電子商取引に関するひとつの調査
ウォールストリートでは情報通信関連の株が多くのアナリストの心配をよそに高値をつけ続けています。私だけでなく日本のネットワーク関係者の中に、あれはバブルであると考えている人がたくさんいます。USA Todayが伝えている Jupiter Communications Co., の調査も電子商取引について明るい未来を示してはいません。しかし、これはひとつの見方であって、インターネットの未来を予測することは非常に困難であることも最初に指摘しておきます。

この調査によれば、電子商取引とそれ以外の方法による販売の比率は1998年は18%、すなわちオンラインが24億ドル、それ以外が130億ドルですが、2002年は、オンラインが87億ドルでそれ以外が437億ドルと予想され、その比率は20%とわずかな上昇にすぎないとしています。

現在、ポータルサイトでは小売店をできるだけユーザーの目に触れるように扱っているのですが、ユーザーのポータルサイトへのアクセスが固定化したときにも同様にしてくれるとは限りません。ポータルサイトのビジネスはテナント貸しだけではなく、広告収入という大きなマーケットがあります。現状では広告収入のほうがテナント収入を越えることは明らかです。将来的にも両者の収入を比較して、広告のほうがもうかるのであれば、ポータルサイトはテナントに対して消極的になると予想されます。電子商取引の小売店たちをサイトの一等地から外すことが考えられます。

この調査ではポータルサイトと再契約をしようという小売店は5%に満たないとしています。調査はそれが直ちにポータルサイトの放棄にはならないとしても再評価は行われるだろうとしています。

これに対してBob Davis (president and chief executive of Lycos) は、
"Virtually anyone who has built a successful retail site has done it through a portal one way or another," "I don't think there is an effective way or an affordable way to build visibility to your site without that portal relationship."
要するに、実際上、電子商取引で成功するにはポータルサイトを通してする以外に方法はないということです。

電子商取引が今後どのように推移するかは非常に困難な問題です。amazon.com の成功を否定する人はたぶんいないでしょう。しかし「電子商取引で成功したのは本だけだ」(実際はそうではないですが)と極論する人は多いのです。あまり悲観的に考える必要はないでしょうが、この調査のように現状を厳しく見つめることは大切です。ウォールストリートの株価に目を奪われている時期ではないでしょう。

考えなければならないのは電子商取引にどれぐらいのアイデアと努力を注ぎ込むかです。amazon.com はそうしたアイデアと努力のひとつの成果であって、単にネットワーク上にショップを開設すれば、何もしなくても大勢の客がやってくるものではないのは当然です。

例えば、テレビのショッピング番組と連携するのもひとつの方法です。テレビで顧客の注目をあつめ、さらに詳細な情報はwebを利用し、そこで注文させるというものです。むろん、このような単純なメディアミックスで足りるようなものではなく、さらに複雑なマーケティング戦略が必要になるはずです。その場合のヒントのひとつは、現在のインターネットに対して消費者はどのような物足りなさを感じているかでしょう。もうひとつは、インターネットの高速化と電話料金の低下です。優れたプランナーが必要な時代に入りつつあります。

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