読書ノート2017年以降

今日は2017年1月2日 月曜日

  • 冒険の森へ 傑作小説大全9 個人と国家 集英社 [amazon]
    【長編】
    伴野朗「三十三時間」
    胡桃沢耕史「ぼくの小さな祖国」
    【短編】
    野坂昭如「捕虜と女の子」
    結城昌治「司令官逃避」
    城山三郎「草原の敵」
    筒井康隆「関節話法」
    西木正明「ケープタウンから来た手紙」
    大沢在昌「ダックのルール」
    【掌編】
    渡辺温「兵隊の死」
    吉行淳之介「鮭ぞうすい製造法」
    五木寛之「カーセックスの怪」
    かんべむさし「弾丸」
    ●解説/北方謙三 解題/北上次郎

  • 黄金旅風 飯嶋和一著 小学館文庫 [amazon]

  • 障害者運動のバトンをつなぐ いま、あらためて地域で生きていくために 尾上浩二 熊谷晋一郎 大野更紗 小泉浩子 矢吹文敏 渡邊琢 生活書院 [amazon]

  • 三匹のかいじゅう 椎名誠著 集英社文庫 [amazon]

  • ロリヰタ。 嶽本野ばら著 新潮社 [amazon]

  • 電王 高嶋哲夫著 幻冬舎 [amazon]

  • 精神病院体制の終わり −認知症の時代に− 立岩真也著 青土社 [amazon]



今日は2017年2月2日 木曜日

  • 花咲小路三丁目のナイト 小路幸也著 ポプラ社 [amazon]

  • アメリカーナ チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ著 くぼたのぞみ訳 河出書房新社 [amazon]
    181p下
    ローラがなぜナイジェリアの情報をあんなに詳しく調べあげたのか理解できなかった。419詐欺事件のことを質問して、アメリカにいるナイジェリア人がどれくらいの金額を毎年、母国に送金しているかを教えてくれたのだ。それは優しいとはとてもいえない攻撃的な関心だった。
    189p上
    あるカップルはタンザニアで彼らがやったサファリについて語り「すばらしいツアーガイドがついてくれて、いま、彼の上の娘さんの教育費を私たちが払っているんですよ」といった。
    307p下
    アレクサもほかの客たちも、それにジョジーナさえも、戦争から逃げ出すことは理解していた。人間の魂を押しつぶすような貧困から逃げ出すことは理解していた。しかし、ほかに選択肢がないという息詰まる無力感から逃げ出したい欲求までは理解できないのだ。彼のような人間がなぜ、食べ物も水も十分にあたえられて育ちながら、欲求不満のぬかるみにはまって、生まれたときからどこかほかの場所へ出ていくことを目指し、本物の人生はそのどこかほかの場所で起きているとずっと思い込み、脱出するために危険を冒して違法行為までやると決心して、飢えているわけでも、レイプされたわけでも、村を焼かれたわけでもないのに、ひたすら選択肢と確かさを必死でもとめることになるか、そこまでは理解できないのだ。

  • 漁師の愛人 森絵都著 文春文庫 [amazon]

  • みかづき 森絵都著 集英社 [amazon]

  • GO! GO! アリゲーターズ 山本幸久著 集英社文庫 [amazon]

  • 殺人出産 村田沙耶香著 講談社文庫 [amazon]


今日は2017年2月16日 木曜日

  • みやこさわぎ 西條奈加著 東京創元社 [amazon]
    シリーズ3冊目


今日は2017年3月10日 金曜日

  • しゃべれどもしゃべれども 佐藤多佳子著 新潮文庫 [amazon]

  • 春、戻る 瀬尾まいこ著 集英社文庫 [amazon]

  • 賢者の愛 山田詠美著 中央公論新社 [amazon]

  • ラ・ミッション−軍事顧問ブリュネ− 佐藤賢一著 文藝春秋 [amazon]

  • ジェントルマン 山田詠美著 講談社文庫 [amazon]

  • 艶隠者 小説 石川丈山 中薗英助著 新潮社 [amazon]

  • 壁と孔雀 小路幸也著 早川文庫 [amazon]

  • 声のお仕事 川端裕人著 文藝春秋 [amazon]

  • ドファララ門 山下洋輔著 晶文社 [amazon]


今日は2017年3月24日 金曜日

  • 泣き虫弱虫諸葛孔明 第参部 酒見賢一著 文春文庫 [amazon]

  • 泣き虫弱虫諸葛孔明 第四部 酒見賢一著 文藝春秋 [amazon]


今日は2017年4月24日 月曜日

  • 水滸伝 1 曙光の章 北方謙三著 集英社文庫 [amazon]

  • 水滸伝 2 替天の章 北方謙三著 集英社文庫 [amazon]

  • 水滸伝 3 輪舞の章 北方謙三著 集英社文庫 [amazon]

  • 水滸伝 4 道蛇の章 北方謙三著 集英社文庫 [amazon]

  • 水滸伝 5 玄武の章 北方謙三著 集英社文庫 [amazon]

  • 水滸伝 6 風塵の章 北方謙三著 集英社文庫 [amazon]

  • 水滸伝 7 烈火の章 北方謙三著 集英社文庫 [amazon]

  • 水滸伝 8 青龍の章 北方謙三著 集英社文庫 [amazon]

  • 水滸伝 9 嵐翠の章 北方謙三著 集英社文庫 [amazon]

  • 水滸伝 10 濁流の章 北方謙三著 集英社文庫 [amazon]

  • 水滸伝 11 天地の章 北方謙三著 集英社文庫 [amazon]

  • 水滸伝 12 炳乎の章 北方謙三著 集英社文庫 [amazon]

  • 水滸伝 13 白虎の章 北方謙三著 集英社文庫 [amazon]

  • 水滸伝 14 爪牙の章 北方謙三著 集英社文庫 [amazon]

  • 水滸伝 15 折戟の章 北方謙三著 集英社文庫 [amazon]

  • 水滸伝 16 馳驟の章 北方謙三著 集英社文庫 [amazon]

  • 水滸伝 17 朱雀の章 北方謙三著 集英社文庫 [amazon]

  • 水滸伝 18 乾坤の章 北方謙三著 集英社文庫 [amazon]

  • 水滸伝 19 旌旗の章 北方謙三著 集英社文庫 [amazon]

  • 北条早雲 − 明鏡止水篇 富樫倫太郎著 中央公論新社 [amazon]

  • 田園回帰がひらく未来 − 農山村再生の最前線 小田切 徳美・広井 良典・大江 正章・藤山 浩著 岩波ブックレット [amazon]


今日は2017年4月27日 木曜日

  • ‘Half of a Yellow Sun’ by Chimamanda Ngozi Adichie Fourth Estate [amazon]

  • ラブ・ミー・テンダー 東京バンドワゴン 小路幸也著 集英社 [amazon]

  • 蘇我氏 − 古代豪族の興亡 倉本一宏著 中公新書 [amazon]


今日は2017年5月14日 日曜日

  • 室町無頼 垣根涼介著 新潮社 [amazon]

  • 群島と大学 冷戦ガラパゴスを超えて 石原俊著 共和国 [amazon]


