Gamewalker Monthly review on 32bit videogames '95 月刊ゲームウォーカー(角川書店)連載
「いまどきの次世代ソフト」1995年分



【レビュータイトル一覧】
登場順インデックスはつくったものの、めんどくさいのでリンク張ってません。ブラウザの検索機能とか使って適当に見て下さい。よろしく。

「闘神伝」
「対戦パズルだま」
「KILEAK, The blood」
「モータートゥーン・グランプリ」
「モンタナ・ジョーンズ」
「真説・夢見館の物語」
「パンツァードラグーン」
「雷電プロジェクト」
「アイドル雀士スーチーパイ」
「Dの食卓」
「スターブレードα」
「ダイダロス」
「ジャンピング・フラッシュ」
「ガンナーズ・ヘブン」
「バーチャルハイドライド」
「アーク・ザ・ラッド」
「デジタル・ピンボール ラスト・グラディエーター」
「アクアノートの休日」
「マリオズテニス」
「ギャラクティックピンボール」
「テレロボクサー」
「レッドアラーム」
「ヴァーチャル・ゴルフ」
「フィロソマ」
「レイヤーセクション」
「おーちゃんのお絵かきロジック」
「ときめきメモリアル forever with you」
「井出洋介の麻雀家族」
「戦国サイバー 藤丸地獄変」
「ビヨンド・ザ・ビヨンド」
「バーチャコップ」
「バーチャファイター2」
「リッジレーサー・レボリューション」
「未来少年コナン デジタルライブラリー」



【いまどきの次世代ソフト #1】

 TNG{ザ・ネクスト・ジェネレーション}機担当者に指名され、嫉妬と羨望の矢に刺されまくりの大森です。しかしCD回す機械がこんなにいっぱいあってもなあ、部屋はかたづかないし、ソフト数が多くて時間と金が大量に消費されるばかり、はっきりいって大幅赤字会計だぞ(てなわけで、心ある広報担当者のみなさんはどしどし新作をお送りください。製品版でノープロブレムっす)。
 いやそれにしても、年明け早々、「闘神伝」★★★★にはたまげたね。晴海のエレクトロニクスショーで遊んだゲームとはまるで別物、まちがえてFXのゲーム買ったんじゃないかと一瞬本気で心配したくらい。派手めのVFだと思ってたのに、これじゃまるでポリゴン版「プリティファイター」――って形容はあんまりにしても(笑)、ワンフェス、夏コミあたりで大量コスプレ者出現を狙ってるとしか思えない。それ系の人なら、カメラは当然セルフコントロール、ポーズ中に○□△×SELECT同時押しでズーム・モードに切り替えてエリスのパンツをじっくり観賞するでしょ、ふつう。CTスキャナ胴切り写真(笑)はちょっとアレだけど、この状態で2コンのL2ボタン押すと空中ファイトが楽しめるぞ。
 ってことで、おなじポリゴン格闘ゲーとはいってもVFとは土俵がちがうっす。ま、いくら邪道でも必殺技ボタン/オート防御モードののサポートは、非格闘系プレーヤーには福音かもしれないけどさ。と文句をいいつつ毎晩闘う自分が悲しい。
 しかし悲しいといえば「対戦パズルだま」★★★でサルになるほうがもっと悲しい。「ぷよぷよ」型のシンプルな落ち物ながら、おたく心をくすぐるこの声優起用は鋭い。「あ、この声、椎名へきるぢゃん」とか喜んでる人は人生を考え直すべき岐路に立ってると思いますが、まあ国府田まり子までは許そう、うん。あ、でもべつに濃い人じゃないと楽しめないゲームってわけじゃなくて、対戦プレイはけっこう燃えます。対コンピュータだって、最適戦略を編み出さないうちになんとかクリアできちゃったりするし、このへんのとっつきのよさがポイントかな。
 最後の一本は、横山宏メカデザインの「KILEAK, The blood」★★★☆。「DOOM」とか「鉄人」タイプの3Dダンジョン型リアルタイム・シューティングなんですが、舞台設定は「ガンヘッド」風でディテール凝りまくり。初回特典のミッションキット(マップ、ポラ写真、フィールドマニュアル)もナイス。ただしシールド全回復がないのはつらすぎで、現在B7に釘づけ。後半は意外と楽らしいんんだけどなあ、くそ。
 しかしこう3本並べてみると、PSは意外と各種おたく度が高い(ゲームなめてる気はちょっとする)。この節操なきPS全方位外交にSSはどう対抗するか、春の激突に注目。



