ロードスター35周年記念車、その2

 35周年記念車での特別な仕様は以下の通り。



 内装はタン/黒。「35周年記念バッジ付きの専用フロアマット」は、この車ではその存在が確認できなかった。フロアマットの色がタンとのことなので、汚れに気を使いそうだ。



 最もわかりやすい特別仕様は「35周年記念ロゴが刻印されたヘッドレスト」だ。



 この35周年記念ロゴをよく見て欲しい。その上で、背景の壁に描かれたロゴを見ると・・・何か違う。壁に描かれているロゴはロードスターの側面がモチーフとなっているが、ヘッドレストのロゴは、「35」という数字の下にアンダーバーがあるだけ。この残念な統一感のなさな、なんでしょうか!? 多分、壁のロゴをエンボスで、即ち純正のシート表皮に35周年ロゴをプレスして表現しようとすると細かい部分が再現できなかったのだろう。もちろん新たな金型でシート表皮を作れば35周年ロゴは完璧に再現できるはずだが、新たな金型を作るカネがなかったのだろう。



 また車体に貼り付けるようなバッジなりステッカーの設定は、今回無かったようだ。下の写真はロードスター20周年記念車に付けられていたバッジで、部品の単品設定があった。そのためAZ−1に貼り付けて、AZ−120周年を勝手に盛り上げていたのだが、AZ−1の35周年にはその手が使えなくなった。




 35周年記念車の後方には、サインの寄せ書きを行ったロードスターも展示されていた。



 1999年に三次のテストコースで行われたロードスター10周年ミーティングの際にサインしたのがこれ。



 このサインが意味するところは、「会誌・会報といった紙媒体ベースの会員限定有料自動車クラブ」という枠から、「AZ−1に関する情報を無期限かつ容量無制限に蓄積し、誰でも無料で参照できるネットへ移行する」という宣言でもあった。


 あれから25年。「趣味の車」という観点のみで見たときのロードスターとAZ−1の差は、もはや明確である。AZ−1の圧倒的な残存率の高さ、高額な中古車価格が代表的な指標である。ただ、これだけの数字をもってしても、マツダ内でAZ−1のプレゼンスは上がらない。理由は新型車・特別仕様車の販売によってマツダの儲けに繋がるロードスターと、絶版車であるため儲けに繋がらないAZ−1との違いが大きい。
 しかし、高額な中古車の存在は、名のあるヒストリックカーの基本要素である。ブランドを築く上では、「儲け」という日銭を稼ぐ車以上に、「買った時よりも売るときの方の値段か高い」という車が重要である。事実、車以外の名のあるブランドにこのようなものは共通して存在する。だからこそ、AZ−1はマツダブランドの頂点に立つにふさわしい車の1つであり、頂点にたった場合、オーナーである我々は実に誇らしい。
 あとはこのことをマツダにどう気がつかせるか、いやがるマツダをどう振り返らせるのかがポイントであり一種の飛躍といってもいいだろう。必要な数字は既に出ている。あとは我々AZ−1オーナーの行動が問われることになろう。「他車の事例でよく見られる、無邪気なだけの熱い思い」ではなく、今にも増しての「昨日よりも進歩するための行動」、「目的・目標・実現シナリオがベースにあるAZ−1への熱い思い」が、飛躍のため一層重要になってくるのではないか。このような品行方正(笑)な優良オーナーを見逃すはずがないためだ。



【参考情報】2024年の株主総会記事 赤枠が市川提案とマツダ側の回答