今日は2017年5月23日 火曜日

  • 歩く、見る、聞く 人びとの自然再生 宮内泰介著 岩波新書 [amazon]
    56p
     早稲田大学の岩井雪乃さんは、ウシ科の野生動物ヌー(Connochaetes taurinus)が一〇〇万頭生息することで有名なタンザニアのセレンゲティ地域で、自然保護政策が住民の生活を圧迫してきた様子を報告している(岩井『参加型自然保護で住民は変わるのか』、「自然保護と地域住民」など)。
     この地域にはいくつもの民族グループが存在しているが、岩井さんが調査しているイコマという民族は、もともとこのセレンゲティ地域で農耕・牧畜・狩猟を組み合わせた生活を営んでいた。そのなかでも、ヌーの狩猟は、生活を支える大事な生業(なりわい)だったし、交易品としても重要だった。しかし、イギリス植民地時代の一九二一年、狩猟に対する規制が始まった。住民の伝統的な狩猟方法(弓矢猟や罠猟など)は禁止され、銃による狩猟のみが許可された。さらに一九五一年、セレンゲティが国立公園に設定されると、イコマを含む数千人の住民が軍隊によって強制的に公園地域外へ移住させられた。
     一九六〇年代に独立した新生タンザニア政府は、植民地時代の保護規制を継承し、加えて、野生動物を観光資源にして外貨の獲得をめざした。先進国からの資金援助により「密猟」防止のパトロールは強化された。銃のみが許可されるのは、銃による猟が野生動物管理にとって最も効率的であり、また、動物に与える苦痛が少ないから、というまことに欧米的なバイアスのかかった理由だった。住民たちに銃を手に入れる経済的な余裕はなく、パトロールにひっかからないような、ワイヤーや懐中電灯を使った猟へ独自にシフトしていったものの、猟自体が次第にむずかしくなった。
     住民が生存のためにおこなってきた狩猟が欧米的な観点による自然保護政策のなかで否定され、抑圧されたのである。

  • 日本人のためのアフリカ入門 白戸圭一著 ちくま新書 [amazon]
    10年ほど前話題になっていたTV番組「あいのり」エチオピア編に「不自然さ」を感じてエチオピアで取材を行い、また番組を制作したフジテレビに質問状を送ったという一連の経緯をまとめた第1章「アフリカへの「まなざし」」、日本でアフリカに関する理解を広げるために一定の役割を担うべきマスメディアの問題点を指摘する第2章「アフリカを伝える」、そして2013年に横浜で開かれたTICAD Vからアフリカ連合(AU)が共催者に加わった経緯を追いながら、アフリカの「オーナーシップ」について論じた第3章「「新しいアフリカ」と日本」、と一気に読んでしまいました(第4章もあります)。

  • 黒田悪党たちの中世史 新井孝重著 日本放送出版協会 [amazon]

  • 楊令伝 1 玄旗の章 北方謙三著 集英社文庫 [amazon]

  • 楊令伝 2 辺烽の章 北方謙三著 集英社文庫 [amazon]

  • 楊令伝 3 盤紆の章 北方謙三著 集英社文庫 [amazon]

  • 楊令伝 4 雷霆の章 北方謙三著 集英社文庫 [amazon]

  • 楊令伝 5 猩紅の章 北方謙三著 集英社文庫 [amazon]

  • 楊令伝 6 徂征の章 北方謙三著 集英社文庫 [amazon]

  • 楊令伝 7 驍騰の章 北方謙三著 集英社文庫 [amazon]

  • 楊令伝 8 箭激の章 北方謙三著 集英社文庫 [amazon]

  • 楊令伝 9 遥光の章 北方謙三著 集英社文庫 [amazon]

  • 楊令伝 10 坡陀の章 北方謙三著 集英社文庫 [amazon]

  • 楊令伝 11 傾暉の章 北方謙三著 集英社文庫 [amazon]

  • 楊令伝 12 九天の章 北方謙三著 集英社文庫 [amazon]

  • 楊令伝 13 青冥の章 北方謙三著 集英社文庫 [amazon]

  • 楊令伝 14 星歳の章 北方謙三著 集英社文庫 [amazon]

  • 楊令伝 15 天穹の章 北方謙三著 集英社文庫 [amazon]


今日は2017年6月1日 木曜日

  • 〈群島〉の歴史社会学− 小笠原諸島・硫黄島、日本・アメリカ、そして太平洋世界 石原俊著 弘文堂 [amazon]

  • りゅうおうのおしごと! 白鳥士郎著 しらびイラスト GA文庫 [amazon]

  • りゅうおうのおしごと! 2 白鳥士郎著 しらびイラスト GA文庫 [amazon]

  • りゅうおうのおしごと! 3 白鳥士郎著 しらびイラスト GA文庫 [amazon]

  • りゅうおうのおしごと! 4 白鳥士郎著 しらびイラスト GA文庫 [amazon]

  • りゅうおうのおしごと! 5 白鳥士郎著 しらびイラスト GA文庫 [amazon]
    これで終わりと思ったら、近々「りゅうおうのおしごと! 6」が出るとのアナウンス! ドラマCD付き、ってどんな作りなんだ?!


今日は2017年6月12日 日曜日

  • ちょっと今から仕事やめてくる 北川恵海著 メディアワークス文庫 [amazon]

  • かくれさと苦界行 隆慶一郎著 新潮文庫 [amazon]

  • 芸者でGO! 山本幸久著 実業之日本社文庫 [amazon]


今日は2017年6月21日 水曜日

  • 真夜中のパン屋 午前5時の朝告鳥 大沼紀子著 ポプラ文庫 [amazon]

  • ティーンズ・エッジ・ロックンロール 熊谷達也著 実業之日本社 [amazon]

  • 天保バガボンド 柳蒼二郎著 中央公論新社 [amazon]

  • スカーフェイス 富樫倫太郎著 幻冬舎 [amazon]


今日は2017年7月1日 土曜日

  • 岳飛伝 一 三霊の章 北方謙三著 集英社 [amazon]

  • 岳飛伝 二 飛流の章 北方謙三著 集英社 [amazon]

  • 岳飛伝 三 嘶鳴の章 北方謙三著 集英社 [amazon]

  • 岳飛伝 四 日暈の章 北方謙三著 集英社 [amazon]

  • 岳飛伝 五 紅星の章 北方謙三著 集英社 [amazon]

  • 岳飛伝 六 転遠の章 北方謙三著 集英社 [amazon]

  • 岳飛伝 七 縣軍の章 北方謙三著 集英社 [amazon]

  • 岳飛伝 八 龍蟠の章 北方謙三著 集英社 [amazon]

  • 岳飛伝 九 曉角の章 北方謙三著 集英社 [amazon]

  • 岳飛伝 十 天雷の章 北方謙三著 集英社 [amazon]

  • 岳飛伝 十一 烽燧の章 北方謙三著 集英社 [amazon]

  • 岳飛伝 十二 飄風の章 北方謙三著 集英社 [amazon]

  • 岳飛伝 十三 蒼波の章 北方謙三著 集英社 [amazon]

  • 岳飛伝 十四 撃撞の章 北方謙三著 集英社 [amazon]

  • 岳飛伝 十五 照影の章 北方謙三著 集英社 [amazon]

  • 岳飛伝 十六 戎旌の章 北方謙三著 集英社 [amazon]

  • 岳飛伝 十七 星斗の章 北方謙三著 集英社 [amazon]

  • 旅に出たナツメヤシ 長坂道子著 角川書店 [amazon]

  • 花咲二丁目の花乃子さん 小路幸也著 ポプラ社 [amazon]

  • 人生教習所 垣根涼介著 中公文庫 [amazon]

  • 夜間中学へようこそ 山本悦子著 岩崎書店 [amazon]

  • 裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち 上間陽子著 太田出版 [amazon]
    100p
    産まれたときの理央の体重は九一四グラムで、新生児特定集中治療室(NICU)で治療を受ける必要のある超低体重児だった。
    医師はのちに、暴行を受けるなどの強いストレスを受け続ける日々のなかで、子宮の収縮が起こり、子宮口が突然開いてしまったことが出産の原因だろうと話している。


今日は2017年7月20日 木曜日

  • 君が夏を走らせる 瀬尾まいこ著 新潮社 [amazon]

  • ぼくの村がゾウに襲われるわけ。: 野生動物と共存するってどんなこと? 岩井雪乃著 合同出版 [amazon]
    134p
    (田植えから半年、明日は稲刈りという日に、田んぼがイノシシにやられてしまったことから)半年間の苦労が一夜にして無に帰する・・・これがどんなに悔しいことか、実際に土を耕して作物を育ててみないと、やはりわからないことです。イノシシに対してわきあがったわたしの怒りと憎しみは、みなさんが想像しているよりも、ずっと強く激しい感情だとおもいます。

