米国控訴審、判例集の著作権を否定
A New York federal judge has ruled that legal research giant West Publishing cannot bar other companies from copying and reprinting the text of its published court decisions By John Borland Staff Writer, CNET News.com November 4,1998.
ニューヨーク連邦控訴審が、ウェスト社が出版している判例をほかの会社がコピーしたり、再出版することを著作権に基づいて禁止することはできないとしたものです。
判例そのものは裁判所が書いたものであり、ウェスト社に著作権がないことは当然ですが、争点となったのは、同社が付けているページナンバーシステムです。この業界で長い伝統を持つ同社のシステムは法律家が判例を引用する場合の標準になっていて、このページナンバーがなければ判例集として役に立たないのが実状です。しかし、この判決はこのシステムの著作権も認めませんでした。
これは判例データベースが高価であることなどから、消費者からは歓迎されていますが、多少問題もあります。ウェスト社が判例をデジタル化し、それをデータベースにするのには、相当のコストがかかりますが、それをほかの会社は、簡単にコピー出来てしまいます。これでは、ウェスト社は、ほかの会社と競争できません。今のところ同社がこのビジネスから撤退することはないでしょうが、利益が出なければ撤退せざるを得ないでしょう。つまり、最初に費用をかけて判例をデジタル化した会社が一番損をすることになりますから、裁判所当局がデータベースを構築するなどの対策がなければ、判例集を作る会社がなくなってしまうおそれがあります。
著作権法の解釈としては、これで良いのでしょうが、その結果、判例の情報化は後退してしまいます。たしかに、ウェスト社の著作権を認めると公的な判例が同社に独占されることになりますが、そうかといって、最初に入力した会社の利益を適正に保護することも必要です。著作権法以外にこれを保護する方法としてはトレードシークレットなどが考えられますが、ページナンバーシステムは公表されていますから、これによって保護することも困難です。しかし、何らかの保護が必要な領域かもしれません
ちなみにわが国の著作権法13条3号は、裁判所の判決、決定、命令、審判及び行政庁の裁判に準ずる採決・決定は著作権の対象とならないとしています。また、判例集のページを示す慣行は一般的には行われていません。
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