自分しか知らない虚像

                                           Written by 中原 憬
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          先日、高画質のデジタルカメラを買いました。わ〜いと思って早速箱から出して
         パチリパチリと写真をとってみました。髪の毛1本が写るかどうか自分の顔もアッ
         プでとってみました。そして、パソコンにつないで実物大ほどに自分の顔を表示し
         たところ、そこに表示されているのは私の顔じゃない私でした。期待どおりの高画
         質な画像で、確かにそれは私の顔なのですが、何かしら説明のできない違和感を感
         じるのです。それは私の知っている私の顔ではありませんでした。私は驚き、うろ
         たえました。

          その理由を考えました。そして気付きました。このディスプレイに表示されてい
         る見慣れない顔こそが本当の私の顔だと。その逆に日頃、自分で自分の顔だと思っ
         ているものは本物ではないことを。
          私はメニューからあるコマンドを実行しました。「左右反転」−−−−ディスプ
         レイには、自分の知っているなじみの顔が表示されました。

          自分が今まで生きてきて自分の顔だと思ってきたものは、実物の左右がひっくり
         返ったものであって、それは自分しか知らない虚像だったのです。あらためてその
         事実に気付かされました。

          ところで、昔から疑問に思っていることがあるのですが、どうして鏡は左右が逆
         に写るのに、上下は逆に写らないのでしょうか?−−−−どなたか私に分かりやす
         く教えてくださいませんか。



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