チャイルド・オンライン・プロテクション・アクト(Child Online Protection Act)の違憲審査
インターネット上で未成年者に有害なコンテンツを商業的に配布することを規制した Child Online Protection Act(COAP)は、先日、米国議会を通過し、10月21日はクリントン大統領がサインして成立しましたが、フィラデルフィアの連邦地裁は大統領のサイン後1ヶ月で発効するはずだったこの法律を11月19日に一時的に10日間その執行を停止したとCNETニューヨークタイムスが伝えています。その間にさらに審理して執行停止の仮処分を決定することになります。

この法律はわが国では風営法改正による有害情報の規制とよく似ており、その意味でも米国裁判所の判断が注目されます。

この訴訟の原告は17の団体(別掲)からなり、その中には本の小売店や出版社、オンラインマガジンの会社なども含まれています。この法律は商用で未成年者に有害な情報をインターネットのWWW上で提供することを禁止するものですが、その解釈によってはこれらのビジネスに深刻な影響を与えるためです。すなわち、何が未成年者に有害であるかの判断は一般的なコミュニティーを基準とするという具合に曖昧であるため、例えば小売店が扱う本の中にはこれに当たるかどうか明確でないものが出てくる可能性があります。その場合5万ドルの罰金または6年の懲役の併科という厳しい刑罰のもとでは小売店は、控えめにならざるを得ないだけでなく、不安定立場に立たされることになります。

表現の自由の制限が曖昧な基準で行われるとその弊害が思わぬところに広がるひとつの例と云えましょう。いわゆる「表現の自由の制限の萎縮的効果」です。単純に表現の自由の侵害として市民団体が反対するに止まるわが国と異なり、ビジネス的視点から反対を表明するところが米国の特徴でもあります。

しかし、この裁判でCOAPが違憲無効となると単純に判断することはできないようです。この関連では昨年Communication Decency Actが違憲無効となっていますが、それと同様に違憲となるかは今の段階ではあきらかではありません。子どもが立ち入る場所に未成年者に有害なマテリアルを陳列・販売することを禁止したpublic-display lawsは下級審で合憲有効とされていますから、これと同様に考えれば必ずしもCommunication Decency Actと同じ判決が出るとは限らないからです。

原告の主張は長文ですがACLUのサイトにまとめられています。憲法の学習者には参考になると思います

この問題についてはさらに詳しく書きたいと考えています。

原告団体

American Civil Liberties Union (ACLU)
A Different Light Bookstores
American Booksellers Foundation for Free Expression (AFBBE)
ArtNet Worldwide Corporation (ArtNet.com)
BlackStripe
Condomania
Electronic Frontier Foundation (EFF)
Electronic Privacy Information Center (EPIC)
Free Speech Media, LLC
Philadelphia Gay News
Internet Content Coalition (ICC)
BGYN.net
Powell's Bookstore
Riotgrrl
Salon Internet, Inc. (Salon Magazine)
West Stock, Inc.
など

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