【米国時代のフリッツ・ラング】

『ムーンフリート』
MOONFLEET


18世紀の英国を舞台にした、孤児の少年と盗賊の首領との友情と冒険の物語。孤児、盗賊、墓場などの題材はディケンズの小説を思わせ、ラングの作風とはいささか異質だが、テクニカラーとシネマスコープで撮影されたカラフルなコスチュームや舞台セットは大変美しい。

18世紀半ばの英国。海岸地方の村ムーンフリートにある古びれた屋敷に、ジョン・モフーン少年(ジョン・ホワイトリー)がやってくる。ジョンはかつて地方を支配したモフーン家の末裔だが、今では一族はおちぶれていた。彼は死んだ母親の昔の恋人ジェレミー・フォックス(スチュワート・グレンジャー)を頼ってやって来たのだ。フォックスは大勢の犯罪者風の部下に囲まれた、怪しいが優雅な雰囲気の男だった。彼はジョンを相手にせず、寄宿舎に入れて追い払おうとする。馬車から逃げたジョンは再び屋敷に戻る。屋敷ではフォックスの情婦ミントン夫人(ヴィヴェカ・リンドフォース)、アシュウッド卿(ジョージ・サンダース)、アシュウッド夫人(ジョアン・グリーンウッド)らとの宴会の最中だった。アシュウッド卿はフォックスに密輸の協力をさせようとする。ある夜、教会の外の地下墓地に落ちたジョンは、フォックスが密輸を扱う一団の首領で、密輸品を地下墓地に隠していることを知る。ジョンは一味に捕まるが、フォックスはジョンの命を助ける。ミントン夫人が治安当局に密告したために、到着したフォックスの密輸船で銃撃戦が繰り広げられる。からくもフォックスは追跡の手を逃げる。モフーン家の先祖が宝を隠した場所を知ったジョンとフォックスは、城の井戸に隠されたダイヤモンドを盗み出す。海岸の隠れ家で、ジョンはダイヤを元手に新世界での新しい生活を夢見る。フォックスはジョンを裏切り、彼が寝ている間にアシュウッド卿夫妻とともに馬車で逃亡しようとする。無事に検問を通過した後、フォックスは心変わりし、引き返してダイヤをジョンに返そうとする。だがフォックスは馬車から出たところを、背後からアシュウッド卿に刺される。フォックスはアシュウッド卿を撃ち、暴走した馬車は夫人もろとも横転して、悪漢は最後を遂げる。フォックスは最後の力を振り絞ってジョンの小屋へ戻り、ダイヤを返してすべてを告げると、傷ついたまま小船に乗って、海の彼方へと去っていく。

55米/監督フリッツ・ラング/脚本ジャン・ラスティグ、マーガレット・フィッツ/音楽ミクロス・ローザ、ヴィンセント・ゴメス/撮影ロバート・プランク/出演スチュワート・グレンジャー、ジョージ・サンダース、ジョアン・グリーンウッド、ヴィヴェカ・リンドフォース、ジョン・ホワイトリー/89分/カラー


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2002年8月6日作成