明日香亮のつぶやき日記

2002年11月
11月18日大阪さくら会例会 70歳の青春--朗読が社会を変え時--  
■2回の例会を欠席し、3ヶ月ぶりの出席だった。このところ例会の定番会場にもなりつつあるという「味作」は地下鉄・長堀橋を歩いて500メートルほどのところにあった。
6時過ぎの早めの到着を待っていたのは、井上さんと講師の先生とおぼしき年配の女性のお二人。頂いた名刺には「和歌山グループ声代表・山本和子」とある(例会中に頂いたもう一つの名刺には「パソコンボランティア会長」の顔もある)。
定刻を少し過ぎた2階会場には、井上さん、森さん、市川さん、岸さん、吉川さん、福井さん菅さんと私を含め8名のメンバーに、岸さんの友人である初参加の谷山さん(東芝ライフエレクトロニクス勤務)、中村さん(ケーキ工房・Vy'Borne)が顔を揃える。少し遅れて山本講師の知人の上林さん(エジプト航空勤務)が合流し、総勢12名が今回の顔ぶれだった。
■井上さんの紹介で山本講師のスピーチが始まる。いきなり「現在70歳でもうすぐ71歳になります」との自己紹介に始まる話し方は、さすがに元NHKアナウンサーという経歴を頷かせるに十分なものだった。今尚1年に一度は東京のNHKの講習会で研修を受けているというきれいな標準語が、ボイストレーニングに鍛えられた張りのある透き通った声で繰出される。
「パワフルで行動力にあふれたグランママ(井上さんの講師紹介)」の、「朗読」というツールを通じての30年以上のボランティア活動の歩みが、淡々とそして時に情熱的に語られる。
氏のボランティア活動に傾ける情熱は、3年前にご主人を亡くされて以降、一層激しく燃え盛っているかのようだ。「70歳の青春・・・」そんな言葉を思わずイメージしてしまう30分余りのスピーチだった。
■「目の見えない方とのお付き合いを通して、物事の本質に気づかされることがあります。目の見えない方々の参加する発表会の様子を写真でなく録音テープで参加者にプレゼントしたところ『私には写真を貰えないのですか。だって写真は人に見せるものでしょう。』と言われました。目の見えないある女性が『私は燃えるよう赤が大好きです』と言います。彼女は色を見ているのでなく、色を感じているのです。ひょっとしたら目の見える私達より彼女の方が、色をより本質的に理解しているのかもしれません。」
スピーチのなかで語られた印象的だった一節である。
■今後は、ハンセン病患者の声の語り部としての役割を最大限演じ続けたいというのが、氏の現在の心境だという。知らず知らずの内に加害者だった自らの過去が率直に語られ、ボランティア活動でのハンセン病患者との出会いを通して自らの誤りに気付かされ、その事を原点に歩むべき道を選択したとのこと。スピーチの締めくくりに語られた「朗読」の原稿は、ハンセン病患者の女性の半生を綴ったものだった。氏の誠実さに心打たれるばかりである。
■心に響く感動的な例会だった。同時に、企画・運営を一手に引き受けてもらった井上さんの人脈の広さと企画力の確かさにあらためて敬服させられた例会でもあった。
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