  • 伊達氏と戦国争乱 遠藤ゆり子編 吉川弘文館 [amazon]


今日は2017年8月3日 木曜日

  • 自然は誰のものか: 住民参加型保全の逆説を乗り越える 山越言・目黒紀夫・佐藤哲編 京都大学学術出版会 [amazon]
    90p
    第3章 神聖な森と動物の将来
    このように、精霊の森とそこに棲む聖獣の保全というボッソウ村の在来知を基盤にしたユニークな関係は、人に慣れた観察が可能なチンパンジーの存在を資産として、アクセスの悪いギニア最僻地の小村に、研究活動と観光活動を招き入れることになった。かつて農村の日常生活に埋め込まれていたチンパンジー保全は、世界的な評判と若干の観光収入を生むことで、外国人研究者、政府関係者の常駐、定期的な生息状況や行動生態のモニタリング、ユネスコの「人間と生物圏計画(NAB)」への組み込みなど、近代的な保全プロジェクトとしての要素が加わった。チンパンジーは、接近し追跡、観察する人々という新たな存在に次第に慣れ、一定の緊張感を維持してきた村人との距離もしだいに縮めていった。その結果、人獣共通感染症の潜在的危険性、村人の人身被害の増加、農作物被害の増加、周辺個体群からの社会的孤立化による人口減と高齢化という深刻な問題を抱えるに至っている。

  • 自転車冒険記---12歳の助走 竹内真著 河出書房新社 [amazon]
    ゴールデンウィークに自転車で水戸まで行ってみようと漕ぎ出したものの、足がつってしまうのではないかと不安を感じて、取手で昼食をとって戻ってきた日のことを思い出してしまった。

  • ツボ押しの達人 室積光著 講談社文庫 [amazon]


今日は2017年8月9日 水曜日

  • 武曲II 藤沢周著 文藝春秋 [amazon]

  • マイ・ディア・ポリスマン 小路幸也著 祥伝社 [amazon]


今日は2017年8月12日 土曜日

  • アイルランド大飢饉 ジャガイモ・「ジェノサイド」・ジョンブル 勝田俊輔・高神信一編 刀水書房 [amazon]
    第八章 インド一九世紀後半の飢饉の歴史像
    108p
    なぜ飢饉の被害は大きかったのだろうか。飢饉の被害は、当該地域の食糧が絶対的に不足して被害が及ぶというよりも、農村における一定の階層・集団に集中したという点に注目する必要がある。輸送手段の発達によって、食糧は余剰地域から不足地域に容易に移動できるようになったけれども、食糧価格の上昇はより広域にわたって拡がり、飢饉の被害はより「階級的」現象になった。飢饉による死者の数は、農業労働者、職人層、零細農に多く、彼らの多くはいわゆる下層カーストに属していた。彼らは通常、土地を持たず、土地を有する農民の下で収穫などの農作業で雇用を得て生計を立てている。旱魃は、彼らから雇用を奪い、同時に食糧を確保する手段も剥奪する。
    109p
    数少ない研究によると、農業労働者の実質賃金が趨勢的にほとんど上昇しなかったことが明らかになっている。農村における所得は緩やかではあれ全体として増加したけれども、農業労働者の実質賃金が停滞していたのであるから、成長は滴り効果をほとんど有しなかった。しかも注意すべきは、農業労働者賃金の貨幣化が進む中で、飢饉の際における食糧価格の上昇によってその度に実質賃金が大きく低下し、上下への振幅が大きくなっていた。こうして、農業労働者の状況は、数度の大規模な旱魃に直面する中で著しく不安定化していた。
    第九章 一九−二〇世紀アイルランド文学と大飢饉
    220p
    大飢饉の苦難を直接伝える記録は残されていないが、その主な原因は、飢饉の被害者の大多数がアイルランド語話者であり、彼らが話し言葉の世界に生きていたことにある。教育水準の高かった者は、飢饉の脅威から遠いところにいたわけである。

  • だがしょ屋ペーパーバック物語 竹内真著 だいわ文庫 [amazon]


今日は2017年8月17日 木曜日

  • 卵の緒 瀬尾まいこ著 新潮文庫 [amazon]

  • 図書館の神様 瀬尾まいこ著 ちくま文庫 [amazon]

  • 幸福な食卓 瀬尾まいこ著 講談社文庫 [amazon]

  • 戸村飯店 青春100連発 瀬尾まいこ著 文春文庫 [amazon]

  • りゅうおうのおしごと! 6 白鳥士郎著 しらびイラスト GA文庫 [amazon]

  • ネコと昼寝−れんげ荘物語 群ようこ著 角川春樹事務所 [amazon]


今日は2017年8月21日 月曜日

  • スイーツ王子の人探し 恋するクッキーとインテリ眼鏡 本堂まいな著 角川ビーンズ文庫 [amazon]

  • スイーツ王子の人探し おとぎ話は終わらない 本堂まいな著 角川ビーンズ文庫 [amazon]
    主要登場人物の、小学4年生の時に大好きだった本を、勉強していないように見えるからと焼かれたことから家族につながっていないと感じ歩み始めた人生が、この本のストーリーを決定している。
    小学4年生の秋、両耳の手術を受けるために入院していた時に買い集めたマンガ雑誌を、父親に焼かれたことを思い出してしまった。それ以降、マンガ雑誌は買うものではなくなった。

今日は2017年9月10日 日曜日

  • 英仏百年戦争 佐藤賢一著 集英社新書 [amazon]

  • ケルベロス 鋼鉄の猟犬 押井守著 幻冬舎文庫 [amazon]

  • ジョン・マン1 波濤編 山本一力著 講談社文庫 [amazon]

  • ジョン・マン2 大洋編 山本一力著 講談社文庫 [amazon]

  • ジョン・マン3 望郷編 山本一力著 講談社文庫 [amazon]

  • ジョン・マン4 青雲編 山本一力著 講談社文庫 [amazon]

  • ジョン・マン5 立志編 山本一力著 講談社 [amazon]

  • ジョン・マン6 順風編 山本一力著 講談社 [amazon]

今日は2017年9月25日 月曜日

  • ケルベロス 鋼鉄の猟犬 押井守著 幻冬舎文庫 [amazon]
    cf.鋼鉄のワルキューレ 水樹ケイ著 学研 [amazon]

  • 僕の明日を照らして 瀬尾まいこ著 ちくま文庫 [amazon]

  • 東アジアの中の建長寺 宗教・政治・文化が交叉する禅の聖地 村井章介編 勉誠出版 [amazon]

今日は2017年10月18日 水曜日

  • 出雲の中世: 地域と国家のはざま 佐伯徳哉著 吉川弘文館 [amazon]

  • ちいさな国で ガエル・ファイユ著 加藤かおり訳 早川書房 [amazon]

  • 一茶の相続争い−−北国街道柏原宿訴訟始末 高橋敏著 岩波新書 [amazon]

今日は2017年10月23日 月曜日

  • 第一次世界大戦を考える 藤原辰史編 共和国 [amazon]
    金澤周作「セーブ・ザ・チルドレンの誕生」

    222p
    国土防衛法の制定や強烈な反敵国感情の蔓延にあって、ドロシーは情報操作によるそうした感情の形成に重大な懸念を覚え、一九一五年に匿名で『外国新聞からの記事抜粋(News from the Foreign Press)』という週刊小冊子を発行していた。夫チャールズ・バクストンの伝手で時の首相ロイド・ジョージの許可を得て、本来入手の不可能な敵国の新聞を中心に、大陸およびアメリカ合衆国の諸新聞を二十五紙輸入し、イギリスのメディアが報じない敵国や中立国の事情を報じた記事を翻訳紹介したのである。

