暗号システムの輸出規制の緩和の動き
クリントン政権は、長いあいだコンピュータの暗号システムの輸出を国防上の理由から規制する政策をとってきたのですが、これを緩和する法案が12日に下院の司法委員会の分科会を通過しました。この法案はSecurity and Freedom Through Encryption (SAFE) Act と言い、Bob GoodlatteZoe Lofgren によって提案されています。

暗号の輸出規制の緩和については、Michael G. Oxley議員のような根強い反対がありますが、この法案の成立は楽観視されています。なぜなら、まず、司法委員会の大半を含む210人の議員の支持をえているからです。また、この法案の成立にはほかの委員会を通過する必要がありますが、その際、重要な規則委員会(Rules Committee)のGerald Solomon 議長が昨年交代しているからです。彼は暗号システムの輸出による国際テロや犯罪者による国家の安全性を心配していましたが、現在の議長であるDavid Dreier議員は、この法案の賛同者だからです。

この法案の理由は、海外に在住する米国民が暗号システムを使えないためとされていますが、さらにその背景は、もちろん暗号の輸出によって多くの市民のプライバシーが保護されることや、電子商取引におけるクレジットカード番号の送信が容易になるなどの産業的な理由などがあります。しかし、さらにそもそも暗号システムの開発力は米国の独壇場だったのですが、それが崩れはじめており、もしこのまま輸出規制を続けると世界の暗号システム市場において米国が遅れをとる可能性があるからです。

また、この法案では輸出規制の緩和が話題を呼んでいますが、もうひとつ重要な点があります。それは暗号利用の自由とその例外です。この法案では
`Sec. 2802. Freedom to use encryption
`Sec. 2803. Freedom to sell encryption
としてプライバシー保護の観点から暗号利用の自由が保障されています。そして
`Sec. 2804. Prohibition on mandatory key escrow
では、原則として政府、州政府が、暗号の解読キーそのものを要求することだけでなく、キーに近付くこと及びキーの情報を要求するとことも禁止しています。それは"They compare it to requiring a person to keep a copy of his house key on file at the local police station. "
だからです。 しかし、このSec. 2804.には、
`(c) EXCEPTION FOR ACCESS FOR LAW ENFORCEMENT PURPOSES- Subsection (a) shall not affect the authority of any investigative or law enforcement officer, or any member of the intelligence community as defined in section 3 of the National Security Act of 1947 (50 U.S.C. 401a), acting under any law in effect on the effective date of this chapter, to gain access to encrypted communications or information.(Subsection (a)は政府の暗号解読を禁止する一般原則を定めています)
という例外が設けられています。調査当局や法律の執行官または国家の安全に関する情報機関などが例外とされています。米国では暗号の解読キーを国家が管理する可能性について市民団体が強い懸念を示しています。この例外の持つ意味が注目されます。

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