趣味と特技の作品集

30歳頃には、プラモデルに夢中になっていた。
今思えば、仕事のストレスを発散させる格好の時間だったのだろう。
梅田のキディーランドに知人がいたこともあって、プラモのコーナーにはよく足を運んだものだ。
そこで目にした帆船模型の完成作品は、プラモを超えた圧倒的迫力であった。
とはいえ、当時で3万円位もした価格は、キットを買う決意をためらわせていた。
見るからに難しそうな船体作成も、購入を躊躇させていた。
意を決して購入し、作成にかかったが、やはりプラモどころでないハードルの高さであった。
とりわけ船体を覆う側板は、熱したコテでカーブをつけて一枚ずつ貼り付けていくという根気との戦いだった。
遂に、仕事の忙しさを口実に半分ほどのところで投げ出した。
高い買物を無駄にした父親に対する、家族たちの「非難の視線」が身にしみた。
そんな頃のとある日、小学低学年の娘に「最後までやり遂げることの大切さ」を諭す場面とあいなった。
賢明な読者の推察どおり、見事に失敗したのである。
「お父さんの帆船は?」という娘の一言は、父親の威厳を吹き飛ばすにじゅうぶんなものだった。(^^;)
翌日から、失った父親の威厳回復の戦いが始まった。
掲載の帆船の完成模型は、「父親の威厳号」と命名されている。
読者にはどうでもよい単なる模型にもかくの如き「汗と涙の物語」が込められている。

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