【いまどきの次世代ソフト #2】
「かまいたちの夜」の舞台、ペンション・クヌルプに行ってきた。ゲーム発売直後から、クヌルプはかまいたちフリークたちの聖地と化し、スキー文化とゲーム文化の衝突で様々な珍事が起きてるそうだけど(オーナーいわく、「#かまいたち系のお客様#はまず最初にばちばち写真を撮るのですぐわかりますね」)、それはまたべつの話。今回のツアーの主目的は八方尾根のゲレンデを滑り倒すことだが、勤勉なゲームライター大森はスキーの夜にも仕事を忘れない。この原稿のネタにすべく、PS、SS、3DOを宅急便で送りつけたのである(ちなみにスーファミと「かまいたち」はレンタルあり)。
 同行のミステリ作家陣では、かまいたち原作者の我孫子武丸氏はもちろん、二階堂齢人氏もゲームにはうるさいし、笠井潔氏だってGB版テトリス50万点を誇る落ちもの名人(いまだに毎日寝る前に3ゲームこなしてるのがすごいよね)。てなわけで、ミステリ談議が白熱するなか、かまいたち杯争奪次世代機大会の火蓋が強引に切って落とされた。
「バーチャ」「リッジ」などのまとも系では我孫子さんにかなうわけないので、まずは秘密兵器「モータートゥーン・グランプリ」★★★☆をセット。気鋭の推理作家・加納朋子さんはじめ、ギャラリーの女性陣は「きゃーかわいいっ」と大ウケ。宴会にはやっぱリッジよりトゥーンでしょ。コンピュータ相手だとけっこうツラいけど、人間相手なら……と思ったのもつかのま、初めての対戦プレイでは勝手が違い、マイカー選択ミスも祟って宿敵・武丸に惨敗。しまった、ネジコン買っとけばよかった(もちろん対戦相手に使わせるんだな)との後悔も先に立たず、気をとりなおして我孫子夫人の千織さん(ちなみにわたしは「かまいたち」を「たけまる」「ちおり」でプレイしました)に挑戦、最後の障害でからくも抜き去り、九死に一勝。
 つづいては趣向を変えて3DOの「モンタナ・ジョーンズ」★★★。
「フューチャーパイレーツってさあ、なんかプラットフォームが3DOでえらく損してない?」
「でもチキチキより読み込み速いよ」
「アニメ絵のAVGと3DCGのアクションのこの落差がなんとも」
 ……と男どもがおたく会話に走る背後で、「わっ、宮崎アニメの名探偵ホームズみたい」とはしゃぐ女性たち。ジュニア・レーベルのソフトだけあって、AVGは異常にやさしく、アクションが異常にむずかしい。ひとりでやると虚しいけど宴会ならけっこう盛り上がるゲームでした。
 これだけ推理作家がいるんだからととりだしたのは、「京都鞍馬寺殺人事件」……じゃなくて「真説・夢見館の物語」★★。メガCD版の前作はうちに綾辻行人・宮部みゆきのご両所が遊びにきたときやってもらったんだけど全然謎が解けなかったといういわくつき(笑)。真説のほうは、たしかにグラフィックは進歩してるものの、やたら人間(の頭部)が出てきてしゃべるのが不評。これなら「マカロニほうれん荘インタラクティブ」の関西弁のほうがいい!の声は、たんに先に進めない言い訳か(笑)。ともあれこうして白馬の夜は更けていくのでした。


【いまどきの次世代ソフト #3】

「鉄拳」「デイトナUSA」など、第二次大物タイトルラッシュでますます盛り上がる次世代機業界。スーファミの大物クロトリが安売り屋でけっこうだぶついてたりするのもやっぱりその影響なんすかね。とはいえ、次世代機ソフトはいまんとこまだまだテクノロジー・デモンストレーター的な性格のものが多く、ゲーム的にはまだ練れてないっつうか、たとえば「第四次スーパーロボット大戦」的な深さ(笑)を感じさせるものはほとんどない。これまでゲームに縁のなかった人たちを吸引するパワーはあっても、海千山千のゲームおたくを本格的にひっぱりこめるかはまだまだこれからでしょ。
 そういう意味で注目されるのが、次世代機オリジナルの「パンツァードラグーン」★★★★。ポリシューって、見た目は派手だけどゲームとしてはねえ――ってパターンが多いもんね。やたらデモが長かったりするのも妙に悪い予感を誘ったり(笑)
 デモといえば、たまたまこのソフトの発売日に藤原カムイせんせの仕事場スタジオ2Bにお邪魔してたんですが、部屋の中央にはなぜかボディソニック・チェアがどん。その前には100インチのプロジェクションTVとSEGAサターン。中には当然のごとく「パンツァー」がセットされてて、ついふらふらとその椅子にすわってデモを見始めたわたしは一時間立ち上がれなかったという甘美な思い出がある(笑)
 来客に見せたくなるゲームっていう意味では典型的な次世代機ソフトなんですが、結論からいって、「パンドラ」(「パンツ」という略称はちょっといや)シューティングとしての出来も上々。ユニークな操作系に最初はちょっととまどうけど、ロックしたレーザー八発を同時発射する快感は、射精の快感をわりと忠実に再現……ってもちろん最近は八発どころか三発も無理で、まったく歳はとりたくないよなってなんの話だっけ、あ、そうそう、イージーモードでエンディングまで行けないのはズルいし、その場コンティニューがないのはともかく、面の最初までもどされちゃうのもつらいっす。もっとも面セレとか無敵モードとかの裏技もあるらしいから、あきらめて売り飛ばすのはまだ速いかも。
 一方、伝統の2Dシューティングだって健在。PS版「極上パロディウスだ!」みたいに面の途中でいきなりCD-ROMにアクセスされると(SS版ではフィックスされる――ってあたりまえか)、これなら絵が少々しょぼくてもカートリッジのほうがましだぜと思う辛抱のたりない大森も、「雷電プロジェクト」★★★★▲は堪能。アーケードのときは途中で投げちゃった「雷電」と「雷電2」のカップリングで完全移植、テレビを横に倒してプレイするモードまであるのには大笑い。さすがにでかいテレビを倒すのは気が引けたのでサブの14型で試してみましたが、これはナイスな機能でしたね。超イージーモードをサポート、「雷電2」にいたってはその場&無限コンティニューなので、生まれてこのかた一度もシューティングをクリアしたことのない人でもだいじょうぶだ。
 と、シューティング2本で疲れた反射神経を休めるべく、最後は「アイドル雀士スーチーパイ」★★★。こんなソフトが全機種で発売されてるのも謎ですが(笑)、ゲーセンのカタキをひと晩で討てる難易度設定がうれしい。園田健一ファンはもちろん、脱衣麻雀おたく系の人は必携でしょう。



