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AOLのネットスケープ買収のニュースに隠されてしまっていますが、インターネットにとって重要な判決が11月23日に出ています。Judge Rules Against Filters at Library By PAMELA MENDELS(CyberTimes)として、LOUDOUN COUNTY PUBLIC LIBRARYが定めた図書館のインターネットに接続できるパソコンにフィルタリングソフトをインストールするPolicyの違憲性について争われた事件について連邦地裁(the United States district court for the Eastern District of Virginia in Alexandria)が憲法修正1条の表現の自由を侵害するとして違憲判断をしたことを伝えています。
これは、このホームページで10月6日にLOUDOUN COUNTY PUBLIC LIBRARY事件として紹介した事件の判決で、判決の全文は原告側を支援していた
People For the American Wayのホームページにアップされています。
問題になったのは次のようなPolicy(方針)です。 (1)図書館は電子メール、チャット、ポルノは提供しない。 (2)全図書館のコンピュータは次のようなサイトのすべてをブロックするためにサイトブロッキングソフトウェア(フィルタリングソフト)を装備する。 (a)チャイルドポルノと猥褻なマテリアル (b)少年に有害と考えられるマテリアル。 (3)すべてのコンピュータは図書館のスタッフが完全に見ることができる近くに設置する。利用者はポルノにアクセスすることを許されないし、もしそれをして、止めることを拒否したならば、それを中断させるために警察官を呼んでも良い。 問題になったのは(2)ですが、判決は、"Such a Policy offends the guarantee of free speech in the First Amendment and is, therefore, unconstitutional."としています。つまり「そのようなPolicyは、修正1条の言論の自由の保障を犯し、違憲である」と明言しています。 しかし、この結論に至るにはさまざまな点について検討が加えられています。まず、原告が取り上げたのは、このPolicyが禁止しようとしたチャイルドポルノ・猥褻なコンテンツのサイトへのブロックではなく、それらに当たらないサイトがブロックされるという問題です。 これを前提に例えば、図書館はどのような書籍を購入するかはその図書館の自由でなければなりません。インターネットもこれと同様であれば、図書館は自由にインターネット内のサイトを選択できることになります。 また、原告の中には現にフィルタリングソフトによってブロックされたサイトの所有者がいましたが、裁判の時点ではブロックは解かれており、図書館から見ることが出きる状態にありました。したがって、裁判を求める利益がないのではないかという観点から当事者適格(Standing)が、問題とされました。 それにも関わらず違憲無効とされたのは表現の自由の重要性と図書館の持つ公共性でしょう。民主主義社会におおいて公共図書館は市民の重要な情報リソースであって、その情報に基づいて市民は政治的意思の決定を行います。すなわち表現の自由の特に重要な部分を実質的に実現する役割を持っています。したがって、そこに提供される情報は、選別されるべきではないのですが、一般の図書のように物理的・財政的に選別せざるを得ないときは、外部の圧力を避けるために、図書館には自治が認められます。しかし、この事件では、既に提供可能な状態にあるものを排除しますから、書籍の選別とは同等に考えるべきではなく、表現の自由の事前抑制として人権の侵害になるわけです。また、パソコンを購入できない弱者は図書館でインターネットを利用するのですが、フィルタリングソフトは、弱者と強者の間に情報格差を作ることになってしまいます。 次に、表現の自由の重要性からStandingも広く認められています。わが国の裁判では、現にブロックされていないのであれば、訴えの利益は認められない可能性があります。しかし、過去にブロックされたサイトの所有者たちには広くStandingを認めています。但し、この判決でもブロックされたサイトにリンクを張っているに過ぎないサイトの所有者にはStandingは認めていません。あまりにも訴訟を提起できる人の範囲が広がりすぎてしまうからでしょう。 また、より根元的な問題ですが、原告は表現の自由の側から訴訟を提起しており、「知る権利」の侵害という観点からのものではないようです。これを認めるならば、図書館の利用者全員がStandihgを持つことになります。それではSatndingの範囲が広がりすぎると云うことでしょうか。 この裁判は一つのCountyの図書館の問題ですが、米国政府は、予算案の段階で図書館がインターネットを導入する際の補助金の条件としてフィルタリングソフトのインストールを求めていました。この予算案がそのまま通過したかどうかは、私は確認していないのですが、通過したとすると全米で同様の訴訟が起こる可能性があります。 また、わが国でもフィルタリングソフトは学校に導入されつつあります。利用者の範囲が広い図書館と教育機関とでは性格が多少異なりますから、同一に考えることは出来ないのですが、表現の自由との関係については慎重な検討が必要でしょう。 判決文の粗訳を進めていますので、まもなく出きると思います。 |