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【3月26日(金)】

 ひたすら乱歩賞の原稿を読む。平均的なレベルは高いんだけど、これで決まりなものは見当たらない。ものすごくへんなやつが一個あった。でもこれはなあ。




【3月27日(土)】


 7時、トーキング・ヘッズ叢書アン・ライス特集の打ち上げ宴会@渋谷。寒くて天気が悪いせいか人が少ない。やけに明るいおねえちゃんたちがいて、マックな話で異様に盛り上がってましたが、DASACONに参加したSF系人妻のような気分になりかける(笑)。そういう子たちとちゃんとコミュニケーションを成立させている鈴木たかし社長はえらい。顔だけ見ると学生のころから全然変わってないので、苦労しているようにはまったく見えないのだが。
 こないだ1時間かけてダウンロードしたエピソード1の予告編QucikTimeムービーを再生して柳下に自慢。TH叢書の次の特集は「スター・ウォーズ」でどうか。

「スター・ウォーズ」と言えば、『オタクライフ』とかいう、柳下日記にも出てきたおたくインタビュー集の中にフィギュア・コレクターの話が入ってるんだけど、これが全編「スターウォーズ」で統一されている。宇宙大作戦はスター・トレックでもスタートレックでも許すけど(厳密に言うと、中黒なしはTNGのビデオ版のみ?)、オレ的に「スターウォーズ」は断固として却下。おたくのカタカナ表記も却下なので、すっかりダメな本なんでした。
 ちなみにSF関係でありがちな誤表記は、「果てしなき流れの果てに」とか「幼年期の終わり」とか。そういう本はありません。後者は「地球」をつければOKですが。あと「年間SF傑作選」とか。

 SFの定義問題に関して、原理主義とジャンル主義を使い分けているのがよくないと柳下に指摘される。ホラーに関しては原理主義なんだけどなあ。SFでいま原理主義を唱えるのはむなしいだけでしょう。オレだって20年前は、「スター・ウォーズ」なんか真のSFじゃないとか言ってたんだけど。それはやっぱり、SF=スペース・ファンタジーってことでムックが山ほど出てたりした当時の時代背景に対する若気のいたり的反動だったわけで。だったらジャンル主義に徹すればいいんだけど、魂の叫びがそれを許さない。
 というアンビバレンスは、ホラーにおける東雅夫の立場とおなじかも(笑)
 したがって、「なんにでもSFのスタンプを押してまわるひと」と思われるのも心外なんですが、そういう係のひとは必要でしょう。オレ的には、ヤングアダルトや架空戦記にSFマーク押してくれるひとがほしいのだが。




【3月28日(日)】


 今日の仰天。
 朝日新聞を読んでたら、「きほんのき」(という連載コラム)の今日のお題が「電子メールを書く」。なるほどね、いまはこういう基本もたいせつだ。と思ってたら、
「電子メールはプリントアウトしない人も多い」だって。電子メールをプリントアウトして読む人がいるんですか? まあパソ通やWWW掲示板のログをプリントして読む人がいるのは知ってるし、そういう人ならMLも紙で読みたいと思うかもしれないが、ふつうのメールをプリントアウトするわけ? 謎だ。

 電子メールの基本は、「シグニチャをちゃんと埋めておく」が第一だと思うけど。さらにビジネスの場合は、シグニチャにきちんとオフィスの電話番号等を入れておく。
 第二は、「仕事用とプライベート用のシグニチャをまちがえないこと」。いや、原稿依頼のメールにうっかり私用のお茶目なシグニチャがついてると、それはそれでほのぼのするんですけど。




【3月29日(月)】


 乱歩賞の原稿を整理して箱に詰め直し、宅急便で返送。
 《チョンクォ風雲録》読破計画を再開し、一日かけて6巻から9巻まで読む。まだ先は長い。

 途中で疲れたので田中啓文『XXX』に浮気。をを、やっぱり田中啓文はこうじゃないといかんよ。しかしあのネタバレなあとがきはどうか。あれを先に読んじゃうと激しく興がそがれると思うんだけど。『クージョ』の訳者あとがきみたいな……って古いか(笑)。作者が自分で結末をばらしてはいけません。