【いまどきの次世代ソフト #4】

「クロトリ」にも「第四次」にも目をくれずひたすら皿をまわしてる次世代機一筋の大森でえす。皿といえば音楽関係のお皿では最近スチャダラの昔のCDひっぱりだして聞いてんだけど、やっぱ「ゲームボーイズ」は名曲だね(いまなら全国のJOYSOUND系ボックスで洩れなく歌えます)。
 そりゃね、「コピーとは言わんがオリジナリティないならそんなもん出さんでいい」なんてスチャダラのリベロBOSEに意見された日にゃ、一年に五本くらいしか新作が出ないぜって現状はあるんですが、まあこれはメディアとしての成熟の証。独創性爆発で突っ走れるのは若いジャンルだけの特権だから、ゲーム業界の主流がぼちぼち重箱の隅いじり方向に流れるのも無理ないし、それはそれで意外と楽しいんじゃないすかね。
 ってことで今回はオリジナリティなき次世代ゲーム業界における二番煎じソフト――じゃなかった定番ソフトを3本。つってもワープが一年がかりで開発した3DOの期待作、「Dの食卓」★★をあっさりフォロワーに分類するのはあんまりか。なにしろいまどきセーブ不可ってだけでもオリジナリティ大あり――ってそうじゃなくて、毎秒500万ポリゴンの華麗なグラフィックとか、サイコサスペンス型シナリオ(なにしろ殺人鬼おやじの名前がレクター・ハリスですもん)とか、ただの館物ポリゲーにはしないぞって気合いがびしばし。
 しかしですね、またしても中世のお屋敷っぽい舞台になっちゃうのはどういうわけ? メガCDの「夢見館」を最初に見たときの驚きもあっという間にすりきれたいま、いくらローラの表情が豊かでも、ふうん凝ってるねでおしまい。設計的には第七サティアンのほうがはるかにオリジナリティ豊かでしょ。
 積極的評価ポイントとしては、2時間の時間制限の導入で、文字どおりリアルタイムのインタクティヴ・ムーヴィー感覚を実現したこと。ただし謎解きがいかにもAVGなノリで、サイコなシナリオとうまく噛み合ってないのが難。ま、どうでもいい謎を増やして難度を上げた、やたら時間がかかるゲームにくらべるとはるかに好感が持てますが、「インタラクティヴ」の部分をどう解決するかがこの流派の最大の問題だな。
 一方、昔は一番搾りだったポリゴンシューティングの古典、「スターブレード」がテクスチャーマッピングの化粧直しで甦ったのが「スターブレードα」★。オリジナル版同梱だから、驚くべきテクノロジーの進歩がひと目でわかる仕組み。しかし「パンツァードラグーン」でさんざん遊んだあとにこんなの出されてもなあ。もともとシューティングとしての完成度はいまいち(←個人的感想)のゲームだったんで、いくらハイテク整形手術で帰ってきても、とことんやりこむ気にはなんないす。
 で、最後の一本はこれぞ二番煎じの鑑というか、出し殻は承知の上って開き直りのDOOMタイプ3Dアクションシューティング「ダイダロス」★★。「キリーク」のマップからいきなりワープしてもうっかりさんはしばらく気づかないんじゃないかっていう激似ぶりですが、操作系はいたってシンプルで難易度設定もかなり低め。取説も読まずに立ち上げたのに地下9階あたりまですいすい行けちゃう、おやじも喜ぶ親切設計。潜るたびにマップが変わる「トルネコ」ふうの仕様とか武器のレベルアップとか、志の低さがプラスに作用してるかも。ああしかし今回はおれもBOSE並みに文句が多いね。やや反省(うそ)。
●近況
 1961年生まれ。SF翻訳の傍ら、「本の雑誌」「小説すばる」「NetWorks」「CapeX」「ペントハウス」など12誌にコラム連載中。オンライン版ゲームレビューも読める大森ホームページはhttp://www.st.rim.or.jp:80/~ohmori/で公開中。ご意見ご感想はohmori@st.rim.or.jpまでどうぞ。



【いまどきの次世代ソフト #5】

 キリン(って西葛西メトロセンターのおもちゃ屋ね)でぼんやり新作ソフトの棚を見てたら、小学校三年生くらいの男の子が息せき切ってカウンターに走ってきて、
「シムシティ2000くださいっ」
 片手に握りしめた千円札と硬貨の山をカウンターに並べて、「細かくてすみません」とか弾む声でいいながらいっしょうけんめい数えてんの。これが小学校6年生くらいの女の子だったら、
「おじさんのうちには新しいゲームがいっぱいあるよ」
 とか声かけて清らかな交際を……ってそういう話じゃなくて、ゲームに初心ってもんがあるとすればたぶんこういうワクワクドキドキなんだろうなあと思いつつ(そのわりにソフトの選択がまちがっている気もする)、いまさら引き返しようがないところまで来ちゃってるわけですが、この種の興奮を久々に甦らせてくれたのが、元祖飛びゲーこと「ジャンピング・フラッシュ」★★★★▲。
 3Dポリゴンっていうからには縦と横と高さがあるわけで、2Dグラフィックじゃ不可能な垂直移動の快感を大々的にフィーチャーするこの発想はコロンブスの卵。横スクロールでひたすらジャンプするアクションなら無数に前例があるけど、それが一人称視点になったとたん、まったく別種のゲーム体験に変貌する。
 要するに手塚治虫の「ジャンピング」(って実験アニメが昔あった)のゲーム版ね(ハイパーPS誌のインタビューによると、製作サイドも最初からそれを意識してたらしい)。ただし視点は真横に固定されているわけではなく、二段三段ジャンプで思いきり空に跳ねると下を見下ろす角度になるんだけど、まあこれは人間の本能でしょ。でもって下を見たとたん、はるか下のほうに地面だの建物だのが見えて思わず足がすくむっていうか、高所恐怖症の人は真剣にこわいかもしんないってくらいの臨場感。
 ワールド間の幕合いにはさまるアニメーションも秀逸だし、ジャンプの楽しさはやっぱり旧世代機じゃ真似できない。次世代機オリジナルのゲームとしてははじめてスペックの正しい利用法を開発した画期的なタイトルってことで、全面的に支持するぞ。しかし地べた這いずりステージはなくてもよかったな。
 一方、「ガンナーズ・ヘブン」★★はただの横スクロール2Dアクション。でも値段はただじゃないくてがっかり。ま、ハードが新しいから新しいことしなきゃいけないってわけじゃないし、一台でいろいろ遊べるほうがいいに決まってるんですけど、わりとどうでもいいっす。パターン覚えんの苦手だし、なんかむずかしいし。だったらやるなよ。
 それに対して、古い酒を新しい革袋にパターンの代表格が、サターンの「バーチャルハイドライド」★★★。「とりあえずポリゴンにしてみたらこんなんできました」ノリっす。ダンジョンだけじゃなくてフィールドマップもきっちりバーチャル。そんでもってアイテム重量制とかは「3」からまんま引き継がれてて、ハイドライドおたく系の人は満足のつくり。ゲーム性が独特でRPGな感じじゃないので、2Dハイドラをまともにクリアしたことのない大森にはわりと謎ですが、まあいいんじゃないすか。



