「電子マネー」須藤 修・後藤玲子著(筑摩書房刊)

 本書のタイトルは「電子マネー」、体裁は新書版とそれだけを見ると手軽な解説本という感じがするが、内容は膨大な資料の分析に基づく研究成果である。
 東京大学社会情報研究所の須藤助教授と法学部出身の後藤玲子さんが、多数の工学系研究者とともにNTTマルチメディアネットワーク研究所で行った学融的研究をわかりやすくまとめている。

 タイトルの電子マネーを柱に書き進めてあるが、むしろ現在の技術水準の紹介を前提に各国の取り組みを比較しながら電子経済の法制度的枠組みを論述している。そのため「電子マネー」の書というより、電子経済全体を法制度との関連で俯瞰したものと考えたほうがよい。
 電子経済との関連で技術面から電子マネーの制度基盤、金融制度への影響、一見無関係と思われがちなプライバシー、さらにはNGO/NPOにまで幅広く及んでいるため、体系的に理解する上でも役に立つが、さらに法学系の人が読むと新しい展開を理解できる。
 電子決済の法律構成、国家の通貨発行権に代表される金融制度のこれまでの法的仕組みに対して電子経済はどのような変革を求めているか。また、理論的にどのように説明するか。各国はどのように進めているかなどは非常に参考になる。
須藤助教授のホームページ

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