2008.04.26 大学サークル同窓会
■8年ぶりの大学サークルの同窓会の日である。前回は大学のある岡山での開催だった。今回は、関西在住者も多いことから大阪での開催となり、私が幹事役を引き受けた。
 大阪らしい企画で楽しんでもらおうと頭をひねった。上方落語定席である「天満天神繁昌亭」での寄席の鑑賞をメインに大阪天満宮やお初天神を散策した後、同窓会で締めるというプランで案内した。最終的に8名の皆さんの出席返信をもらった。岡山をはじめ神奈川県や山口県など遠方からの参加者も多い。無事に大阪駅中央改札口前に集合できるか一抹の不安があった。ところが自宅を出ようとした時に緊急の所用が発生し、私自身が集合時間に大幅に遅れるという事態になった。関西在住のTTさんやSKさんに連絡し携帯でやりとりしながら、何とか予定者全員が昼食会場に先行してもらうことができた。
■地下鉄「南森町駅」近くの昼食会場「和膳・萌のとき」に30分遅れで到着した。案内されたテーブル席には予定の顔ぶれが揃っていたが、まだ料理は運ばれていない。この店のお昼の人気メニュー「箱膳」の予約が集中し、配膳が遅れているようだ。八つに仕切られた大きな箱の器に盛られた懐石風の和食が運ばれた。お代わり自由の3分つき米とともにボリュームたっぷりの昼食を終えた。  
■繁昌亭に到着した時は、開場の12時30分をかなり過ぎていた。ほぼ埋め尽くされた客席の最前列に辛うじてまとまった空席を見つけ、8名の参加者が分散しながら着席した。賑やかなお囃子の音が鳴り響き開演となる。舞台上手から鮮やかな黄色の和服姿の若手落語家「桂ひろば」が登場する。出し物「動物園」を太った体を駆使して額に汗を滴らせながらの熱演である。最前列の席がその迫力を倍化する。以下、笑福亭由瓶、月亭八天、マジックの笑福亭智之介、笑福亭伯鶴、桂小米朝と続き中入りとなる。15分ばかりの休憩のあと桂三金、桂歌之助、浪曲の菊池まどか、桂米二と続く10人の演者による3時間15分の寄席だった。何といっても面白かったのは桂米朝の長男・小米朝だった。出し物「親子茶屋」の本題前の小話では、人間国宝の長男ならではの悲哀とエピソードで思い切り笑わせられた。落語の合間のマジックと浪曲もひと味違う楽しさがあった。若手女性浪曲師・菊池まどかの声量のある節回しが場内を圧倒した。傍で三味線を弾く和服美人にしばしば視線が移ったことも白状しておこう。
■終演後、出演者が見送る玄関を抜けて表に出る。繁昌亭の風情のある建物前で記念写真を撮った後、隣接の大阪天満宮(天満天神)に足を運ぶ。大宰府天満宮・北野天満宮とともに日本三天神のひとつとしても知られる神社である。意外に狭い境内を散策し地下鉄「南森町駅」に向う。
■一駅隣の「東梅田駅」から徒歩数分のところに「お初天神」がある。遊女「お初」と手代「徳兵衛」が情死した天神の森に鎮座した露天神社(つゆのてんじんしゃ)である。近松門左衛門が「曽根崎心中」の題名で劇化し大評判となった。以降「お初天神」と通称され、参詣者が絶えなかったという。かっての天神の森は今や大都会の飲食街に囲まれた小さな空間としてその面影をとどめている。
■お初天神本殿の背後の通りの向かいのビル4階に同窓会場の「土筆んぼう・お初天神店」があった。週末の5時前の店内は貸切り状態である。近況報告を皮切りに同窓会が始まった。60台半ばの男女各4名の参加者である。それぞれに風雪を乗り越えた確かな生活の重みが伝わる報告だった。報告が終わるたびにフランクなやりとりが交わされる。40年を超えた時間の隔たりが苦もなく埋められている。学生生活のサークル活動という貴重な原体験の共有がなせる業なのか。欠席者の近況を連絡役でもあった私から報告した。欠席者のそれぞれに関わりの深いメンバーからの補足情報に花が咲く。とりわけ注目を集めたのが今回の同窓会の発案者でもあった岡山のOHさんの近況だった。大病を発症し、10日ほど前に10時間に及ぶ大手術を終えたOHさんの今回の参加は望むべくもなかったが、その真摯な生き方への共感の声が多かった。
 飲み放題付きのコース料理を予約していた。この歳で飲み放題でもなかろうと思ったが会費精算時の煩わしさを免れる利点を選んだ。結果は正解だったようだ。全員の生ビールによる乾杯の後、次々にお代わりを重ねたり焼酎や梅酒の杯が重ねられている。懐かしい顔ぶれとの久々の邂逅が、日頃の飲酒の歳相応の自制心を忘れさせている。
■女性陣には主婦の務めも待っている。実母の介護を抱えた人もいる。予定時間前の早目のお開きとなった。元気になったOHさんや今回所用でどうしても参加の叶わなかった仲間の参加も得て、遠くない時期の次回開催を実現したいと思った。
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