【いまどきの次世代ソフト #6】

 次世代マシン担当を拝命して以来、あーたまにはなんかこうふつうのRPGがやりたいぜ的気分が幾何級数的に高まってきてたんで、「アーク・ザ・ラッド」★★にはけっこう期待していたわけである。そりゃま「キングズ・フィールド」だって「バーチャル・ハイドライド」だってRPGにはちがいないけど、わたしが懐かしんでいるのはふつうのRPG、つまりアクション要素のないドラクエタイプのやつなのである。
 画面写真とか宣伝とか見るかぎり「アーク」はいかにもよくあるコマンド入力型RPGで、よしよしこれだよと思って手ぐすね引いていたんだけど、蓋をあけて皿をまわしてみてびっくり。これってシミュレーションRPGだったのね。「シャイニングフォース」タイプってやつですか。
 基本的にストーリー部分は強制イベントの嵐なので、プレイヤーはひたすら戦闘するだけ。その戦闘はターン制で移動&攻撃のオーソドックスな戦略タイプ。異常にかんたんでさくさく進めるのはまあよしとしよう。しかしこれって飽きないか? そりゃアイテムの数はやたら多いうえにたくさん持てるし魔法の種類も豊富、キャラを育てる楽しみもある。しかしセーブ不能の地下50階ダンジョンをえんえん降りてまた上がってくる数時間を支えるのはひたすら惰性以外の何物でもない。
 戦闘シナリオこなすとお話が進むってゲーム性は、RPGっていうより「スーパーロボット大戦」に近い。ところがSB大戦にくらべると戦闘はぜんぜんつまんないし(ほとんど頭を使う余地がない――というか使わなくても勝てるゲームバランス)、シナリオは過去のファンタシーRPG百本を集めて百二十で割ったようなもの。おまけに話が終わってない(爆笑)。
 始末に負えないのは、これがいわゆるクソゲータイプじゃないとこね。グラフィックと音楽は次世代機ソフトの意地って感じの高水準を実現してるし、戦闘システムもけっこう考えられている。つまり途中でぶん投げるきっかけを失ってサル状態に陥り、おれなんでこんなゲームで徹夜してるんだろうああ眠い今日も会社かタバコがまずいてなことになりがちなとこへもってきて最後がアレでしょ。ファミ通の期待の新作で4位まで駆け上がったソフトがこんなことじゃいかんすよ。一言でいうとヌルゲーね。
 口直しにケースからとりだしてセットしたのが期待の「デジタル・ピンボール ラスト・グラディエーター」★★★★。でも動かない。ってだからこれはサターンなんだってば。というような経験をした人はけっこういるんじゃないすかね、関係ないけど。うちではわりと日常茶飯事で(っておれだけか)いくらスタートボタン押しても動かないと思ったらサターンのコントローラ握って3DOのゲームやってたとか、けっこう悲しいぞ。
 というゲーム廃人のごたくはさておき、アメリカン……じゃなかった「ラスト・グラディエーター」はいいっす。ピンボールとなんの関係もない実写ばりばりの大馬鹿オープニングがナイス(メイキングまでついてて大笑いだ)。
 そのむかしモトリークルーの曲を使いまくった「クルーボール」っていうげろムズのピンボールゲームがあったけど、なぜかピンボールにはヘビメタがよく似合う。このゲームも重金属ばりばりなムードで、音楽もわりと有名な人たちがやってる(らしい。けどよく知らない)。でもって当然やたら派手で、ゲーム中でも画面にがんがん絵入りのメッセージウィンドウが開く。
 ところがそれに対してピンボールマシンそのものは非常にオーソドックスというか、シンプルでしっかりしたつくりなのね。まあピンボールではSFC時代から定評のあるカゼのゲームだけに当然なんすけど、ボールの移動とかフリッパーの動きとかも激リアル。やたらインフレなカウントもいまどきのピンボールっぽい。ただボールがひっかかって落ちてこないケースがけっこうあるのと、ややギミックに乏しいとこがマイナス点。四台しか用意されてないのもちょっとケチかな(笑)


