米FTCプライバシー保護の立法化を示唆
 c-netがFTC(Federal Trade Commission)の議長(Robert Pitofsky)がメディア・広告関係者との昼食会で米国のこれまでのプライバシーに関する政策を少し修正するかの発言をしています。今年の3月に昨年と同じようなプライバシーに関する研究会を開催するけれども、そこでインターネットユーザーのプライバシーいかに集め、いかに守るかについての自主規制に前進がないならば、議会が法律によって規制すると考えているとしています。

 これは当然ECのプライバシーに関するディレクティブを意識したものです。ECはプライバシーに関して強い保護を保障しており、ECと同様の保障していない地域に個人情報を伝送することを禁止していて、米国がこの地域に当たるのではないかが問題になっています。EUと米国の違いは、EUが法律で個人情報全般について収集方法、個人の情報へのアクセス、訂正要求などを規定しているのに対して米国は、業種ごとの業界団体などの自主規制に任せようとしていて、しかも米国ではそれすらに確立できない状態に止まっています。このちがいが米国とEUのあいだで懸案事項となっていて、このままでは個人情報の伝送を必須とする欧・米間の電子商取引が困難になるとされています。

 今回のFTCの議長の発言はこのような状況を踏まえて業界に対して、いわばいい「加減に個人情報保護の体制を確立しなさい。でなければ法律で規制しますよ」と言うようなものです。米国は基本的には自主規制で対応しようとしているのですが、なぜ、業界をこのように促してまで自主規制にこだわるのか? 欧州のように包括的法的規制と業界単位の自主規制とでは、法的強制力の有無・自主規制が及ばない領域が生ずるという点でちがうのですが、個人情報の保護という点ではEUのほうが優れていることはあきらかで、米国がそれを緩やかにすることでどのようなメリットがあると考えているかは明確ではありません。国家が介入しないことで電子商取引の活性化をはかるという大義名分が、少々プライバシーを侵害してもかまわないというのでは、そもそも自主規制自体の実効性を否定することになってしまいます。また、包括的か業界単位かは別として同じような規制をするのであれば、法的規制か自主規制かでそれ程違いはないともいえます。

 EUは法的拘束力がない自主規制ではディレクティブの条件を満たすとはしていませんが、米国は自主規制を確立したうえでEUと交渉しようということでしょう。しかし、Pitofskyがこのように法的規制を口にするようになったということは、場合によってはこれまでの自主規制によるという米国の政策の修正があるかもしれません。

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