    224p
    一九一九年五月初旬に、旧敵国の飢えた子どもたちの現状をセンセーショナルに告発するビラをトラフィルガー・スクエアでまいて国土防衛法違反で逮捕されたエグランタインは、十五日の市長公邸警察裁判所において、巧みなメッセージを発した。すなわち、一九一五年にベルギーでイギリスやフランスの兵の逃亡を幇助した罪で当地のドイツ軍により銃殺刑に処されたイギリス人看護師イーディス・カーヴェルの国葬が同日に行われていることを踏まえて、非常に人口に膾炙していたカーヴェルの辞世の言葉を繰り返したのである。
    「愛国心では足りないと感じています。誰に対しても心に憎しみもわだかまりも抱いてはいけないのです」。

今日は2017年10月29日 日曜日

  • トラクターの世界史 人類の歴史を変えた「鉄の馬」たち 藤原辰史著 中公新書 [amazon]

    64p
    トラクターがもたらした災い
     トラクターはまた、二〇世紀を激震させた二つの世界史的事件にもかかわっている。
     一九二〇年代にトラクターを中心とする農業機械の発展・普及によって農業生産力が上昇したことは、かならずしも農家にプラスに働いたわけではない。当然、他の農家も生産力が上昇し生産量も増えるので、市場に供出される農作物は過剰になり、第一次世界大戦後もともと低位であった農作物価格はさらに下落する。
     経営不振に陥り農地を手放す農民も増え始め、彼らの農業機械化に投資していた地方銀行も相次ぎ倒産した。過剰投資による農業恐慌は、一九二九年一〇月のウォール街の株価大暴落の間接的原因になったと説く研究者も少なくない。トラクターの歴史の観点から、R・C・ウィリアムズは、農業恐慌の原因はかならずしも農業機械化だけではないにせよ、大きな背景であったと述べている。
     また、トラクターの登場は、馬の糞尿を肥料に使う慣習を徐々になくし、化学肥料の増産と多投をもたらした。トラクターと化学肥料のパッケージの急速な普及は、一九三一年から三九年にかけて、中西部平原地帯、すなわち大平原(グレートプレーンズ)と呼ばれる農業地帯で起こったダストボウルの原因の1つとなった。この大平原が、トラクターという機械の生誕地であり、まとその普及がもっとも進んだ農業地帯であることはすでに述べてきたとおりである。
     ダストボウルとは、砂塵の器といういみである。さきほど述べたような過剰生産によって小麦の価格が減少し、それによって手放された耕作放棄地が乾燥し、化学肥料の多投とトラクターの土壌圧縮によって土壌の団粒構造が失われ、さらさらの砂塵になり、それが強い風に煽られて空気中に舞い、空を覆った。
     田舎だけではない。シカゴやニューヨーク、首都ワシントンなどの大都会の空も黒い雲に覆われ、冬には「赤い雪」が降った。昼でも夜のように暗くなった、という報告も多数残っている。土壌浸食が起こった土地は手放され、三五〇万人に及ぶ農民たちは別の農地や都市へと追いやられる。政府は事態を深刻に受け止め、農務長官ヘンリー・A・ウォレスを中心に土壌浸食対策に乗り出す。
     その後、ダストボウルにともなう一連の調査研究によって、土壌は、微生物、昆虫、水分、天候、そして人間の耕作のはざまで微妙なバランスのもとに保たれている生命空間であることが広く理解されるようになった。
     一方で、土壌浸食は現在にいたるまで、アメリカの外でも起こり続けている。とりわけ乾燥地帯で農業機械化と化学肥料の多投が同時に進んだときに、ヨーロッパのみならず、アジアやアフリカの乾燥地帯などでも凶作や飢餓などの深刻な問題を引き起こすことがある。その意味で世界史的な問題になっていくのである。

    166p
    国営企業による大規模農業−−ガーナの事例
     二〇世紀後半、西欧の植民地であったアフリカの諸国はつぎつぎに独立する。脆弱な経済基盤のなかで、食糧の安定的な供給を整備することは国家建設にとって必須であった。それゆえ、各国とも、場合によっては強権を発動してトラクターを中心に農業機械の導入に積極的に関与する。しかし、それはスムーズに進んだわけではない。
     ガーナの事例を見てみよう。二〇世紀初頭まで英領ゴールドコーストとして公式にイギリスの統治下に置かれていたガーナは、一九五七年三月、サハラ以南で最初に独立を果たす。このガーナ独立の前後の過程に、トラクターを中心とする農業の機械化が積極的に進められた。
     一九四〇年代の終わりから開始された北部のダモンゴを拠点とした「ダモンゴ計画」は、一万二四一〇ヘクタールの土地に農民たちを移住させ、トラクターを用いた大規模な機械化農業を進めようとするものであった。しかし、機械化による生産はうまくいかず、計画は頓挫する(溝辺泰雄「脱植民地化のなかの農業政策構想」)。
     その後、独立の指導者として活躍したクワメ・ンクルマもまた、工業化と食糧自給の向上のためにトラクターを中心とする農業機械化を国家の積極的な介入によって進めようとした人物であった。そうでなければ、工業国へのカカオや鉱物資源の輸出に依存する植民地型経済からの「テイクオフ」はできないと考えたからである。
     一九六四年三月一六日に議会で承認された「国家再建と開発のための七カ年計画」では、複数の国営農場を建設し、そこにトラクターを導入して大規模機械化農業を進めることになった。「在来の小農生産は発展の障害と見なされ、小農に対する技術普及等は全くかえりみられなかった」(高根務「独立ガーナの希望と現実」)。
     だが、国家主導の大規模農業も実施後すぐに「国営農場の非効率な運営」、さらには運営主体とされた「ガーナ農民協同組合評議会」の幹部の任命に絡む不正や汚職などによって問題が噴出し、失敗する。

    土壌浸食の「輸出」だったか
     ガーナ農業の研究者である友松友香によると、トラクターは、一九五七年の独立までの英領植民地期(に)イギリスとアメリカを主として、他にもカナダ、フランス、西ドイツ、南アメリカなどから輸入されている。一九五七年から記録が確認できる一九七四年までは、上記の国々に加え、日本、イタリア、スペイン、オランダ、デンマークなどの西側諸国からトラクターの輸入があったという。ただし、ンクルマ政権が東側諸国に接近後の一九六三年から失脚する六六年までは、チェコスロヴァキアからも大量に輸入があり、またユーゴスラヴィアやソ連からの輸入も確認できる(『サバンナのジェンダー』)。
     ちょうどこの時期に「七カ年計画」がスタートしているが、溝辺の論文でも、一九六三年三月六日付のガーナの主要紙の記事で、二四〇台のチェコスロヴァキア製トラクターが購入されたことが写真とともに報じられている。このトラクターは、おそらくゼトルで生産されたものだろう。また、友松の聞き取り調査によると、ユーゴスラヴィアに役人が訓練生として送られ、トラクターの維持管理の技術を学んでいたという。4−1でみたように、ユーゴスラヴィアは一九八五年の段階で世界第八位の台数を保有し、一〇〇〇ヘクタールあたりの台数では第五位に位置するトラクター先進国だった。
     そして、西側諸国との関係が再び悪化した一九七二年から記録が確認できる七四年までのイグナティウス・アチャンポン政権下ではポーランド、ルーマニア、チェコスロヴァキアからも輸入が再び増えている。政権が東側諸国に接近していた時期でも、ソ連や東欧諸国のほかに、先述したように西側諸国からのトラクターが輸入されているのである。
     ただし、FAOの統計によれば、一九六四年の二二三四台をピークに台数が増えていない。二〇〇五年でも一八〇七台、一〇〇〇ヘクタールあたり〇・一台にすぎず、数字を見るかぎりトラクターは定着にいたっていない。
     また、ガーナに限らず、半乾燥の熱帯地域にトラクターを導入するにあたって重要なのは、トラクター耕耘がもたらす土壌浸食の危険性である。たとえば、カメルーンとナイジェリアの農学者が西アフリカ半乾燥地帯での不耕起農法の効用について調べた論文が一九九一年に発表されている(Hulugalle & Mauya, Tillage System for the West African Semi-Arid Tropics)。一九六〇年代から始まったトラクター耕耘が伝統的な農具による耕起よりも著しく生産量を上昇させた一方で、露出した土壌の乾燥、トラクターによる土壌の圧縮などによって、土壌中の水の浸潤が減少し、土壌浸食が起こってきたからである。この論文では、不耕起で土壌浸食を防げるが、半乾燥地帯では生産量が落ちてしまうと報告している。
     つまり、戦後の西アフリカでは、一九三〇年代のアメリカのダストボウルと同型の問題が発生していたということになる。トラクターによる土壌浸食の輸出と言ってもよいかもしれない。一般に熱帯地域では土壌が薄く、必要以上の深耕は土壌を乾燥させてしまう以上、それはより深刻になる。もちろん、それはどこでも起こっているわけではない。温度、湿度、降水量、地形に応じて状況がまったく異なることは補足しておきたい。

