明日香亮のつぶやき日記 2004年11月

初めての妻の入院
11月29日(月) 入院の日
■数日前、職場に妻から電話があった。「今、病院から帰るとこ。2-3日入院して手術せんとあかんのやて。」
 妻の左手中指の指先近くに数年前から豆粒状の塊りができていた。放置していたが、健康診断でキチンと検査するよう指摘されたようだ。検査を受けた三田市民病院からの電話だった。
■妻の入院の日がやってきた。私は付き添いのため2日間の休暇を取った。結婚後、私は、何回かの入院を経験している。今振り返れば、そのつど妻の献身的な看病に助けられた。人一倍健康な妻にとって、今回は初めての入院になる。
 朝10時、JR新三田駅に近い三田市民病院に着く。急増する人口を抱える三田市の最大のベッドタウンであるウッディータウンの入口に位置している。平成7年に移転新築された最新鋭の大病院である。入院手続きを済ませ、指定された4階の病室に向う。
 カーテンで仕切られた4人部屋の病室は、入院生活の便宜を配慮した様々の工夫が凝らされている。収納ケースにはキー付きの引き出しや、コート収納スペースや、プリペードカード方式のテレビが設置されている。ベッドはリモコンで高さ調節やリクライニングが可能である(手術の際は、ベッドのまま手術室まで移動していた)。
■しばらして、担当の整形外科の医師が訪れ、手術の概要が伝えられる。「レントゲンで見る限り心配することはないが、患部を開いてみないと正確なことは分からない。悪性の場合は、関節の骨を切除する場合もある。」
 高校時代の盲腸の手術しか経験のない妻の顔がこわばる。ここまでくれば医師に全てを委ねるほかはない。「よろしくお願いします」
■昼前になった。帰るつもりでいたが、病室で一緒に昼食をとるものと思っている妻の口ぶりの前では、病院内の売店に行くほかはない。ちょとしたコンビニ風の売店には、予想以上の品揃えの弁当が並んでいた。ここにも病院の進化がある。12時になっても入院者の配膳が始まらない。入院ガイドを見ると、昼食は12時半、夕食も6時からとなっている。従来の病院側の都合に合わせた早すぎる配膳が、ここでも患者中心に改まっている。
 病室の収納ケースのスライドテーブルを挟んだ夫婦の昼食。手術を控えた妻にかける言葉は、いつになくやさしさがこもる。食事を終えてようやく席をたった私の背中に声がかかる。「ありがとう」。その他人行儀な言葉の中に精一杯の感謝の気持ちが伝わってくる。  
11月30日(火) 手術の日
■前日から今朝にかけて3度ばかり妻からの電話。こちらからはかけられないのだからやむをえまい。とはいえ用件はとりとめないものばかり。一人で病室にいる不安と寂しさの裏返しか。
 前日、看護師さんに尋ねると「手術の1時間位前には来ておいてください」とのこと。1時の手術ということで少し早めの11時40分に病室に着く。昼食は、今日も道中のセヴンイレブンで調達したコンビニ弁当である。
 1時前、看護師さんが手術着を持参。着替えを済ませ待ち受ける。予定時間を30分ばかり遅れて、看護師さん二人が登場。使用中のベッドのまま手術室に向う。ついていこうとする私に看護師さんは、「それじゃエレベータ前まで・・・」と宣告。エレベータ前、不安げな妻に「ガンバレヨ!」の一声。
■さーこれからどうするか。カーテンに仕切られた病室は、ベッドがなくなり寒々とした光景に一変している。訪問者用のパイプ椅子で読書をする他ない。持参の文庫本を開く。読書の合間に、同じフロアの廊下を端から端まで散歩したり、テレビのスイッチを入れたりしながら時間を潰す。何となく1時間程の手術と思っていた時間が経過しても、何の変化もない。手術が長引いているのかとあらぬ不安がよぎる。
■3時15分、ようやくベッドに乗せられた妻が帰ってきた。麻酔がまだ効いているのか眠ったままの様子。「手術はどうでした?」。思わず看護師さんに尋ねる。「詳しくは先生から説明がありますが、特に問題はなかったようです」。(良かった〜ッ)

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