 SFオンラインが更新されてます。
 まずはジュヴナイルSF特集。  三村美衣は「気炎」という言葉の意味を誤解している(笑)。
 眉村卓の昔話は面白い。んーと、角川文庫の光瀬龍ジュブナイルの解説で書いてることとけっこうだぶってますが。97年版の「ねら学」のほうが好きという発言は、清水監督も本望でしょう。
 高畑京一郎の『タイム・リープ』エッセイで「ここがウィネトカなら、きみはジュディ」が出てきたのは驚いたが、しかしなぜこのエッセイがこの特集に入っているのかよくわからない。時間SF特集の原稿ならよくわかるけど。編集部はジュブナイルと思ったが、著者はそう思ってなかったってこと?
 17年ぐらい前、星群祭のジュブナイル特集に呼ばれた新井素子が「わたしは書きたい小説をふつうに書いてるだけなんで、ジュブナイルとか言われると困っちゃうんですけど」とか言ってたのをつい思い出したり。
 三村美衣の労作「戦後ジュヴナイルSF出版年表」は非常に役に立ちますが、複数年にわたって刊行された叢書は、第一巻刊行年で記載されているという注意書きが必要だったのでは。
 抄訳排斥運動に関しては、《本の雑誌》の宮田昇の連載エッセイにくわしい。いやあ、なんかたいへんだったみたいです。個人的には、眉村インタビューと同時に、当時のジュブナイルSF翻訳者へのインタビューもほしかったところ。まあそれは、「ジュヴナイルSFの冒険・海外編」待ちかな。ていうか、今回の特集はちゃんと「国内編」と銘打っておいてほしかったと思いました。

 SFオンライン賞(トップページ、クリッカブルマップのリンク先がまちがってます)は、受賞作だけ見ると穏当な結果。実態をまったく反映しない結果にならなくてめでたしめでたし。すごく危なかった部門もありますが(笑)
 しかしやっぱりひとり一票はつらいよね。受賞作が一桁得票ではなあ。

 インターネット小説大賞も結果が発表されてますが、こちらもほぼ順当。SF部門で『ホログラム街の女』の人気が高いのはちょっとびっくり。まあ、ラッカーはインターネットなひとには昔から支持されてるのでわかるんですが。笑えるのが『レッド・マーズ』の結果。7人投票して6点ですか。
 全タイトルに投票者の点数とコメントが入ってるので、これ読んでるだけでも一日つぶせますね。一ページで終わっちゃう、SFオンライン賞のそっけない投票結果とはえらい違いである。
 もっともSFオンラインのほうは各部門受賞者(とはかぎらない)コメントが読めるので、それはそれでお得かも。
 問題は受賞作リストを見ても版元がわからないこと。受賞作さえ版元・訳者名の記載がない。推薦作リストはノミネートじゃないと言ってる以上、ここに版元名が入ってないのは不親切でしょう。
 賞を出すことで、ふだんSFにあんまり関心を持ってない人にもきっかけを与えようって趣旨じゃないの? ていうか、そんなこと考えなくても、書名のリストがあればふつう版元名つけないか?
 訳者名については、インターネット小説大賞のほうもまったく入ってませんが、せめてトップページの各部門ベスト3ぐらいには訳者名入れていただきたいと思います。




【3月30日(火)】


 SFマガジンからの紹介で、ソフトバンク《週刊ザ・プレイステーション》編集部の知らない人から電話。「オメガ・ブースト」関連の座談会に出てくれとかそういう話なんだけど、
「失礼ですがどういうお仕事をされてるんでしょうか?」
「SFとかお詳しいんですか?」
「プレイステーションはお持ちですか?」
 とか矢継ぎ早に質問されてけっこううんざりする。ふつうそういうことは、本人に電話する前に、紹介者に取材しとくんじゃないのか? それ以前に、どこのだれだか全然知らない人間に仕事頼んで平気なのか? 仕事しなくてすむように、ギャラは二時間十万円ですとか言ってやればよかった。と思っても口にできない気の弱いオレ(笑)

 岡田斗司夫『オタクの迷い道』をぱらぱら読んでたら、「日本女性は海外でモテモテ!」ってページに、いきなりトーレン社長と友子ちゃんの写真(初出は《日経トレンディ》らしい)が載っててひっくり返る。斉藤友子は「日本のアニメのような女の子」だったのか!? ううむ、そうかも。トーレン社長夫妻を見たい人は、『オタクの迷い道』75ページにGOだ。ちなみにその次のページはウェイン町山パイ投げ事件の話なんですが、こっちは写真はありません。
 さらにちなみに、NHK BS「マンガ夜話」の出演者弁当格差の話が出てきますが、出版社でも待遇格差は珍しくない。某出版社で二日連続して座談会に呼ばれたことがあるんですが、書評家ばかりの座談会の打ち上げは居酒屋で、作家が混じった座談会の打ち上げは寿司屋。おまけにタクシー券つき。
 という話をこの日記に包み隠さず書いたところ、「かんべんしてくださいよー」と編集者に泣きつかれたのも、岡田さんの体験談とおなじだったり(笑)
 その点、インタビューに作家を呼んでもコーヒーしか出さない早川書房はえらいね。というのはまちがいで、SFマガジンの場合、相手がだれでも、食事時にはちゃんと食事が出ます。たぶん。