    237p
     第三に、「ダストボウル」などのアメリカの土壌浸食や土壌劣化を生み出したトラクターと化学肥料のパッケージは、そのまま戦後はアフリカに輸出された。アフリカの沙漠化の原因は、すべてこのパッケージによるものではないにせよ、植林によって防げる種類の問題ではない。耕地の沙漠化をどう止めるのかを考えなくては根本的な解決にはいたらない。
     国際政治経済学を専門とする勝俣誠によると、「南アフリカの東ケープ州政府は、二〇〇二年から黒人の小生産者を対象として、種子、化学肥料、農薬、耕耘機レンタル料をセットにした「食料増産」という名の支援パッケージを開始した」という。この種子には遺伝子組み換え作物も含まれていて、その種子にのみ有効な農薬を購入させられる。アフリカの農業に関しての勝俣のつぎの言葉は、まさに耕耘機などの農業技術をもたらす「北」の国が装う中立性を批判している。
    「外から持ち込まれた新テクノロジーを大量投入すれば、一挙に増産が見込まれるといった「ビックバン型変革」は、その成果が現れないと、対象とされた農民よりも圧倒的な発言力を持つ国際機関や援助国の側が、農民の無知や動機の不足などに責任を転嫁するということさえある。その結果、そもそも外部からの介入の仕方そのものが、地域の実情に適合していなかったのではないかという反省が見落とされてしまう」。

今日は2017年11月9日 木曜日

  • 日本手話とろう教育−−日本語能力主義をこえて クァク・ジョンナン著 生活書院 [amazon]

  • はしかの脅威と驚異 山内一也著 岩波科学ライブラリー [amazon]

  • バクバクっ子の在宅記: 人工呼吸器をつけて保育園から自立生活へ 平本歩著 現代書館 [amazon]
    ストレッチャーに乗って保育園勤務を5年!
    保育園講師を務めた人工呼吸器ユーザーがいるっていいですね。保育園はそうやって、いろんな人がいることを伝える場にもなりえますね。

今日は2017年11月23日 木曜日

  • ピネベルク、明日はどうする!? ハンス・ファラダ著 赤坂桃子訳 みすず書房 [amazon]
    池田浩士『ファシズムと文学』での紹介にあった『おっさん、どうする?』というタイトルで知っていた「kleiner Mann,was nun?」の翻訳。この本が出ていることを知ってから37年目にして読むことができた。

  • キシャツー 小路幸也著 河出書房新社 [amazon]

  • 抗生物質と人間−−マイクロバイオームの危機 山本太郎著 岩波新書 [amazon]
    77p
    共生細菌は、免疫系が正常に機能するための陰の立役者になっているのである。こうした考え方は、近年、免疫機能そのものの理解さえ変え始めている。元来、免疫とは、自己と非自己を区別・認識し、非自己を排除する機構だと考えられてきた。しかし、詳細にその機能を見ていくと、免疫系にはもう一つの役割があるのかもしれないと思うことがある。それは、私たちが健康に過ごすために必要な微生物(常在細菌)を守り育てることである。

    87p
    アメリカにおいて抗生物質の使用量を州別に調べた結果、抗生物質の使用量と州別の肥満者割合には強い相関が認められたという。抗生物質は、特に乳幼児期の使用によって、マイクロバイオータの変化を引き起こすことが報告されている。両者の間には、何らかの因果関係が存在するのだろうか。

    126p
    感染症と母乳と免疫と常在細菌
     母乳は腸内に常在する細菌を守り育てる。母乳の中には赤子の免疫システムを助ける免疫機能分子が存在する。母乳の働きのひとつに、新生児の免疫を高め、子を感染から守ると言う働きがある。事実、授乳最初の数日間、哺乳類の母親は免疫グロブリンを含む初乳を産生する。
     母乳には、それ以外にも、新生児を感染から守るための分子が含まれている。例えば、母乳中には児によって消化できないオリゴ糖が存在する。それは囮として機能する。細菌は細胞膜上に存在するオリゴ糖に付着する。それによって母乳中の細菌は消化館内を通り過ぎ、便として排出される。
     ヒトの母乳は栄養学的には、チンパンジーやゴリラの母乳と違いはないが、ひとの母乳には、チンバンジーやゴリラの母乳には含まれない免疫分子が多く含まれている。ヒトの母乳は、現在まで知られているなかで、最も分泌性免疫グロブリンが多く含まれている。出産後一週間を経過した母乳でさえ、アカゲザルの初乳よりも多くの分泌性免疫グロブリンを含む。人類は、過去の歴史のなかで長く、高密度の病原体にさらされて暮らしてきた。農耕や定住の開始、都市化はそれを促進した。

    134p
    菌の不在から始まる病気−−新しい医学
     二〇〇〇年代半ば、パリ聖アントワーヌ病院で、ハリー・ソコルは、クローン病患者の便と格闘していた。クローン病とは、主として消化管に非連続性の肉芽種性炎症を生じる慢性炎症性疾患で、炎症性腸疾患のひとつに分類される。一九三二年、ニューヨーク大学のブリル・バーナード・クローンによって初めて報告された。一〇歳から二〇歳代に多く見られ、中高年での発症はほとんどない。
     原因は未だに不明であるが、ある種の細菌増殖による隠された感染症だと考える研究者もいた。しかしソコルが発見したことは、それとは全く異なる結果だった。ソコルはクローン病者の便に、健康な者によく見られる一つの細菌が消失していることを発見した。ソコルはさらに研究を進め、実験的に誘導した炎症性腸疾患マウスに、消失した細菌を移植した。結果、炎症が治まり、クローン病は治癒した。

    139p
     開発途上国では状況はさらに困難かもしれない。多くの抗生物質が路上で売られている。患者は処方箋もなく、抗生物質を購入し、自己治療を行う。原因の一つに、病院、特に公立病院に薬剤がないこと、市立病院は医療費が高いことがある。
     いずれにしても病院では、薬剤が手に入らない。だから、路上で買う。それを経験と、社会的認知で使用する。筆者が暮らしたアフリカのジンバブエでも、また、ハイチでもそうだった。大量の抗生物質が路上で、露天商によって売られていた。人々は具合が悪くなるとそれを買う。
     ペニシリンやストレプトマイシンの開発が与えた当初の奇跡は、人々を抗生物質神話の虜にした。先進国でも開発途上国でも、神話の影響は未だに消えてはいない。「抗生物質は魔法の薬である」と人々は信じた。そして、何よりも、医師も患者も、抗生物質に、大きな副作用はないと信じていたのである。

今日は2017年12月5日 火曜日

  • シベリア出兵 近代日本の忘れられた七年戦争 麻田雅文著 中公新書 [amazon]

今日は2017年12月15日 金曜日

  • ベルリンに一人死す ハンス・ファラダ著 赤根洋子訳 みすず書房 [amazon]
    映画化され「ヒトラーへの285枚の葉書」というタイトルで日本でも上映されたことを知りました。

