Gary Bernstein vs J.C. Penney Inc.リンクは著作権侵害にはならない
ニューヨークタイムス(September 25, 1998)によるとインターネット上のリンクと著作権に関する訴訟で、ロサンジェルス連邦地裁(Los Angeles Federal District Court Judge Manuel A. Real)は、原告敗訴の判決を言い渡した。

原告は、エリザベステイラーなど有名人をたくさん撮影していた写真家のGary Bernsteinで、被告は、Elizabeth Taylor's "Passion"とという香水を販売するJ.C. Penney Inc.及びその香水のメーカーである。J.C. Penney Inc.らのサイトがInternet Movie Databaseにリンクを張っており、そこからスェーデン大学ののSUNETというサイトの著作権法上を侵害するエリザベステイラーの写真データへとつながっていたため、Bernsteinが著作権侵害で訴えていたものである。

この事件には、いろいろな人がコメントをしていて、多くは判決を支持している。

著作権のエキスパートであるWayne State 大学のJessica Litman教授は"If people are going to be liable when they link to material that they have no reason to think is infringing, then everyone, everyone who links, will be dragged into court all the time. That doesn't make good policy sense." と言っている。つまり、誰しも違法と思わないようなリンクについて責任を負うとすれば、みんな裁判所に引きずれ出されることになるが、それは政策感覚としておかしいというわけである。

また、香水会社の親会社のConopco'sの弁護士である Roger Myers of Steinhart & Falconerはもう少し理論的にリンクによって違法な写真データをコピーも配布もしていないし、データは依然スェーデンにあるから著作権侵害はないと言っている。

また、Jeffrey R. Kuester, an intellectual property lawyer(with Thomas, Kayden, Horstemeyer & Risley in Atlanta)のように憲法の表現の自由の観点からこの判決を歓迎している人もいる。

Bernsteinの請求が損害賠償なのか、著作権侵害の差し止めなのか不明であるが、差し止めであれば、J.C. Penney Inc.はBernsteinの請求と同時にリンクをはずしており、請求の理由がない。しかし、損害賠償請求とすれば、リンクをはずす以前に生じた損害の賠償 は当然問題となる。

ただ、Myersが主張しているようにコピーライトとしての著作権の侵害はたしかにないとも言える。画像のダイレクトリンクなどの場合侵害行為がないと言い切れるかは疑問であるが、一般にはリンクを張っただけでは複製行為も配布行為もないという論理は正しいとされているからである。しかし、著作権法の規定は被害者保護のため民法の規定を緩和しているに過ぎず、それに当たらないことから、直ちに損害賠償責任が否定されるわけでもない。このケースではJ.C. Penney Inc.のリンクによってBernsteinの損害が拡大していることは事実であり、その損害について賠償請求しうるかという問題は依然として残っている。

しかし、一転して別の視点で考えることも可能である。ネットワークでは被害がネットワークを通じて思いがけず拡大することがある、その場合にその過程に関与した者すべてが責任を負うべきなのだろうか。このケースでは、Internet Movie Databaseは単に画像があるサイトへのリンク集またはディレクトリサービスに過ぎないと思われる。その責任が肯定されるならば、次にはサーチエンジンの法的責任の問題が控えている。しかし、インターネットの常識からこれらの責任を肯定するのは困難である。

異なるケースであるがAOL Vs zelan事件で最高裁はAOLの責任を否定している。従来、損害賠償責任については被害者保護の見地から幅広く加害者を認定する傾向にあったが、ネットワークでは思わぬところ被害の拡大に荷担し、加害者側になってしまうことがあり、その責任を肯定すると損害賠償責任を負う物の範囲が拡大しすぎ、責任回避のために萎縮する人が多くなりすぎて、ネットワーク自体が成り立たなくなるおそれがあることを配慮したものだろう。しかしながら悪意がある場合まで同様に考え得るかは疑問である。この事件ではJ.C. Penney Inc.が直接リンクを張ったのではなくInternet Movie Databaseが介在していることとも関係しているかもしれない。

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