2005年10月例会

 10月12日(水) 大阪ナイトカルチャー事業
10月例会は、大阪商工会議所・地域振興部の堤成光課長にお越しいただき「大阪ナイトカルチャー事業」についてお話を頂いた。川島代表幹事が「関西・歌舞伎を愛する会」の活動で、今日までお世話になってきた方である。堤課長は、勤務後に食事を楽しんだり公演やイベントに参加できるようなナイトライフを目指して着実に成果を上げてこられた。仕事一辺倒のライフスタイルを改め、心のゆとりや文化への関心を高めることが求められている折りでもあり、下記のような示唆に富んだお話があった。
■大阪ナイトカルチャー事業は、2年前から始まった。この事業は、大阪で住み、働く人々や国内外からのビジターが、豊かで楽しく、安全かつ文化的なナイトライフを過ごしてもらえる大阪を目指すとともに、新たな夜型市場の開拓や消費の拡大を図ることを目的としている。大阪商工会議所として、製造業も大切だが、大阪を楽しめる街にするため、観光産業を重視している。修学旅行を見てもわかるように、京都、神戸などに比べ、大阪は見学だけで宿泊してもらえない。宿泊客と通過客では、地元に落ちるお金は7倍から8倍違うと言われている。どこの自治体でも夜に滞在してもらえる都市づくりにしのぎを削っている。大阪も滞在型都市を目指そうと、大阪府、大阪市、経済界も一致している。
■私たちは、夜を楽しくするためには、どういうことができるかを考えて事業を進めている。簡単に言うと、夜をにぎやかにし、楽しくて泊まりたくなる都市づくりである。その障害の一つに、夜のショーの開催が早いという点がある。文楽や歌舞伎の開演は、4時か4時30分である。調査したら、99%以上が午後7時以前に始まるという結果がでた。5時30分に仕事が終わって、6時30分開演だと、会場へ着くのがやっと。汗をかいて席に着くと演奏が始まる。クラシックやオペラなど文化的なものを鑑賞するとき、お腹を空かして鑑賞するのは文化的でない。

 アメリカなどで、シンフォニーに行くと開演は8時頃であり、7時前からゆっくりと食事をとり、演奏を聴くというのが一般的だ。ローソンのおにぎりやマクドナルドのハンバーガーをロビーで食べてから鑑賞するという大阪の実態を変えていきたい。
 アンケートを取ると、7時30分以降の開演希望が71.2%、開演前にきちんと食事をする人は僅かに3.9%だった。文化的な街づくりをしたいということとあわせて、商工会議所という性格上、何か経済活性化のお役に立ちたいという考えもある。レイトショーが増えれば、食事が増えるという回答が78.9%もあった。
 そして、食事の費用は、一番多かったのは千円増やすという答えであり、二千円増やす声もあった。外食産業に及ぼす経済効果が大であることも示していた。日本総合研究所に委託研究をした結果、経済波及効果は、当面150億円、将来的には930億円という結果がでた。また、新規雇用も1万人ぐらい増えるのではないかという結果であった。
■次に、泊まりやすい環境を作りたい。例えば夜の11時の時点で空き部屋があれば、定価1万円の部屋を5000円にしてもらえないか。そうするとタクシーで帰る方も泊まるという人が増えるのではないか。我々としては、ミツドナイトチェックインと呼んで各ホテルにお願いし、この年末からスタートしたいと思っている。
 昨年6月に大阪ナイトカルチャーフェスティバルとして、大阪ビジネスパークで集中的にイベントを実施した。更にイベントだけでなく、食事も楽しんでもらうため、ホテルニューオータニ、ツイン21、IMPビルと連携して、開演前にこの日だけのお食事プランも作って頂いた。イベント後に調査すると、前年対比で5割以上食事の売上げが増えた。また、レイトショーだけでなく、美術館や博物館、水族館をコンサートホールやレセプション会場として活用していく取り組みを進めた。企業も販促活動のイベントや創立記念パーティなどに活用して頂きたい。
 今年3月、国立国際美術館で中国国宝展の鑑賞の後、館内で料理の鉄人で有名な石鍋のお店で、特別ディナーを楽しみ、その後、日本テレマン協会の演奏を聴くという企画を実施し高い評価を得た。この企画は、発表して1時間後に完売した。また、天王寺の市立美術館でミラノ展が開催された。鑑賞後、ホールでカクテルレセプションと、日本テレマン協会のコンサートを企画したが、150席がすぐに完売した。このようなモルモット事業を、どんどん真似してほしい。すでにダイキン工業の財団でクラシックの音楽会を国立国際美術館で定例的に開催するということが決定された。これらは、月曜日の休館日を借り上げて実施する。大阪倶楽部でクラシック音楽と、花外楼の洋食屋でのディナーを楽しむという企画も、すぐに完売した。7月に大阪城西の丸庭園で野外の映画会を開催した。これは、定例化してやっていきたい。
 欧米では、運営費はスポンサーの協賛金で賄い、参加費は全額寄付ということがよく行われている。ニューオリンズでハリケーンの大きな被害があったが、過日、関西ジャズ協会と共催で、チャリティジャズコンサートを開催した。会場は、りそな銀行のホールを無償提供して頂いた。協賛企業として1社10万円を募集し、10社ぐらい集まればよいと思っていたが、すでに19社が集まり、これで運営費を捻出した。参加費は、4000円であり、300名ぐらいかなと思っていたが、550名いっぱい集まった。寄付は1万ドル、110万円ぐらいと考えていたが、250万円位はできそうである。
 各メディア、マスコミも好意的に取り上げてもらっている。シンポジウムや、いろんな企画を午後7時30分開演で企画され、報道もしてもらった。レイトショーは、着実に広がっている。会社などで午後7時30分以降の意義あるイベントをされるときは、大商ニュースやホームページで紹介するなど、お手伝いをさせてもらうので、ご連絡頂きたい。
■堤課長のスピーチの後、恒例のやなぎ店長から、本日のおしながきの紹介があった。「本日は秋をテーマに、生そばの唐揚げ、もどり鰹のたたき、がんもどきの茸あんかけ、地鶏もも焼き、松茸のわっぱ蒸し、秋鮭の押し寿し、大皿仕上げ蕎麦、栗羊羹を準備させて頂きました。お酒は土佐鶴をご用意しました。」そしていつもながらの賑やかな会食交流会がスタートした。
宴も高まった時、盛田さんから初参加の株式会社野木の野木寿也社長の紹介があり、ご挨拶があった。府録さんからは来月の例会案内があった。11月26日(土)、芦屋での食事付きはジャズ演奏会である。最後に堤課長に対する御礼と、ますますのご活躍を祈念し感謝の拍手でお開きとなった。なお、今回の例会参加者は、川島・竹内(佳)・森・高見・家入・木下・生原・浦濱・筧田・三浦・川村・谷山・盛田・府録・野木の皆さんだった。(文責:川島)

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