  • 私がアルビノについて調べ考えて書いた本−−当事者から始める社会学 矢吹康夫著 生活書院 [amazon]
    132p
     二〇〇〇年代以降は、国際的な連携の動きも活発で、オセアニアのThe Pacific Albinism Project(二〇〇三年)、ラテンアメリカのOrganizacion Latinoamericana de Albinismo(二〇〇三年)、アフリカのPan African Albinism Association(二〇〇八年)、さらにWorld Albinism Alliance(二〇一一年)が次々に結成された。前述のルンドらの調査もその一環なのだが、弱視や紫外線の影響がより深刻な健康上の問題を生じさせる地域で、特に国際的な協力の必要性が叫ばれている。
     そして、二〇〇八年以降、重大な危機として認識されているのが、タンザニアを発端に東アフリカ諸国に広がるアルビノ襲撃事件である。これは、アルビノの体の一部を用いて呪術的儀式を行うと裕福になるという迷信のため、墓が掘り返されたり当事者が誘拐・殺害されたりするという事件であり、世界各国でセンセーショナルに報道された。一連の事件に対してはTanzania Albino Societyが中心となって、カナダに本拠を置くUnder the SunやNOAHなどとも協力し、タンザニア政府だけでなく、米政府や国連への働きかけを行った(Thompson 2008, Green 2008, 仲尾 2016)。こうした動きを受け、二〇一四年一一月一八日の国連総会において、六月一三日を国際アルビニズム啓発デー(International Albinism Awareness Day)とすることが採択された(国際連合 2015)。
    Thompson. James. 2008. "Hope for African Albinism Community: Tanzanian Government Responds to National Albinism Crisis with Groundbreaking-Appointment." Albinism InSight. 26(2) : 45
    Green. Brandi. 2008. "More to Be Done: The International Community Responds to Tanzania's Albinism Crisis." Albinism InSight. 26(4) : 68
    仲尾友貴恵. 2016. 「暴力と結びつく身体的特徴、その社会問題化過程について−−タンザニアのアルビノ・キリングを事例に」『京都社会学年報』24: 109-40
    cf.
    ◆2016/03/30 BBC In pictures: Albinism and perceptions of beauty
    ◆2016/06/28 The Page アフリカで「アルビノ」を狙った殺人が多発 その背景にあるものは?
    ◆2016/10/21 BBC First contest for Mr and Miss Albino held in Kenya
    ◆2016/10/19 handicap.fr Une championne en or à Rio milite en faveur des albinos
    ◆2016/10/30 handicap.fr Halte aux meurtres : un concours de beauté pour albinos !

今日は2017年12月31日 日曜日

  • 世界地誌シリーズ アフリカ 島田周平・上田元編著 朝倉書房 [amazon]
    執筆者一覧
    (執筆順)
    島田周平,上田元,成澤徳子,水野一晴,遠藤聡子,池谷和信,寺谷亮司,佐川徹,松村圭一郎,佐藤廉也,藤岡悠一郎,丸山淳子,伊藤千尋,小川さやか,大門碧,遠藤貢,福西隆弘,西浦昭雄,吉田栄一,目黒紀夫,荒木美奈子,松本尚之

  • 子どもたちの生きるアフリカ: 伝統と開発がせめぎあう大地で 清水貴夫・亀井伸孝編著 昭和堂 [amazon]
    アフリカンキッズクラブについても一章立てようと言う構想もありましたが、アフリカではない地域でクラスアフリカ人・アフリカンキッズについては、次の機会ということになりました。
    届いた本を読んで一晩経ったところで頭に浮かぶのは、こんなことです。

    ・コーラン学校
     セネガル、マリ、ブルキナファソのコーラン学校に通う子どもたち、運営者、周囲の人々のことが書かれています。
     以前、アフリカNOWで触れたスーダンの大規模コーラン学校での点字指導のことを思い浮かべました。

    ・人類学者ごっこ、調査団ごっこ
     カメルーンの熱帯林を13年ぶりに訪ねた亀井さんを取り巻く子どもたちは「人類学者ごっこ」を、ガボンのローランドゴリラ観測基地になっている町で暮らす子どもたちは「調査団ごっこ」を楽しんでいるとの記述があります。

    ・大きくなったり小さくなったりする町、移動する人
     かつて伐採会社が事業所を置いていた頃は数千人が暮らしていた町、伐採会社が撤退した後、グッと縮んでしまったけれど、調査団が基地を置くようになって少し人口が増えた、という記述に興味を持ちました。そこで暮らす人たちは、けっこう遠くから移動してきた人もいるし、また、折々、仕事を求めて移動している、ということにも興味をひかれます。

    ・9年生のなったら一人がけの机で国家試験だと国家試験を心待ちにするザンビアの少女
     7年生の国家試験では二人がけの机だったので、カンニングも多かった、と怒る少女の語りに、いろんなことを考えてしまいました。

今日は2018年1月1日 月曜日

  • 遺訓 佐藤賢一著 新潮社 [amazon]

今日は2018年1月9日 火曜日

  • 盗賊のインド史 帝国・国家・無法者(アウトロー) 竹中千春著 有志舎 [amazon]

  • 東大塾 社会人のための現代アフリカ講義 遠藤貢・関谷雄一編 東京大学出版会 [amazon]
    若者から見たアフリカの現在と未来への希望、女性たちが直面する課題、アフリカの高齢者、障害者運動の現在、アフリカで進行するIT革命が世界に及ぼす影響・・・もっと語られるべきことがある、と感じた。

今日は2018年1月13日 土曜日

  • OUT OF AFRICA アフリカの奇跡 世界に誇れる日本人ビジネスマンの物語 佐藤芳之著 朝日新聞出版 [amazon]

  • 二列目の人生 隠れた異才たち 池内紀著 晶文社 [amazon]

今日は2018年1月24日 水曜日

  • 花咲小路三丁目のナイト 小路幸也著 ポプラ社 [amazon]

  • 花咲小路二丁目の花乃子さん 小路幸也著 ポプラ社 [amazon]

今日は2018年2月1日 木曜日

  • りゅうおうのおしごと! 7 白鳥士郎著 しらびイラスト GA文庫 [amazon]

  • 紅毛沈船引き揚げの技術と心意気: 漁師・村井喜右衛門の壮挙 付関係資料 片桐一男著 勉誠出版 [amazon]

  • イスラームのロシア−帝国・宗教・公共圏 1905-1917 長縄宣博著 名古屋大学出版会 [amazon]

今日は2018年2月7日 水曜日

  • されど愛しきお妻様 「大人の発達障害」の妻と「脳が壊れた」僕の18年間 鈴木大介著 講談社 [amazon]
    「おつりを数えられずパニック」の記述が身に迫ってくる・・・

  • 歴史と国家: 19世紀日本のナショナル・アイデンティティと学問 マーガレット・メール著 千葉功/松沢裕作翻訳 東京大学出版会 [amazon]
    大学に歴史学講座が置かれたのは19世紀も後半になってからのこと。「国民国家」形成にとっての歴史の重要性ゆえ?

  • 九十九藤 西條奈加著 集英社 [amazon]

今日は2018年2月15日 木曜日

  • 不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗したか 鴻上 尚史著 講談社現代新書 [amazon]
    歌手・大貫妙子の父親が閉じこめられた「生還した特攻隊員」収容施設のことを記した本を読んだ著者が、8度、「死ね」と追い立てられて飛び立ち、それでも生きて帰ってきた特攻隊員に会って話しを聞いた。
    著者は、最後に、特攻隊員は志願したのかという問いをめぐる考察を行っている。その考察のまとめとして、特攻隊員に「志願した」とされた人々に突き付けられた質問書と同じ質問書が 2016年南スーダンへ派遣される自衛隊員に突き付けられていたことの意味を問いかけている。

  • 天才 藤井聡太 中村徹・松本博文著 文藝春秋 [amazon]

  • 還暦以後 松浦玲著 ちくま文庫 [amazon]

今日は2018年3月15日 木曜日

  • 幕末の農兵 樋口雄彦著 現代書館 [amazon]

  • 開発と共生のはざまで: 国家と市場の変動を生きる 高橋基樹・大山修一編 京都大学学術出版会 [amazon]
    水をめぐる問題がいつもの章で取り上げられている