【いまどきの次世代ソフト #7】

 ほとんど昼間の仕事場と化している西葛西の喫茶店ミストラル(ここのランチが大森の主食)にある日とつぜん巨大な水槽が導入され、流行ってるだけあってやっぱり熱帯魚はいいよなあとぼんやり眺めながら、うちのMacに「エルフィッシュ」でも入れるかと考えてたんだけど、なにしろあたしゃ南国土佐の黒潮育ちですからね、どうも水槽の魚には満足できない。やっぱり海でしょ海。
 ってことですばやく反省しとりだしたのがPSの「アクアノートの休日」★★★★1/2。発売直後はどうせ「アクアゾーン」のでかいやつでしょ、ふん、てな先入観があったんだけど、水槽から大海原にとびだすと、当然ながらまったく世界観が変わってくる。ひたすらだだっ広い海を潜水艦で泳ぎまわる快感は「エコー・ザ・ドルフィン」以上。
 ただ茫然と海ん中を漫遊してソナー打っては海洋生物と戯れ、飽きたら視点を漁礁に固定してBGVにするとか、それだけでもお値段分以上の値打ちはありますが、ハマり系ゲームとしてのポイントもきっちり抑えてるのがすばらしい。ひたすら広い海を探索し、そこで出会った生物とコミュニケートに成功すると、自分で建築した漁礁にやってきてくれる――つまり自前の自然水族館がつくれちゃうわけですね。ドラクエVでモンスター仲間集めに奔走した暗い過去(笑)を持つ人ならどハマり確実。まあそのコミュニケート方法が、力でねじ伏せるとか論理で説得するとかじゃなくて、妙にポリティカリーコレクトくさいとこがアレですが、魚ってそんなもんだよね。
 次世代機の性能とCD-ROMの容量のおそらくもっとも正しい使い方だって気がするけど、このパターンだといくらでもシリーズ化できそうで、ひょっとしたら新しいジャンルができちゃうかも。初心者もベテランも関係なく遊べるし、PS持ってる人はマストバイでしょ。
 こういうソフトとくらべるといかにも分が悪い「リグロード・サーガ」は3DシミュレーションRPGの大作。どういうゲームかというと、しゃべらない「アーク・ザ・ラッド」ね(笑) 「アーク」をぼろくそにけなした手前、「リグロード」も積極的に評価できないはずなのだが、とにかく立体バトルを見せることと戦闘を楽しませることに徹した割り切り方にはけっこう好感が持てる。なにしろクイーズランド女王国だもんなあ。ネーミングとかストーリーに関するこのなげやりさがナイス。
 タクティカルシミュレーションとしては、それなりに考えないと勝てないゲームバランスだし、「アーク」に比べると考慮すべきパラメーターが多くて複雑といえば複雑だから、SRGはじめてだとちょっとつらいかもしれないけど、そのへんは派手なアニメーションでカバー。画面が派手すぎて戦闘場面がわかりにくかったりするところもありますが、マス目にグリッド引くアイデアは悪くない。RPGらしさの演出にもそれなりに成功していて、立体SRPGとしては及第点かな。それにしても「アーク」といい「リグロード」といい、次世代機RPGが妙にスクエアっぽいのはなぜ(笑) 
 最後の一本はひと足はやくMac版が出た3DOの「デイドラス」。ハリウッドSFX大作とまではいかないにしろ、そこらのTVムービーにはじゅうぶん勝てるだけの映画的クォリティを備えたインタラクティブ・ムービーで、とりあえず一見の価値あり。
インターフェイス画面は「クリティカル・パス」ふうだけど、ゲーム
性はむしろThe 7th Guestに近い。パズルを解いてシナリオを進めるパターンね。この種のソフトだと映像に凝れば凝るほどゲームから遠ざかっていくことが多いけど(「Dの食卓」とか)、「デイドラス」はそのへんのバランスがわりとよくて、異星人の宇宙船内を歩き回る(というか、主人公はプローブを操作する人なので、ふわふわとびまわるって感じ)気分をけっこうきちんと味わわせてくれる。あとはありがちB級SF映画ふうじゃなくて、もうちょっとゲームらしいシナリオをつくってくれればいうことないんだけど。


【いまどきの次世代ソフト #8】

 次世代マシンじゃなくて前世代マシンって声もあるVBですが、一応32ビット機だよねってことで、発売直後に1割引購入。ところがお盆過ぎには「お好きなソフト3本」つき税込み9800円(!)で販売してる店もあったという大暴落。『バーチャルボーイ通信』巻頭記事の「行列はできるのか!?」なんて見出しをいま見ると涙☆キラリだけど、でもわたし好きですバーチャルボーイ。
 でかい重いごついと三拍子そろったデザインは、思わずフルフェースのヘルメット改造してヘッドマウント用アタッチメントを自作したくなりますが、あれこれ試してみた結果、face-mounted displayとして用いるのがもっとも楽ちんであるという事実を発見。要するにソファとかに仰向けに寝っころがって、脚をはずしたVBを顔にのっけるんですな。これだと固定器具不要だし、鼻の頭がだんだん痛くなってくるのさえ我慢すればじつに快適にプレイできる。
 発売前の宣伝チラシによれば、「真っ暗な空間に浮かび上がる赤色の世界、そしてそのゲームフィールドは、全く新しい不思議な世界を作り上げました」という映像(笑)は、あえてLED使っただけあってクリアそのもの、長時間プレイでもそんなに目は疲れない。
 ソフトのほうは家庭用ゲームの基本に立ち返ったラインナップで、任天堂の本体同時発売自社開発トリオ、「マリオズテニス」☆☆☆「ギャラクティックピンボール」☆☆☆「テレロボクサー」☆☆▲あたりのシンプルな味わいは貴重。この3本ついて9800円はお得ですよ、奥さん。
 サードパーティの中ではけっこうマジなのがT&Eソフト。3Dシューティングの「レッドアラーム」☆☆☆☆はワイアフレームでまともに立体と勝負する心意気がナイス。アングルは4種類切り替えられて、リプレイモードつき。アイテムがやや見づらいってのはあるにしても、シューティングとしての完成度は高い。
 お家芸のゴルフゲームでもT&Eはがんばってて、「ヴァーチャル・ゴルフ」☆☆☆☆の完成度の高さには感心。ドライバーやパットにくらべてアプローチがむずかしい(っておれが下手なだけか)とか、コースが18ホール分しかないとか、いくつか不満はあるものの、プレイしてて気持ちいいゲームっす。
 てなわけで、だれがなんというと大森は自信を持ってVBを推薦します。しかしこれって忘年会ビンゴの賞品で大活躍しそうだよね。

