AOLとサーチエンジン
CNETのJim HUがAOLの新しいサーチエンジンについて"AOL vies to become major search player "という記事を書いています。この記事はAOL Searchに関するものですが、ISPやポータルサイトの現状について示唆に富むもので、この記事の背景を理解することは私たちにとっても重要です。

伝統的というかやや古くさい感じもしますが、サーチエンジンがユーザの囲い込み手段としていまだに有力だからこそ、AOLはサーチエンジンの分野に力を入れているのでしょう。その点、わが国のISP系のポータルサイトのサーチエンジンが、その努力のわりには囲い込みのツールとして十分成功しているとは云いがたいことを考える必要があります。

登録の申し込みから実際の登録まで1ヶ月近くかかるというインターネットの世界としては驚くべき遅さが何ら改善されていない、あるいはあまりに多すぎる検索結果のために初心者の多くが使いこなせないど改良すべき点がたくさんあります。その改良によって差別化を図ることかできるにも関わらず、十分投資されていないように見えます。

しかし、サーチエンジンだけがポータルサイトの有力な要素ではなくなっています。この記事の中でも
Grutka conceded that AOL's search efforts have not garnered a sizable audience. "We are realizing that we have come up short in the past," she said. (Marta Grutka, an AOL spokeswoman, )
と書いています。サーチエンジンだけで多くのユーザを集めることはできないのです。ISPとしてはXDSLによる回線速度の向上や無料のメールアカウント、BBS、さらにポータルサイト自体のユーザによるカスタマイズ、そしてなによりもサイト内にいかに豊富な情報を集約できるかなど総合的なサイト作りが迫られています。しかも最近のユーザはインターネットの利用方法について洗練されてきており、記事中でも
According to David Simons, managing director of Digital Video Investments, Web users are increasingly opting to go to Web sites they like directly, without guidance from an online service.
"As people become more sophisticated, they're getting more comfortable cherry-picking," Simons said. This time,
としています。

このようにポータルサイトは、インターネットを巧みに利用し、簡単に囲い込みの柵を乗り越えていってしまい、しかもあまりお金を使いたがらないユーザを相手にいかに魅力的なサイトを提供するかという総合力戦に入っています。

しかも、わが国ではキャリア系のISPの会員増についても考えを及ぼす必要があります。ユーザはコンテンツプロバイダーとしてのISPではなく、低価格を提示する接続業者を選択しようとしています。たしかにポータルサイトを維持する経費がかからない単純な接続業者のほうが低価格でインターネットを提供できます。多くの消費者はそれを望んでいるわけです。実はこのことは米国においてCompu-ServeがAOLに吸収された時期に指摘されていました。ただ、その時期がマルチメディア化と重なったため、米国においても単純にキャリア系ISPの世界にはならず、AOLという巨人を生じさせました。わが国はやや事情が違います。

従来のパソコン通信事業者がマルチメディア化する前にこのインターネットブームに突入したため、米国におけるAOLのような存在を生ずるには至りませんでした。その中でISPは低価格を提示するキャリア系のISPとマーケットを争っているのがわが国の現状ということができると思います。

それに対して、各社は決定的な決め手をもっていないとされています。しかし、Compu-Serve以来の問題だとしたら、わが国の経営者もなんらかの戦略的な解を示さなければならないだろうと思います。巨大なISPの経営者ですら、その展望をもっていません。「現在は儲かっているから」という現状満足と「何か仕掛けてもうまく行くわけがない、若い連中に任せておくしかない」というのは総合的戦略の欠如でしょうか?

インターネットをビジネスという視点で見てみると、接続業者、個人情報発信者、無料で情報を発信する企業、有料のコンテンツを提供する企業の関係を分析してみると良いのではないかと思います。

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