ソンドゥ・ミリウ水力発電プロジェクトについて

■プロジェクトの概要:

 ケニア西部キスム地方のビクトリア湖に注ぐソンドゥ・ミリウ川に建設されている水力発電用ダム(60MW, 30MW×2基、流れ込み式発電)。ケニア電力公社(KenGen)が日本工営にコンサルタントを委託、施工は鴻池組等。

 1985年には国際協力事業団(JICA)の支援によって本事業のマスタープラン「ソンドゥ川多目的開発計画」が策定されており、本事業はその最優先事業として位置づけられている。

 1989年から2度にわたって国際協力銀行(JBIC)による円借款供与が行われており、総工費は約200億円。1999年3月着工、2003年完成予定。現在、106億円の第二期追加融資へ向けて準備が進んでいる。

■国民不在、不透明なODA行政

 週刊ポスト誌に、99年8月当時官房長官だった鈴木宗男氏が「ケニアが債務を返済し続ける(=債務削減を求めない)のと引き替えに新規円借款を行う」約束をとりまとめたと報じられた。鴻池組は鈴木宗男の有力後援企業。

 日本のODAの受注がもっぱら日本企業であることを批判され、外務省はODA事業の受注を原則アンタイド(どこの国の企業でも入札に参加できる)としているが、この追加融資は「水力発電=二酸化炭素をださない=環境にやさしい環境案件」として日本企業タイド(日本企業だけが受注できる)となっている。

 この件に関し、環境NGOである地球の友ジャパンや国会議員が繰り返し、ケニアの債務返済状況や、第一期工事費の内訳の詳細(土木工事の一部に44億2500万円、コンサルタント会社に18億7600万円としか明らかにしていない)を明らかにし、このプロジェクトの財政面での妥当性を示すよう要求しているが、政府は「債務はちゃんと返済されている。これ以上明らかにすると、ケニア政府の信用に関わる」「工事費用の使途を明確にすることは企業の正当な利益を害する」と、情報の公開を拒んでいる。

■重債務貧困国への融資?

 現在世界には「重債務貧困国(HIPCs)」と呼ばれる国が41カ国ある。これは、巨額の累積債務を抱え、なおかつ貧困にあえぐ国々のことである。1999年、日本は重債務貧困国が申し出れば、ODA債務を帳消しにすると宣言した。ケニアさえ申し出れば、追加融資106億円はすぐに不良債権化する。

 日本は、ODAの半分が毎年利子付きの有償援助(円借款)という、世界最大の「金貸し国」。これまで、貸し手側の都合にさえ合っていれば、相手国政府が独裁政権であろうと、現地にどんな反対運動があろうと、採算の取れない事業であろうと、貸し付け続けてきた日本。その結果が、現在、多くの途上国を債務危機に陥れている。

 日本は毎年、回収不可能となった不良債権を300億円以上出し、その一方でそれらの重債務貧困国に対し新しく貸し付けている。これらの国がなぜ、重債務に陥ったのか、過去の事業がなぜ利益を生んでいないのかについては、何の反省もなされていない。

■見直すべきは日本の援助哲学

 ソンドゥ・ミリウダムの完成後は、次々に他のダムが作られ、その電力でケニアの産業を支えて経済を向上させ、その収益から債務返済を行っていく計画となっている。

 このような目論見に基づく大規模開発重視の援助がこの30年間行われてきたが、アフリカ経済は好転せず、累積債務は膨れあがり、貧富の差は膨張し、国民生活は疲弊し、エイズのために平均寿命は10年近く縮まりつつある。世界的にも巨大ダムの建設による開発の時代は終わろうとしている。

 日本政府は「相手国が要請するから援助を出している」と主張するが、被援助国の貧しい人々にはほとんど恩恵は及んでいない。見直すべきはこのような援助のあり方そのものではないだろうか。

■事業に関し指摘される問題点

● 川の流量に関して:

・ソンドゥ川から取水すると、その下流10kmは乾季と少雨季には現在の水量の1%弱となってしまう。流域生態系及び地元住民への影響は多大なものとなることが予想されるが、生態系に与える影響について十分な調査がおこなわれておらず、また住民は川の流水量変化について知らされていない。祖先の神がやどる神聖な場である「オディノの滝」が涸れてしまう怖れがあるが、事業推進側はその存在を認めていない。

・ソンドゥ川の水源地帯であるマウ森林で大規模な伐採、入植計画が進められており、開発がこのまま進めば、ソンドゥ川の水源が破壊され発電に必要な水量が十分に確保されない可能性が大きい。

● 立ち退き等に伴う補償の問題:

・土地の収用や補償はケニア電力公社が担当。ケニア政府は影響を受けるのは約600世帯、190ヘクタールとしているが、実際にはソンドゥ川流域の20万人以上が事業によって影響を受けることになる。土地を失った農民たちに適切な生活補償は行なわれておらず、工事現場での雇用も優先されているわけではない。またケニア電力公社職員による補償金の詐取事件、工事現場に就職するための仲介料要求が告発されている。

● 工事に伴う地域環境への影響:

・工事現場へのアクセス道路周辺の粉塵被害(喘息や肺病→死者も出ている、失明)、汚水による土壌汚染、家畜への影響の恐れ、それまで利用されていた泉など水源の枯渇、大量の砂の採取による土壌荒廃などが起こっている。また、事業に伴い水系伝染病やマラリア等の増発の恐れが指摘されている。

●地元への情報提供が不十分:

・地元の人が変電設備を建設する費用を負担しない限り、ソンドゥ・ミリウ地域には電気がいかないこと、また、これらの問題を補うために最初は地域に小規模発電設備や保健所建設が計画されたが、これらの計画は頓挫したままで、第二期工事分の予算にはこれらの事業のためのお金は含まれていないことなどについて、地元に人々は何も知らされていない。

● 地元住民、NGOスタッフへの人権侵害:

・住民集会参加者とそれを取材に来ていた日本の新聞記者が鴻池組の車で警察に連行された。

・中心的に活動していたNGOメンバーが現地で銃で撃たれて逮捕され、拷問を受けた。その後、彼は生命の危険を感じ国外亡命。

・住民集会で工事現場での不当な解雇について発言した地元住民は、会場の外で数十人の若者にナイフで襲われた。

 

■このプロジェクトの詳細、現地NGOからの手紙、国会での答弁など

 ぜひ、地球の友ジャパンのHPをご覧下さい。

URL: http://www.foejapan.org/aid/jbic02/sondu-miriu/

 


反対署名の本文です。

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