海外書籍 『映画監督』全2巻

 書名:The Directors - Take One & Take Two
 著者:Robert J. Emery

 ISBN :1-58115-218-3(Take One), 1-58115-219-1(Take Two)
 出版社:Allworth Press
 価格:U$各U$19.95
 出版年:2002


<内容>
 現在、第一線で活躍中のアメリカのトップ映画監督のインタビューを多数収録した本。全米映画協会(American Film Institute)の協力でアンコール・ムービ−・チャンネルという放送局が製作した「映画監督(The Directors)」というテレビ番組が元になっている。これは毎回1名の映画監督を取り上げ、そのインタビューと監督作品の紹介とで構成する1時間の番組である。製作に当たって監督のインタビューが数時間収録されていたが、番組に使われるインタビューはわずか25分だけだった。そこで、ファンや学生、研究者などのためにインタビュー全体を採録して出版したのが本書である。第1巻が出版された時点で52回分が放送されており、あと26回分が製作されることになっているという。テレビ番組の製作にも携わったロバート・J・エメリーが本書の編集も行っている。エメリーは69年から75年にかけて7本の劇場用長編映画の脚本やプロデュース、監督を手がけ、その後ドキュメンタリーに転向した経歴の持ち主である。この「映画監督」は本人も非常に気に入っているプロジェクトだという。現在はメディア・エンタテーメント社の社長兼CEOとなっている。

 本書は各監督ごとに独立した1章となっている。各章の構成は、まず監督の概要が1ページほどで書かれ、それからすぐインタビューが始まる。監督の言葉で生い立ちや映画界に入る経緯などが語られ、それから各作品ごとに製作の舞台裏が詳細に語られる。長いものでは一つの作品を数ページにわたって語っているものもあり、監督1人当たり全部で20〜30ページの長さである。全作品を語りきれない監督も多いが、基本的には1作1作ていねいに語っている。章末にはフィルモグラフィや受賞一覧がついている。インタビューしてから時間がたっている監督は、インタビューの行われた時期について脚注で説明されている。

 掲載されている監督は次の通りである。

<第1巻>
ロバート・ワイズ
ロン・ハワード
シドニー・ポラック
ジェームズ・キャメロン
スパイク・リー
リチャード・ドナー
ノーマン・ジュイソン
ジョン・カーペンター
ジョン・フランケンハイマンー
ローレンス・キャスダン
マーク・ライデル
デヴィッド&ジェリー・ズッカー、ジム・エイブラハムズ
シドニー・ルメット

<第2巻>
ロブ・ライナー
ジョエル・シューマッカー
ロバート・ゼメキス
アラン・J・パクラ
ジョン・G・アビルドセン
ゲーリー・マーシャル
ジョン・マクティアナン
マーサ・クーリッジ
ハーバート・ロス
ウィリアム・フリードキン
アーサー・ヒラー
テリー・ギリアム
ジョン・バダム

 映画監督のインタビュー本は多数あるが、本書が傑出しているのは、1)アメリカ映画の現役の大物監督が多数登場すること、2)監督が自らのキャリアを語りながら自作を一つ一つ時間をかけて語っていること、3)全米映画協会のバックアップがあるために監督もインタビューに協力的で出来るだけ多くのことを語ろうとしていること、などがあげられる。

 2002年現在で全2巻が出版されているが、番組の方は全52回放映済とのことなので、あと2巻の出版にも期待したい。Recommended!


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2002年8月28日作成