 したがってここしばらくすっかりVB猿状態だったんだけど、じつは今月いちばん感動したのは、PSの「フィロソマ」☆☆☆☆▲。シューティングとしてはヌルいとか、縦/横/3D/地上と面によってくるくる視点が変わるのは邪道だとか、そういうゲーム性の欠点をすべて吹き飛ばす抜群のグラフィックと驚愕のシナリオ。いやまあ露骨にシド・ミードっぽい絵も多いんですが、あの結末には仰天しました。国産ソフトもここまで来たか。家庭用ゲームのSFモノでは(いままでろくなのがなかったって事情はあるが)オールタイムベストかも。特殊兵器&コンティニュー使いまくりだと2時間で終わってしまうコストパフォーマンスの悪さに目をつぶれば、史上最強の「見るシューティング」。社会人のSF者なら問答無用で買い。


●近況
1961年生まれ。ヒューゴー賞ネビュラ賞に輝くコニー・ウィリスの千七百枚の大長編『ドゥームズデイ・ブック』の翻訳を終えてほっとひと息(早川書房10月末刊)。なお、大森ホームページはhttp://www.ltokyo.com/ohmori/に移動しました。メールはohmori@st.rim.or.jpまで。


【いまどきの次世代ソフト #9】
 なんか風邪だなあと思ってたらいきなりノドが腫れ上がり個体も液体も飲み込めない状態に突入、病院行ったら問答無用で強制入院させられてそのまま一週間の点滴生活を送り、ようやく家に帰ってくるなりこの原稿のためにサターンのコントローラー握って「レイヤーセクション」で打ちまくってたおかげで意識は朦朧としたまま原稿を書きはじめてるんだけどなんかあんまり先に進めなくていらいらってゆうか、シューティングはリハビリには向いてないと思った大森です。ってやっぱりアーケードモード(テレビ画面の縦横を逆にしてフルスクリーンでプレイするモード)で顔を横に向けた無理な体勢で撃ちつづけたのが悪かったような気もする。
 いやそれにしても評判がいいだけあって、この「レイヤーセクション」は完成度が高い。ここんとこすっかりゲーセンから足が遠のいてるおかげでアーケード版(のタイトルは「レイフォース」)のほうはノータッチだったから、このSS版が初体験。特殊兵器なしの縦シューってことで最初はちょっととまどったけど、「ロックオンしてミサイル発射」の「パンツァードラグーン」的な快感と撃ちまくりシューティングの快感がバランスよくミックスされてドーパミンが出る出る出る。高さ(3段階)のあるグラフィックがストーリー進行にともなって絶妙に変化してくのが最大の見所でしょうね。没入感を誘うっていうか。もっとも自機のデザインはいまいちだし、エリア6以降は病人にはつらすぎ。ノーマルモードよりやさしいレベルがなぜない。

 さてもうちょっと病み上がりの体フレンドリーなゲームってことでとりだしたのがPSの「おーちゃんのお絵かきロジック」。知らない人はたぶんいないでしょうが、お絵かきロジック(は世界文化社のネーミングで、会社によってピクロスともイラストロジックともノノグラムともいう)ってのは、ある単純なルールに則って升目を塗りつぶしていくとそこに絵が出てくるっていう最近大流行のパズルゲーム(西尾徹也氏考案)。しかしよく考えたらおれは死んだ祖母の遺言でナンバーくじとお絵かきロジックにだけは手を出すなといわれているので、年間2000時間をこのゲームに費やす西葛西一のお絵かきロジックおたくであるところのうちの妻に話を聞いた。
「んでお絵かきロジックソフトとしての出来はどうすか?」
「ゲームボーイでは『マリオのピクロス』(スーファミだと『マリオのスーパーピクロス』)っていうのが出てるんだけど、『おーちゃんのお絵かきロジック』は設計思想がちがうのね。『マリオ』は時間制限アリで、まちがえてもそれがヒントになるし、ノミで壁画を彫るっていう設定だから、元のパズルをTVゲーム的に消化して、ぜんぜんべつのものにしちゃってるってゆうか。わりとアクションゲームっぽいの。『お絵かきロジック』は、老舗の世界文化社のお墨つきだけあって、元のゲームにすごく忠実。ただ、テレビ画面でやるってことから考えるとちょっとうざったいかもね。でも完成版の絵を見てもなんだかよくわかんない(笑)『マリオ』と違って、パズラー監修の『おーちゃん』のほうは問題の質が高いから、初心者の人はこっちで練習したほうがいいと思う。どっちかっていうとよくできた将棋ゲームみたいなもんで、お絵かきロジック・シミュレーターって感じ。でもやっぱり紙と鉛筆のほうが楽しいけどね」
 ということで、やっぱりカリカリ感までは再現できないんだそうです。深いねどうも。

●近況
1961年生まれ。小説すばるのカラオケ座談会企画で大槻ケンヂと歌わせてもらったのが最近の主な自慢。西原理恵子との麻雀対決は緊急入院のため参戦できずしおしお。日記爆走中の大森ホームページはhttp://www.ltokyo.com/ohmori/。ご意見ご感想はohmori@st.rim.or.jpまで。




