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Complaint Site とは文字通り「不満を言うサイト」であって企業などの扱いに不満を持つ人が、その事実を掲載するサイトをいいます。ディズニーに対する DisneySucks.Com やAOLに対する Why America Online Suck などの Complaint Site が有名です。
ニューヨークタイムスの中で CYBER LAW JOURNAL がこのような Complaint Site が消費者の権利を守った例を紹介していますが、これは同時に表現の自由と名誉毀損・誹謗中傷の限界及びネットワーク時代の企業のリスクマネージメントの問題を提起しています。
このケースは George Musser Jr. と Talia Schaffer のカップルがサンフランシスコからニュージャージーへ引っ越すときの運送会社とのトラブルから生じました。運送の過程で二人の家財が壊れたりベッドの台やテーブルの脚が紛失するなどにより1734ドルの損害が生じ、二人は運送会社である Bekins Van Lines Co., に対して電話や手紙で損害を賠償するように要求したのですが、同社はいわゆる「聞く耳を持たない」状態だったし、弁護士に依頼するには金額が少なかったので、二人は www.bekinsbeware.org を立ち上げたのです。ただ、専門家が全く関わっていなかったわけではなく、ファミリーパーティーで知り合った Herbert I. Waldman という法律家が多少関与していました。 この結果、それまでこの二人をまったく相手にしなかった運送会社は態度を急変させて全額を賠償することになったのです。 少額の損害をめぐる消費者のトラブルでは、電話・手紙・新聞への投稿などの従来の手法はあまり効果を持たないのですが、Waldman は Complaint site によってネットが消費者に多くの手段を与えたとしています。また、法律家であり、Web Counsel の会長でもある Mark Pruner も Complaint site を使う方法は適法であり、また、小さな不満を言う民衆とエグゼクティブとの間のパワーバランスが明らかに変わったと云っています。 法律的には、ニューヨーク大学の Stephen Gillers 教授が「名誉毀損にならない限り、情報をポストする事は憲法修正1条(表現の自由)の権利である」としています。法律家などの専門家は Waldman に賛成しているのですが、何人かの法律家は、消費者が Complaint site に虚偽や名誉を傷つける情報を掲載した場合には名誉毀損で訴えられるリスクがあるし、相手の会社の名称やロゴを使用した場合には前例はないものの商標の侵害で訴えられるリスクも警告しています。また、Gillers 教授も、脅迫罪にならないように site の内容を法律家が確認すべきだとしています。 消費者問題において表現の自由と名誉毀損・脅迫(恐喝)罪は、ギリギリの限界上で接しており、初期の消費者運動でラルフ・ネーダーが一時は恐喝罪に問われたことは有名です。また、このような手段が認められると消費者問題の名を借りて実際に恐喝をおこなう者も登場することは容易に想像できます。しかしながら真実を伝えることで社会の不正を是正することは、表現の自由の本質であり、Comlaint site もそのひとつと考えるべきでしょう。また、日本でも真実性の証明といって公益に関する事実については真実であるかぎり名誉毀損罪にはならず、民法的にもその範囲は拡大しています。これが認められなければ、公害企業などの告発は不可能であり、表現の自由俳味を失うからです。 ただ、その限界は非常に微妙で、また、被害者は感情的になって事実を膨らませたり、虚偽の情報を紛れ込ませがちですから、法律家が適切なアドバイスをおこない、被害者も冷静に真実を伝えるように勤めることが必要です。 企業としてはどのように考えるべきでしょうか。元々このようなメディアがなかった時代に運送会社のように「聞く耳を持たない」対応をしたこと自体が正しくないと言えるわけで、ネットワークの発展によって無力な市民が情報伝達の手段を獲得した現在では、そのような対応ではなく適切な処理が必要となるでしょう。ところが、企業の社会的な責任としては脅迫などの Comlaint site の濫用的なケースには毅然とした対応が要求されます。つまり、一方では企業がいたずらに Comlain site を名誉毀損だと騒ぎ立てても、訴訟で表現の自由により敗訴して企業の信用を失う可能性があります。その場合には一層強く Complaint site で責任を追及されますから適切な対応が必須です。しかし、他方では、濫用的にComlaint site を使う総会屋まがいの人物に不正な利益を与えると株主による責任追及を受けるというむずかしい立場に立たされます。その意味では、ここでも専門家の適切なアドバイスが必要になります。それを踏まえた適正な処理が、ネットワーク社会のリスクマネージメントとして要求されると云えます。 |