  • 障害のある先生たち (「障害」と「教員」が交錯する場所で) 羽田野真帆・照山絢子・松波めぐみ編 生活書院 [amazon]

  • 復興に抗する 地域開発の経験と東日本大震災後の日本 中田英樹・高村竜平編 有志舎 [amazon]

  • A Disability of the Soul: An Ethnography of Schizophrenia and Mental Illness in Contemporary Japan Karen Nakamura Cornell Univ Press [amazon]

今日は2018年3月19日 月曜日

  • りゅうおうのおしごと! 8 白鳥士郎著 しらびイラスト GA文庫 [amazon]

  • 明治馬券始末 大江志乃夫著 紀伊國屋書店 [amazon]

  • そして、バトンは渡された 瀬尾まいこ著 文藝春秋 [amazon]

今日は2018年5月11日 金曜日

  • ハンセン病療養所を生きる−隔離壁を砦に 有薗真代著 世界思想社 [amazon]

  • 統ばる島 池永永一著 角川文庫 [amazon]

  • 寝ても覚めても 柴崎友香著 河出文庫 [amazon]

  • 美人薄命 深水黎一郎著 双葉文庫 [amazon]

  • 観応の擾乱−室町幕府を二つに裂いた足利尊氏・直義兄弟の戦い 亀田俊和著 中公新書 [amazon]

  • 海賊の世界史−古代ギリシアから大航海時代、現代ソマリアまで 桃井治郎著 中公新書 [amazon]

  • 歴史教科書の日米欧比較:食料難、移民、原爆投下の記述がなぜこれほど違うのか 薄井寛著 筑波書房 [amazon]

  • 近代日本一五〇年−−科学技術総力戦体制の破綻 山本義隆著 岩波新書 [amazon]

  • 日本軍兵士−−アジア・太平洋戦争の現実 吉田裕著 中公新書 [amazon]
    145p
    (元海軍中佐の関野英夫)アメリカ人はすごいなと思った。本当の突撃精神を見た。日本の駆逐艦はあんなには突っ込まないよ。(『聞き書き 日本海軍史』)

    一九四二年八月三〇日には、零式戦闘機の指揮官、新郷英城大尉がガダルカナル島上空で、アメリカ海兵隊のF4F戦闘機に撃墜されている。駆逐艦に救助されて帰還した新郷大尉を山本五十六連合艦隊司令長官が引見し、日米間の空中戦についての所見を聞いたところ、「『海兵隊航空隊の闘志は素晴らしく、我々を上回っている』というのが、豪勇をもって知られた新郷隊長の感想」だったという(『太平洋戦争航空戦史話(上)』)。

今日は2018年6月1日 金曜日

  • 激動のアフリカ農民−−農村の変容から見える国際政治 鍋島孝子著 明石書店 [amazon]

  • コンゴ共和国 マルミミゾウとホタルの行き交う森から 西原智昭著 現代書館 [amazon]

  • あやつられる難民−−政府、国連とNGOのはざまで 米川正子著 ちくま新書 [amazon]

  • 大伴家持 − 波乱にみちた万葉歌人の生涯 藤井一二著 中公新書 [amazon]

  • ヘイ・ジュード 東京バンドワゴン 小路幸也著 集英社 [amazon]

今日は2018年6月22日 金曜日

  • 屠場 みる・きく・たべる・かく −食肉センターで働く人びと− 三浦耕吉郎編著 晃洋書房 [amazon]

  • 北条早雲 − 疾風怒濤篇 富樫倫太郎著 中央公論新社 [amazon]

今日は2018年7月15日 日曜日

  • 武士の日本史 高橋昌明著 岩波新書 [amazon]

  • 雨降る森の犬 馳星周著 集英社 [amazon]

  • [増補新版]抵抗者たち: 反ナチス運動の記録 池田浩士著 共和国 [amazon]

  • 無冠、されど至強 東京朝鮮高校サッカー部と金明植の時代 木村元彦著 ころから株式会社 [amazon]

今日は2018年7月24日 火曜日

  • ダイブ 森絵都著 角川文庫 [amazon]
    部屋を片づけた時に段ボール箱にしまったままの本が眠っている。図書館の新着コーナーに並んでいるが目に入って、17年ぶりに読んだ。映像化されるようだ・・・

今日は2018年8月8日 水曜日

  • 獅子の門 群狼編 夢枕獏著 光文社文庫 [amazon]

  • 獅子の門 玄武編 夢枕獏著 光文社文庫 [amazon]

  • 獅子の門 青竜編 夢枕獏著 光文社文庫 [amazon]

  • 獅子の門 朱雀編 夢枕獏著 光文社文庫 [amazon]

  • うつ病九段 プロ棋士が将棋を失くした一年間 先崎学著 文藝春秋 [amazon]

今日は2018年8月11日 土曜日

  • 東京カウガール 小路幸也著 PHP研究所 [amazon]

  • りゅうおうのおしごと! 9 白鳥士郎著 GA文庫 [amazon]

今日は2018年9月6日 木曜日

  • 一刀流無想剣 斬 月村了衛著 講談社 [amazon]

  • ロシア・シオニズムの想像力--ユダヤ人・帝国・パレスチナ 鶴見太郎著 東京大学出版会 [amazon]

  • 村上海賊の娘 和田竜著 新潮文庫 [amazon]
    全4巻

  • 働きすぎに斃れて 過労死・過労自殺の語る労働史 熊沢誠著 岩波書店 [amazon]

  • うつけの采配 中路啓太著 中公文庫 [amazon]
    上・下2冊

  • 少年十字軍 皆川博子著 ポプラ文庫 [amazon]

  • アナーキー・イン・ザ・JP 中森明夫著 新潮社 [amazon]

  • カラマーゾフの妹 高野史緒著 講談社 [amazon]

  • 傲慢な婚活 嶽本野ばら著 新潮社 [amazon]

  • 世界からバナナがなくなるまえに 食糧危機に立ち向かう科学者たち ロブ・ダン著 高橋洋訳 青土社 [amazon]
    215-216pp
     農業に対する野生の自然の価値は、人間の無知の緩衝帯として機能することだ。ときに私たちは作物の管理に失敗する。あるいは進化が私たちを驚かせることもある。そのようなときに私たちが頼るのは、野生の自然である。ゴムの例で言えば、ゴムノキには栽培化された伝統品種が存在しないため、野生の自然への依存はより直接的なものになる。そしてそれは、科学的な知識と、アマゾン地方の原住民が持つゴムノキに関する伝統的な知識によってのみ媒介される。問題の程度に関係なく、私たちは今後も野生の自然に頼らなければならない。他の作物に関して言えば、野生の自然への依存は、害虫、病原体、気候変動などの新たな脅威の出現によって生じるであろう。作物の伝統品種は、すべての問題を解決できるほど多様でないこともある。
     農業はときに、偶然と交雑によって野生の自然の恩恵を受ける。作物と近縁野生種の結びつきは、農業に新たな遺伝子を注ぎ込む。その種の結びつきのほとんどは、栽培化された親の作物に比べて有用性に劣る種子や植物を生むが、いくつかの有用な特徴を備えたまったく新たな品種を生むこともまれにある。農民は、作物の近縁野生種を用いることで恩恵を受けてきた。たとえばメキシコの高地に住む農民は、とりわけ気候のパターンが変わったり害虫が発生したりしたときに、新たな特徴を付与するために、野生種テオシントの近くにトウモロコシを植えるのだそうだ。私たちは作物の遺伝子に交雑の歴史を見出すことができる。たとえば、栽培化されたブドウの遺伝子の調査によって、ブドウは、ヨーロッパを西に向かって伝えられるあいだに、農民の手で野生のブドウとかけ合わされたことがわかっている。農民は、その結果できた果実を捨てずに植えたのである。ピノ・ノワールやトラミネールは、こうして生まれたのだ。(第12章 野生はなぜ必要なのか)