【いまどきの次世代ソフト #10】
 とりあえずPS版のファーストプレイでは本命の優美ちゃんに告白されてラッキーって感じの大森でえす。
 ……というようなわたしの恥ずかしい恋愛経験(笑)を詳述する事態は避けたいと思いつつも、とうとう出ちゃった「ときめきメモリアル forever with you」★★★★★ですが、PCE版からハマっている人に贈る言葉はべつにないので(まあそういう人は限定版の詩織ちゃんマウスを右手に握りっぱなしで、こんなページを開いてるヒマはないでしょう)、今回は一般のみなさま向けにこの特異なソフトについて解説してみたい。
 そもそも「ときメモ」のどこがどう特異なのか。ゲームとしては「卒業」の逆パターンで、女の子じゃなくて自分を育てるタイプ。平日は腕立て腹筋おめかし読書お絵かきクラブ活動その他で自分のパラメーターを磨き、日曜祭日は電話でアポとって女の子とデートの三年間を過ごし、卒業時に意中の女の子から告白されるとめでたしめでたし。プレイ自体は単調といえば単調で、気が短い人は最初の半年で飽きちゃうかも。
 じっさいバーチャとかFFとかリッジとかとくらべると、おなじビッグタイトルでも、「ときメモ」はだれでも知ってるゲーム≠カゃないし(ま、最初のプラットフォームがPCエンジンだったという事情もある)、リリース当初も鳴り物入りってわけじゃなかった。にもかかわらずファミ通の人気ランキングではじわじわと上位に進出、NIFTY-Serveの家庭用ゲーム機フォーラム(FCGAMEM)では特設会議室ができたとたんに記録的な発言大爆発(これはいまも健在で、さっき覗きに行ったら、10月12日に開いたPS版「ときメモ」会議室の月末までの発言数は3600、ログデータは2メガバイト近い)。その魅力にとりつかれた男たちをかなりの確率で廃人にしてきた恐ろしいゲームなんである。
 もちろん男の欲望をストレートに発揮できるとか、出てくる女の子がみんなかわいいとか、グラフィックがきれいで声優がいいとか、いろんな理由は考えられるんだけど、やっぱり最大のポイントは、不意打ちのように出現するイベントの数々。体育祭、文化祭、夏合宿、初詣……の年中行事に加えて、デート中、不良に因縁つけられたり、風邪引いちゃった彼女を看病したり。オレはやっぱり片桐さんのカラオケが好きだな(笑)
 隠しコマンド(夜間、自分の机のスタンドのあたりをクリックするとヘルプが出たり)とか特殊イベント(特定条件を満たさないと発生しない)とか、おたく心をくすぐる要素もてんこ盛りで、十回二十回プレイしてデータとりはじめるやつが出るのも無理はない。全キャラから告白されるのは基本だし。あーしかしこんなゲームで不毛だった高校時代をやりなおすのは悲しすぎるぞ>おれ。
 一方、二次元キャラにはときめかないおやぢ系読者には、「井出洋介の麻雀家族」★★★★がおすすめ。計算能力の無駄遣いと言われるポリゴン麻雀ゲームの最新作ですが、画期的なのはプレイ時のリアルなメイン画面。目線の位置が低すぎる気もするけど、通常モードだと河が見えないのがすごい。数あるファミコン麻雀の中でも、「四人で卓を囲んでる」って雰囲気の再現性がいちばん高いのがこのゲームで、ふつうの麻雀ゲームだと棒テン即リー全ツッパリでスジとかほとんど気にしないのに(どうせこんぴたがズルしとるに決まっとる的思考による)、「麻雀家族」の場合はなぜか打ち方が人間とやってるときに接近する。名人が親でリーチでもしようもんならいきなり心搏数が上がって極度の緊張感が漂い、降りるかどうか真剣に考えてたり。配牌からツモの流れも自然だし、人間とやる麻雀の練習にはたぶん最適。ただしポリゴンキャラのしぐさが進行を止めるのがややうっとうしいかも。



