2008年11月例会

 11月11日(水) 歴史街道と新しい旅の楽しみ方
■10月例会を欠席した私にとっては、8ヶ月ぶりの定例会場「やなぎ」での異業種交流会だった。この間の色んな事情でこの会場での例会開催は今日が最後になるようだ。6時半丁度にその「やなぎ」に着いた。3階会場には数人のメンバーと講師の先生らしき顔が見える。スライドを使用しての今日のスピ−チである。映写機とスクリーンのセットにかかる。7時の開会に何とか上映の準備が完了した。
■紹介者の川島代表幹事から今日の講師の経歴を中心に紹介がある。直近の10年間を歴史街道推進協議会・海外広報部長として活躍された玄道文昭氏である。レジュメを中心に豊富な資料、パンフレットを駆使したスピーチだった。柔和な笑顔を浮かべながら穏やかな口調で「歴史街道」に賭けた思いのたけが語られた。
■私にとって「歴史街道」とは、道上洋三さんの独特のナレーションで毎日のように繰り返し放映される朝日放送の短時間テレビ番組のことだった。目にすれば必ず見入ってしまう好番組だ。その「歴史街道」が実は、壮大なプロモーションの一部でしかなかったことを初めて知った。
■次のような「歴史街道」構想の背景と具体化の経過を教えられた。
 『1980年代のバブル経済期の外国人から見た日本人は「拝金主義」といったの負のイメージが突出していた。こうした見方に危機感を持ったのが松下幸之助氏を座長とする「世界を考える京都座会」の有識者たちだった。関西には国宝の約6割、重要文化財の半数が残されている。これらの文化遺産を活用して「顔のある日本」を語れないか。日本の歴史や文化を外国人にもわかりやすく表現して世界の人に日本の素顔を知ってもらおうと構想されたのが「歴史街道」である。その後「京都座会」から三つの目標からなる「歴史街道計画」が発表された。』 
■『1991年、関西の官民による「歴史街道推進協議会」が計画の推進母体として発足した。協議会は、歴史街道モデル事業を骨子とする「地域づくり」、朝日放送による”歴史街道〜ロマンへの扉〜”を骨子とする「観光振興」、世界主要都市で関西の魅力を発信する海外キャンペーンを骨子とする「海外広報」を主な活動内容としている。』
 そして「歴史街道」が歴史都市と時代を「つなぐ」ルートであるとの次のような「眼から鱗」の興味深い解説に驚ろかされた。
 『関西にはたくさんの歴史都市がある。古代からの自然崇拝の信仰を今に伝える「伊勢」、大陸文化を受容し日本文化の揺籃の地となった「飛鳥」、本格的な古代中央集権国家の成立を見た「奈良」、平安時代から室町時代にかけ国風文化の花開いた古都「京都」、江戸時代に町人文化の成熟した「大阪」、幕末の開港と文明開化を先導した「神戸」などである。「京都座会」メンバーは、「伊勢〜飛鳥〜奈良〜京都〜大阪〜神戸」と一筆書きにつなぐと、日本史を神代・古代から中世、近世、近代と、ほぼ時代順につないだ「歴史街道ができることを”発見”した。』
■講師のスピーチが後半の部に移った。持参の160枚ものスライド写真を駆使しての目で見る「新しい旅の楽しみ方」の提案である。関西の歴史街道の各歴史都市のスポット映像だけでなく、ドイツのロマンチック街道、フランスのアルザス街道、イタリアのアグリ・ツーリズム、アメリカの建築ツアー、韓国の世界遺産街道などが解説付きで次々と写される。全て講師自身が足を運んで切り取ったものだ。単なる観光でない歴史と文化を学ぶ旅なのだ。最後に講師から「歴史街道倶楽部」の入会案内パンフの紹介と加入方法の説明があった。歴史探訪ツアーや講演会への参加、各種文化施設の入場割引、会報、ガイドブック送付など盛り沢山の特典がある興味深い倶楽部だ。
■大阪というローカリズムにこだわり、さくらに象徴される日本の文化や歴史にこだわる大阪さくら会にとって、極めて的を射た例会だったことをあらためて実感した。
 それにしても講師の豊かなビジネス人生に羨望の念を禁じえなかった。とりわけ還暦目前までの10年間の歴史街道推進協議会・海外広報部長の職務は他に変えがたい魅力的なものに見える。もちろん人に語れない苦労があったに違いない。とはいえそれを上回るロマンとやりがいに満ちたミッションだったのではないか。  
■スピーチを終えて、懇親に移った。料理が運ばれ店長からのお品書き説明がある。この「やなぎ」での例会開催は残念ながら今日が最後になりそうだ。この会場での開催は5年以上、40回にも及ぶ。例会ごとの店長と料理長による工夫を凝らした「本日のお品書き」と「銘酒」は、例会参加のを愉しみのひとつでもあった。井上代表幹事からの店長へのお礼のメッセージも伝えられた。
■しばらく料理を味わい、参加者相互の懇談が続く。今回初参加者の紹介が紹介者の野木さんからあった。そしてご本人・司法書士の吉村公成(きみしげ)さんの自己紹介を受ける。
 尚、今回の参加者は、川島、井上、日高、川村、盛田、木下(康)、森、府録、生原、北村、上林、浦濱、新屋、野木、奥野、中井、浅野、吉村の18名の皆さんだった。

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