    216-218pp
     時代が経つにつれ、育種家は、作物の育種に近縁野生種を用いるのに長けてきた。そのような努力は巨大な恩恵をもたらす。コメを考えてみよう。緑の革命で育種されたコメの品種は、イネグラッシースタントウイルスなどの新たな病原体が出現するまで、一〇年間は順調に栽培されていた。このウイルスに対する病原抵抗性を持つ栽培化されたコメの品種は、数百、数千の品種が試されたにもかかわらず存在しなかった。だが、答えは野生種に見つかった。野生のコメ Oryza nivara はイネグラッシースタントウイルスに対する病原抵抗性を持ち、栽培化された生産性の高いコメの品種とかけ合わせて作り出されたコメも同様だった。現在消費されているコメのほとんどには、Oryza nivara の遺伝子が含まれているはずだ。一九八〇年代に入ると、コメを蝕む別の病原体が出現するが、今回は細菌性の病原体であった。このケースでは、別の野生種 Oryza longistaminata がコメを救った。その遺伝子の一つは、スーパーで売られているコメに見つけることができるはずである。
    (中略)
     野生の自然はトウモロコシを救った。コメも救った。ありがたいことに、ワインも、ゴムも救ってくれるかもしれない。アメリカの農業に対する作物の近縁野生種の価値は、年間三億五〇〇〇万ドルと推定されている。世界の農業に対する価値は、年間おそらく一〇〇〇億ドルを超えると見られ、間違いなく一〇〇億ドルを下ることはない。熱帯雨林や草原に生息する、栽培化された作物の武骨な近縁野生種は、毛深いパンダやサイより、全力で野生の土地を救うべき確たる理由を与える。それらの野生種の価値は、今後さらに高まっていくだろう。

    cf. 緑の革命を脅かしたイネウンカ 寒川一成(そうがわ かずしげ)著 ブイツーソリューション発行 星雲社発売 1,000円+税 2010年10月25日刊 [amazon]
    終章 緑の革命を脅かした黒幕
    再燃するイネウンカ問題
     2008年春、40数年前の青春時代に初めて訪れたフィリピンの国際稲研究所にやってきた。私にとっては既に幾度も訪れた懐かしい研究所である。職務を帯びた訪問は多分これが最後になるはずであった。IPMが登場して半世紀が過ぎ、熱帯アジアでFAOのIPM普及事業が発足してから約20年が経っている。FAO主導のIPM普及事業によって、1980年代後半から1990年代には、トビイロウンカのリサージェンスを引き起こしていた有機リン系殺虫剤の使用が目に見えて低減し、トビイロウンカの連鎖的な大発生が収まった。殺虫剤の定期的な予防散布をやめた国際稲研究所の水田には、かつて私に強烈なインパクトを与えたトビイロウンカの影はなかった。
     ところが、一旦は終息したかに見えたトビイロウンカ問題が、熱帯アジア各地の水田で再燃し始めている。IPMとの協調を謳って登場したネオニコチノイド系殺虫剤が、水田生態系に深刻な影響を与えている。天然の殺虫成分であるニコチンに類似した化学構造と、イネ体内に浸透し低濃度で長期間殺虫毒性を持続するネオニコチノイド系殺虫剤は、環境にやさしく、天敵生物への影響が少ないとされてきた。更に農民に対しても安全で省力的、かつ経済的とされた。ところが、その負の影響は、まずネオニコチノイドに耐性を持つトビイロウンカの出現となって現れた。
     中国水稲研究所で過ごした最終年の2005年に、1999年以来減少していたトビイロウンカが突然大発生した。代表的なネオニコチノイド系殺虫剤であるイミダクロプリド(中国名、ピーツォリン)が効かなくなった途端に大発生した。研究所の過半の試験田がほぼ全面枯死した。浙江省だけでも40%の水田が重大な被害を受け、その内14,000haが収穫皆無になった。以来、トビイロウンカの多発が続いている。それは薬剤抵抗性ウンカの出現による防除効果の低下だけが原因ではないはずである。長期間残留するネオニコチノイド系殺虫剤の連用が、水田生態系の天敵生物相に与える影響は、残留期間の短い有機リン系殺虫剤などよりも、はるかに深刻なものかもしれないのである。
     トビイロウンカの防除にイミダクロプリドを連用してきたタイでは、2003〜2005年ころから、トビイロウンカに対する防除効果が減退し始めた。効かなくなったイミダクロプリドに代わり、大量に出回ったアバメクチン、サイパメスリン、クロルピリフォスなどの殺虫剤が乱用され、2008年からトビイロウンカの大規模なリサージェンスが起こっている。クロルピリフォスはダースバンという商品名で、かつてインドネシアでもトビイロウンカのリサージェンスを引き起こすことを、私はインドネシアにいた時に、圃場実験で実証していた。そして、当時の大統領令で、水田での使用が禁止された殺虫剤の1つである。
     2009年雨期に、タイ中央平原の3省から始まったホッパーバーンが、またたく間に18省に蔓延し、更にトビイロウンカが媒介するウイルス病が流行し始めている。タイ政府は殺虫剤調達のために特別予算を計上し、殺虫剤によるトビイロウンカの防除を促すキャンペーンを展開した。しかし、国際稲研究所でIPMの研究と普及に長年携わってきたヘオン氏は、このような措置が、火にガソリンを注ぐような結果になるのではないかと警告を発している。
     ベトナム南部のメコンデルタでは、トビイロウンカは1991〜1992年の大発生の後、少発状態を保っていた。しかし、2006年から再び多発し始め、トビイロウンカが媒介するイネウイルス病の大流行に悩まされている。2007年、ベトナムはウンカとウイルス病の被害が原因で米の輸出を抑制した結果、周辺の米輸入国で米価が高騰し、大きな社会問題になった。いわゆる2008年のライスクライシスである。
     ミャンマーは、緑の革命期にトビイロウンカが大発生しなかった数少ないアジアの稲作国であった。しかし、1990年に農薬市場が自由化された後に、ホッパーバーンが初めて生じた。そして、2008年に穀倉地帯を襲った台風被害から、米生産を回復させるために、政府が無償配布したダイアジノンやクロルピリフォスが、その後のトビイロウンカの多発生を誘発した。かつて緑の革命を脅かした黒幕が、時と所を変えて、アジアの稲作農民に災厄をもたらし続けている。
     もう1つウンカの大発生を危惧させる問題がある。中国のハイブリッドライスの栽培が、農薬企業や種子会社の新たなアグリビジネスとして、熱帯アジアに浸透しつつあることである。IR品種をしのぐ多収性が強調されているが、その多収性は殺虫剤の強力な援護なしには実現できないものである。実際、中国からハイブリッドライスが浸透しているベトナム北部の稲作農民によれば、ハイブリッドライスの種子が殺虫剤と抱き合わせに配布されているという。
     ハイブリッドライスを導入しつつある熱帯アジア各地からの報告は、殺虫剤技術とパッケージされた高収量栽培技術が、トビイロウンカのみならずセジロウンカの大発生を招くリスクを伴っていることを示唆している。かつてマサガナ99やビマス・インマス計画による緑の革命の過程で、高収量イネ品種とともに普及した殺虫剤が、トビイロウンカの大発生を引き起こした歴史から、私達が学んだことは多かったはずである。

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    第1章 アフリカ銃貿易とブリュッセル会議(一八八九〜九〇年) −−ソールズベリー首相はなぜ銃貿易規制を推進したのか−−

    259p
     同様に、一九世紀以降にアフリカの人々の手に渡った武器は、植民地化に対する抵抗活動や、後の時代の独立運動においても使用された。例えば、一八九〇年の「アフリカの奴隷貿易に関するブリュッセル会議一般協定」の締結前に、西アフリカでサモリ・トゥーレが率いたサモリ帝国は、銃器などの近代兵器を大規模に導入することにより、フランスによる植民地化に強く抵抗した。しかし、ブリュッセル協定が合意され実施されるに伴い、サモリ帝国が武器を入手することが困難になった結果、サモリ帝国は敗退を重ね、この地はフランスにより植民地化された。(終章)

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作成:2017.2.9
by 斉藤龍一郎 僕あてのメール