【いまどきの次世代ソフト #11】
「Windows95は32ビット、ニンテンドー64はその先を行く64ビット」と鋭く(笑)比較してくれたのは、ファミコンスペースワールド開催を伝える11月26日付朝日新聞朝刊一面ですが、95発売日には深夜の秋葉原でお祭りに参加してWin95対応コロッケを食い(ザ・コン館前ではいしかわじゅん先生と、午前二時の石丸電気本店3Fでは青木光恵先生と遭遇)、その3日後には幕張メッセまで行って64ビット機にさわってきたオレは朝日の思うツボっていうか。いやしかし「スーマリ64」はさすがにWin95の倍のビット数だけあって(違うってば)ぐりぐりで気持ちいいっす。とくに巨大クッパぶん投げるのが爽快ね。
 といっても64機のリリースは来年4月だから、とりあえず今月も地道に皿をまわしていると、黒いお皿のほうで思いがけない穴に落ちてしまった。
「戦国サイバー 藤丸地獄変」★★★★……のタイトル見て、「ふじさーわー、ふじさーわー、ふじさわやーくーひーん」と歌い出すのは人生を長く生きている人間の特権だが、この藤丸は藤沢薬品提供のTVアニメ「風の藤丸」とは(たぶん)なんの関係もないオリジナルキャラ。んで「地獄変」ってのは、「はぐれ透破(ルビ:すっぱ)」なる忍者集団を主人公とする戦国物の戦略&育成シミュレーションなんですね。女性ヴォーカルの英語の歌が不意打ちのように流れ出すOP(の前半)は最高にかっこよくて、次世代機ベストOP賞をあげてもいいくらい。ナレーションが久米明ってのもナイス。ただしその文章とシナリオは最低。あああセリフとナレーションぜんぶオレに書き直させろ〜と思わず叫ぶオレ。
 おまけに戦闘のマップは超見づらいし戦闘中セーブはできないし設定変更は面ごとにクリアされるしゲームバランスは超シビアでイベント発生条件は厳しすぎ。と、これだけマイナス要素があってもハマってしまうほど、藤丸の穴は深い。手塩にかけて育成したキャラが思わぬ一撃で昇天する寂寥感。新兵器開発に成功する喜び。これでもし「スーパーロボット大戦」並みのシナリオだったらたぶん一ヶ月は立ち直れなかったに違いない。
 これにくらべると穴が浅すぎて、あんた、底が見えてるぜ。って感じなのが話題の大作RPG(なんでしょ?)「ビヨンド・ザ・ビヨンド」★★。次世代マシンでふつうのRPG≠ェやりたいと叫んでる手前、ビヨビヨに文句をつけるのは筋ちがいだけど、ここまで平凡なのもちょっとねえ。いやまあ連打システムとかパズルとか、それなりの新機軸はあるんだけど、シナリオがここまで没個性だとハマる気がしない。ファミコン時代に山ほどあったマイナーRPGの亡霊が甦ったような印象。だいたい歩きながら連打してると敵と遭遇{ルビ:エンカウント}しないなんてのは邪道では。連射パッド買うよな、ふつう。はじめてRPGやる人と柴田亜美ファンにはおすすめですが、そうじゃない人は「ドラクエVI」でしょ。
 とフラストレーションが溜まったところにとうとう出ました「バーチャコップ」★★★★▲。をををを。ポリゴンの正しい使い方はやっぱりこれだぜ。しかし当たり判定が細かい。あーもっと修行しなければ。

【いまどきの次世代ソフト #12】
 なんかすげえつまんない。○○○倒すまでの前半は超だるいし、とても最近のドラクエとは思えないくらいボスキャラ強いし。FFシリーズに対する唯一のアドバンテージ(シナリオの引きとキャラへの感情移入度の高さ)を失ってしまったドラクエなど、過去の遺産で食ってるだけの存在でしかない。こんなFFまがいの(それでいてウィンドウシステムは最低に使いづらい)RPGやるくらいなら、「風来のシレン」にハマるほうがよっぽど吉だよな。と思いながらも、仕事でレビューすべきソフト群をほっぽらかして締切直前までスーファミのコントローラ握らせてしまうだけの麻薬的魅力があることはまちがいなくて、「この一年のコンシューマ機用RPG」の中じゃやっぱりダントツの出来だとは思うけど、俺はこんなのドラクエとは認めないね(関係ないけど、FOCUS12月27日号のワイド特集「危ないドラクエ人生」には笑いました)。
 ……というような直感的感想を確認するためにだけ50時間近くを「ドラゴンクエストVI」に投入してしまった関係上、次世代機ソフトはろくにさわってない。もっとも、ボーナス商戦に投入のビッグタイトルは、SSが「バーチャファイター2」★★★★、PSが「リッジレーサー・レボリューション」★★★★だから、なんか32ビットソフトも一巡してスタート地点にもどったというか、一年前のことが懐しく思い出される今日この頃。
 もちろん両タイトルとも、前作とくらべてみれば大幅に進化してるのは一目瞭然にしても、ゲーム性自体に変化はないわけで、いまさらもう一回ハマりなおす気分にはなりにくい。ただし、「RRR」の最大のウリの通信対戦機能に関してだけは、他人とレースすることで大幅にゲーム性が変わるんでポイントが高い。こうなったらもう、14型のポータブルテレビ買ってPSといっしょに持ち歩くしか。2人プレイまでしかできないっのはケチな気がするけど、考えてみりゃさすがにテレビとPSを各4台用意して対戦なんてことが可能な環境は少ないのだった。
「VF2」のほうは、アーケード版を無視してたおかげで必殺技をすっかり忘却、最強に弱まっているのが悲しい俺。絵はきれいですねえ。ってあたりまえか。どっちみち格闘嫌いの人以外はデフォルト購入に近いソフトなので、べつにいうことはないです。
 というわけで、スポットCM打ちまくりで200万台」的に盛り上がるSS/PS陣営に対して、サンヨーがさっさと撤退、「日暮れて道遠し」ムードが濃厚な3DO陣営ですが、はたしてM2(PowerPC602/66MHz使用)による巻き返しはあるのかっ。ハイパーリアルクラブ会員(笑)のうちの同居人宛てに届いたREAL Magazine創刊準備号の封筒を開けてみたらデモCD-ROMが二枚も入っててちょっとお得な気分になったものの、やっぱり茨の道だよなあ。
 しかし、プラットフォームがどんなに弱小であろうとも、「未来少年コナン デジタルライブラリー」が出てしまった以上、大森は3DOを全面的に支持する。ビデオクリップの画質が最低でも、読み込みがトロくても、そんな欠点はこのセレクションのすばらしさの前では問題じゃない。「大津波」の回からモンスリーの回想シーンを抜き出すのはまあ当然の選択としても、「再びインダストリアへ」からのクリップがモンスリーの着替え場面のみ(笑)だもん。モンスリーに永遠の愛を誓った大森としては、もうこれだけですべてを許す。データ編はアニドウから出てた巨大な設定資料集からの引き写しっぽいけど(現物が発掘不能な地層にあるので未確認)、パタパタアニメで遊べるし、広東語版やカタロニア語版も収録されてるし、とにかくコナンなんだから買うしかない。3DO持ってない人は当然ハードから買うでしょ。やっぱりいま買うならTRYだよね(うそ)。