 高畑京一郎『ダブルキャスト』を読む。「時かけ」につづいて今度は「転校生」……というより『二人のかつみ』かな。『あたしの中の…』のコミュニケーション断絶タイプ。
 ミステリ的な仕掛けがバレバレなのが惜しい。あと、発砲があればふつう現場検証でわかるのでは。「事件」部分のリアリティが弱すぎるのが弱点で、ヤングアダルト(というより、モダン・ジュブナイルって感じだけど)としては、って留保をつけざるを得ませんが、年間ベストテン級の出来ではある。途中にちゃんとサプライズも用意してあるし。ただし、さすがに『タイム・リープ』には勝てないのだった。
 つづけて岡本賢一『モンスター7』。『タイム・クラッシュ』のあとだから、というのもあるかもしれないが、これはちょっと走りすぎな感じ。プロットは悪くないんだけど。オールスターキャストの最終回としては、もうちょっと枚数がほしかったのでは。




【3月31日(水)】


 2時間睡眠で8時半に起きて、午前10時、赤プリ新館。
 S水くん@SFマガジンとロビーで落ち合い、32階のスイートルームでシド・ミード・インタビュー。サンライズの注文に応えるついでにSFインターセクションの収録もすませてしまおうという一石二鳥計画。
 サンライズと撮影クルーのあいだで行き違いがあったらしくて、途中でテープが足りなくなるなど若干の混乱が生じましたが、とりあえずつつがなく終了。
 いちばん笑ったのは、劇場版「スター・トレック」の仕事を受けるまで、スタートレックなんか見たことも聞いたこともなかったという話。ガンダムの仕事ぐらいで動じるわけがないのも当然ですか(笑)
『アンドロ羊』読んだのも、ブレランの仕事が終わったあとだったそうで。あ、『2001年宇宙の旅』読んでるかどうか聞くの忘れたな。アシモフとハインラインは読んでると言ってたから、たぶんクラークは読んでないに違いない。
 考えたらシド・ミードって、でかい会社のでかい仕事ばっかりしてるんだよね。∀ガンダムのデザインだって、日本人のアーティストがいきなり、「新しいエンタープライズ号のデザインはお前にまかせた」とか言われるようなもんだもんな。
 シド・ミードのSF歴の出発点は、子供のころ、お父さんが毎晩寝る前に「バック・ロジャース」を読んでくれてたのが最初なんだそうです。どんな父親なんだか。

 ミード氏はソニーのデジタルマビカでがんがん写真撮ってたので、オレもDC210で撮り返す。これがシド・ミードおやじだ。4月末発売の∀ガンプラの見本も撮影したけど、これは写真載せるとまずいんだっけ。サンライズだし(笑)
 重いのをがまんして持ってった画集、「KRONOTEKO」にはしっかりサインを頂きました。ほんとなら翻訳を担当した「クロノログ2」にもらうべきなんだけど、やっぱりCD-ROMより画集でしょう。

 金曜日には、キネ旬で、富野・ミード・石上三登志という壮絶なおやじ鼎談が予定されてるそうなんですが、富野番通訳として同席してもらえませんかとサンライズのひとから急に頼まれる。富野さんの日本語をオレが英語にできるわけないじゃん。シド・ミードの英語はだいたいわかるけど、富野さんの日本語は……。いや、あくまで大森の英語力の問題ですが。

 午後1時にインタビューが終わり、銀座に出て丸の内シャンゼリゼで「ガンドレス」。色ついてないとか爆発省略とかコマ落としとか言う以前に作画が凄すぎ。決めカットの原画がけっこうがんばってる(キャラデザインは嫌いじゃない)だけに崩れ具合が激しく目立つ。あとはまともに歩けないとか、ちゃんとごはんが食べられないとか。アフレコのずれかたも、よくぞここまでと思うくらい絵とずれてる。こんなのすぐ合わせられるんじゃないのかなあ。
 おたくな若者三人組がひっきりなしにゲラゲラ笑いながら見てたのが印象的でした。でもいちばん笑ったのは、未完成部分より、敵基地のデザインだったり。
 話題の「未完成品だけど許してね。ビデオあげるからさ」看板はこれ。しかし完成版のビデオもらっても全然うれしくないのでは。そしたらただのダメなアニメだもんなあ。「スプリガン」に文句言ったオレが悪かった。あれはめちゃめちゃ立派なアニメでした。

 そういえば劇ウテの予告編(動画なし)もやってたけど、あれはちょっと……。つくりかたとしてはまちがってないにしても、あの絵じゃなあ。

 ミストラルに寄ってちょっと仕事してから、ブラジル戦に備えて帰宅。強烈に眠いので、日記は試合前に更新するなり。

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