宇宙戦艦ヤマト
 
〜ささきいさお〜
 

  
 
 さらば地球よ  旅立つ船は 宇宙戦艦ヤマト
宇宙の彼方  イスカンダルへ
運命背負い  今飛び立つ
 
 
結構、流行ったらしい。    
が、僕はどうしても好きになれない。    
     
第一に、戦艦「大和」を引っ張りだしてくる感覚。    
うさんくさい。    
「人類滅亡の危機」を救う象徴として取り上げている。    
無邪気にあのアニメをみると戦艦「大和」も正義の象徴となる。    

第二に、宇宙ものによくあることだけど、    
戦争を「運命」かのように扱ったうえで、    
抽象的な「愛」が人類を救ってくれるかのようなストーリー。    
劇中の    

「我々は闘うべきではなかった、愛し合うべきだったのだ!」    

これも多分に宗教くさい。    
地を這うような営み(tatakai)から目をそむけさせる。    

それに特効隊的な美学。    

阿久悠さんも、ここらへんはちょっと気にしてか、こんなことを書いている。    
     

ぼくは、映画のためにも、「ヤマトより愛をこめて」などの詩を書いた。その時は、悲壮の美に走らないようにと気を遣って、壮大な愛の歌にしたのだが、「さらば地球よ....」で「宇宙戦艦ヤマト」が始まっているのに、「ヤマトより愛をこめて」では、「今はさらばといわせないでくれ....」で終わらせている。このメッセージが通じたかどうか。それはわからない。