。ところが喫茶スペースは満席状態で待合席にも数組の先客がいる。やむなく断念し、別のティータイムに向かう。
■地下鉄で1駅北の「佐敦(ジョーダン)駅」を下車。娘がガイドブックで見つけた「病みつきになる牛乳プリン」をなんとしても口にしようという魂胆である。牛の看板を掲げたその店「義順牛○公司(右画像)」はセブンイレブン隣にあった。牛乳プリン、玉子プリン、ココナツジュース、パパイヤジュースを注文。確かに牛乳プリンは美味い。かって味わったことのないマイルドな甘さとツルンとした舌ざわりは絶妙。しまった全員牛乳プリンにすべきだった。色んな味を楽しもうという欲張り根性が今回は裏目。
■店を出て2、3軒隣にいかにも庶民の店風の「乾物屋」があった。入ってみるとバイタリティーあふれるオバサン(大阪のオバハンにぴったりのイメージ)が矢継ぎ早に言葉を浴びせ掛けてくる。ありきたりのお土産よりこちらの庶民の味の方が面白いかもしれない。小海老や豚肉の乾物類をここでも一杯買込んだ。ところがいざ勘定という段になって驚いた。香港ドルが足りない。日本円ではダメとオバサンはノタマウ。仕方なくオバサンの教えてくれた最寄の銀行に行くが外国通貨の両替はやっていないとのこと。途方にくれていると銀行にいた商売人風のオジサンが親切に連れて行ってくれたのが宝くじ売場風の街の両替店。やばいかなと思いつつ日本円との両替を依頼。渡されたのは中国元と香港ドルの両方が表示されたお札だった。換算してみると妥当なレートだった。再び乾物店に戻りめでたく買物を済ませた。オバサンは思いがけず帰ってきた外国人客に敬意を表してかビニールバッグにいくつかのおまけの品をつめてくれた。
■再び地下鉄で銅鑼灣駅に戻り、超近代的ビルの中にある巨大ショッピングセンター「タイムズ・スクエア(左画像)」に。ビル中央の6階まで続く広々とした吹き抜けが贅沢な空間を生み出している。例によって自由解散し再集合。朝からのショッピングで荷物担当のお父さんの肩にはかなりの重量負荷が。夕食はいったんホテルに戻り、あらためて出直すことにした。
■17:30にホテルに到着。荷物を置き、シャワーを浴びて再びホテルのシャトルバスで中環(セントラル)に着いたのは18:30頃だった。香港随一のビジネス街であるセントラルのショッピング街の閉店時間は早い。香港のブランドショップのメッカ「ランドマーク」の閉店時間はガイドブックでは18:30。半分あきらめながら行ってみるとどういうわけか今尚営業中。母娘は嬉々として散って行く。
■ショッピングを終えようやく夕食タイムがやってきた。最後の晩餐はランドマークから歩いて10分ほどのところにある「北方小館(右画像)」。最後の晩餐のイメージには程遠い大衆食堂風の店だった。ガイドブックには北京風の麺と小食(スナック)専門店とのこと。こざっぱりした店内は常連客風顧客で賑わっていた。先客のテーブルにあった日本のジャコ飯風の丼が食欲をそそる。迷わず指差して注文。豚の角煮、卵焼き風焼き餅、水餃子、細ウドン風中国麺等々。テーブルに並んだ注文料理(左画像)はさしずめ香港家庭料理の趣きである。
■ホテル近くのセブンイレブンでアサヒスーパードライやらお握りやらを買込み20:30頃、ホテルに到着。ホテルラウンジでコーヒーとケーキで寛ぐ。部屋に戻りシャワーを浴びビールで晩酌。ガイドの林さんから電話。明日のホテル出発が早朝4:50分になったとのこと。23:00就寝。なが〜い1日が終わった。
7月21日 帰国・・・熟年オヤジに格安ツアーは似合わない!
■ゴソゴソという物音に目が覚める。早朝出発に目ざとく起きた妻の身支度の音。時計を見ればまだ3:40。娘はさすがにまだ眠りこけている。シャーない。起きるか。
4:25、ホテルカウンターでチェックアウト。4:45、バスでホテル出発。これからが大変だった。現地旅行社が契約し、本日の朝便で日本に向かうツアー客をあちこちのホテルから拾っていくのだ。ナント6ヶ所ものホテルに立ち寄った。我々のアイランド・パシフィック・ホテルはその最初のホテルだったからたまらない。これも格安ツアーのおぼしめしと考えれば我慢するほかはない。それにつけてももうゴメンだ。熟年オヤジに格安ツアーは精神的にも肉体的にも似合わない。
■6:00、チェクラップコク国際空港にやっと到着。ここでもまた問題発生。8:05出発予定の搭乗機AIRINDIA318(右画像)が8:50発になっている。ムンバイ発のトランジットのため到着が遅れているという。空港内での2時間30分もの時間つぶし。自分の買物の割にダンナのものが少なかったとの反省からか、妻は空港内のDFSでしきりに買物を勧める。バーバリーのゴルフシャツを手にいれた。時にはいいこともあるもんだ。
■8:40搭乗。9:15離陸。インド風の機内食のオカズを肴に缶ビール2本を空ける。最後の楽しみ。12:40関空に無事着陸。日本時間は13:40。夏休み直後の帰国とあって入国ゲートはガラガラ。あっという間に入国手続き終了。行きと同様、K-JETルートでマイカーを乗り継ぎ16:30に自宅に帰り着く。昼食を兼ねた夕食を、近所の焼き鳥料理の店で。
エピローグ 感想あれこれ
■2001年の夏の香港を訪れた。九龍半島を望む香港島のホテル7階からの風景を眺めながら思った。香港島を東西に貫く16車線もの幹線道路が眼下に広がる。トラック、バス、タクシー、乗用車、オートバイ・・・あらゆる乗物が精一杯のスピードをあげて疾駆する。九龍半島が間近に迫り、狭い海峡が香港島の間に横たわる。海峡もまた海の渋滞道路である。貨物船、高速艇、漁船、タンカー、フェリーが東西をかなりのスピードで行交う。一歩市中にでると多くの建物が考えられないほど高くそびえている。建物だけではないバスやトラムもまた2階建てがメジャーである。
「より高く」「より速く」この二つが香港のキーワードではないだろうか。狭い面積の中で膨大な人口を抱えた香港が、生き延びるための智恵が「速く」「高く」にこめられている。
■大人になった同居中の娘との初めての旅行だった。毎日顔を合わせながらいつのまにか生活空間は遠く離れている。そんな娘との四六時中行動をともにした4日間だった。知らなかった娘の一面をあらためて気づかされた。
グルメとショッピングという旅の目的に狙いを定めた事前の自前の詳細なガイドづくりはなかなかのものだった。我が家のツアコンの役回りをごく自然にこなしてくれたのは、社会に出てそれなりに責任をもった仕事の経験がなせることか。言葉の通じない海外で物怖じせずに身振り手振りで見知らぬ人に話し掛ける積極性をいつの間に身につけたのか。一度通った道を驚くほど良く覚えている方向感覚の鋭さも初めての発見だった。
考えてみれば、娘にとっても大人になってから初めてのオヤジとの旅である。オヤジのどんな一面を見たのだろうか。