1984.04.17
QC発表大会・挨拶

阪神タイガースのQC活動


テーマ「首脳陣批判の100%削減」
あの!「阪神」が今シーズン、なんとッ開幕早々快進撃を続けています。どうもいつもと様子が違っています。
好調の背景に、今年のシーズンオフには、恒例のチームの内紛が聞こえてこなかったからという説が、まことしやかに語られています。
”ベンチがアホやから野球がでけへん”という名セリフを残してあの江本が退団したばかりです。
ことほどさように、シーズンオフに内紛が聞こえてこない「阪神」というのは、これはもう異常な事態なのです。
思わず「阪神」もQC活動をやっているのではないかと想像してしまいました。
サークル名は、安藤リーダー率いる「ベンチサークル」です。登録テーマは、もちろん”首脳陣批判の100%削減"です。今もところその効果はかなり発揮されているようです。効果の最終確認は、シーズン終了時に行いますが、これほど効果がストレートな活動も他にありません。
それにしても「阪神」の自由奔放なチームカラーは、やっぱり大事にしてもらいたいと思います。選手ひとりひとりの個性や自主性が尊重され、その総合力が発揮されてこその「阪神」です。
「阪神」には、"広岡式管理野球"は似合いません。

QC活動・・・西洋文化との出合い
「阪神」のチームカラーにも似た企業風土を持つ当社に、QC活動が導入されました。
吸収合併を経験しないまま、拡大してきた当社の企業風土には、単一民族的な「同じ釜意識」がもたらす組織や規律にとらわれないおおらかさがあります。
そんな風土に科学的分析手法を真髄とするQC活動が導入されたわけです。まるで日本民族がはじめて西洋文化と、出合ったようなものです。
そんなわけですから、導入方法も極めて独特のものであったように思います。他社でよく見られるような、導入に際しての全社挙げての「キックオフ宣言」もありませんでした。導入後も強引な拡大の活動もなくジワッと着実に輪を広げるという形で進められました。
個人の自主性を重んじるという風土は、QC活動においても、形にとらわれず各サークルの自主性や個性がそのまま反映されるという運動スタイルをつくっているように思います。「いかにも当社流」というのが、今日の発表を聞きながらの感想です。
ところでそのようなQC活動であればあるほど今後の課題として気になる点があります。それは、今日の発表にもあったような優れた活動の成果が、社内でどのように普遍化され、全体化されるのかということです。そのためにQC活動全体をまとめる組織をどのように整備するのかということも問われてくるのではないでしょうか。

労働組合との共通項
労働組合の役割も「働きやすい明るい職場つくり」という点では、QC活動に通じるものがあります。
QC活動を通して、職場のコミュニケーションが良くなり、作業改善が進み、同時にそのことによって働き甲斐が生まれるなら、大いに結構なことです。
労働組合の立場から、また組合員の立場から、作業時間の効率化と残業やサービス労働の削減が重要なテーマとなっています。
こうしたテーマにもぜひ挑戦していただければと思います。

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