【3月21日(金)】

 7時にイエナに寄って、三村美衣、山岸真、白石朗と合流してから、向かいの近鉄ビルのサンマリノで黒丸尚さんの命日の会。いままでは毎年、蒲田の河童亭でやってたんだけど、美由紀さん母子が横須賀に引っ越しちゃったので(蒲田のマンションは現在、山岸真が賃貸中)、銀座で開催になったわけですね。しかしアキラくんは風邪でお休みなので、メンバーは前記3人に美由紀さんに小浜徹也、堺三保、大森、30分遅刻したさいとうを加えて8人。
 イタ飯コースを食べて、あとはいつもの雑談。食後は喫茶店でさらに1時間ぐらいしゃべり、三村、堺、大森、さいとう、白石の五人が西葛西へ。駅前のジョイサウンドで3時間ぐらい歌ってから、三村美衣を連れて帰宅。朝までデュエルして寝る。


【3月22日(土)〜23日(日)】

 12時起床。仕事場のほうで寝ている三村美衣を拾い、さいとうが起きてくるのを待つあいだ、向かいのバッティングセンターで2ゲーム。
 うちから徒歩2分のローソンのとなりに突如出現したトミー・バッティングセンターは開業以来けっこう盛況。わたしははじめて行った日に、2ゲーム目でホームラン(的にあたるとサービスゲーム。さらにホームランがたまると点数でプレゼント)打ったのに気をよくして、仕事に飽きるとバットを振ってるんですが、なかなか出ませんね。
 80キロのケージに入ると、20球のうち半分ぐらいは芯にあたるんだけど、125キロとかだともう前にも飛ばない感じ。三村美衣は80キロのケージでそこそこ前にとんでました。
 最近のバッティングセンター事情はよく知らないんだけど、ここはボールが出てくるところにLCDボードがついてて、ピッチャーが投げるフォームがそこに映るんですね。マシンのアームを目印にして打つのにくらべるとずいぶんタイミングがとりやすい。ケージよって、ワインドアップだったりセットポジションだったり左投げだったりするという。
 西葛西は駅前に江戸川区球場があって草野球チームも多いらしく、休みの午後や夜はマイバット(笑)を持ったユニフォーム姿の若者が真剣に打ち込んでたりする。単位時間あたりの稼ぎではカラオケボックスより儲かるよな。人件費はほとんどかからないし、機械の保守管理はボウリング場より楽でしょう。

 そのうちさいとうが起きてきたので、タクシーに乗って有明ビッグサイトの東京おもちゃショーにGO。ホビージャパンブースに乗り込み、鉄人を倒してイタリア語版レジェンドを手に入れる……予定だったのに、2時前ぐらいに着いてみると、「整理券の配布は終了しました」だって。ちぇ。
 しょうがないのでハスブロー・ジャパンのブース(でかくて仰天)とかぶらぶら冷やかし、ビッグサイト内のレストランでデュエルとか。やっぱ子供が少なくなってるせいか、おもちゃ関係はこどものおもちゃよりおとなのおもちゃが元気。

 5時でおもちゃショーが終わったので、タクシーで晴海に移動。なぜ晴海かというと、宝島社主催、このミス10周年+別冊宝島300号記念豪華クルーズが開催されるかなんですね。
 日本で二番めにでかいという客船・日本丸を借り切って、大島まで行ってぐるっとまわって帰ってくる一泊二日船の旅。
 乗船するなり待機してた石倉局長が、「じゃあ船内を案内しましょう」と、自分の船のように(笑)名所巡りツアーに連れてってくれました。さすがに豪華っす。昔は東京‐高知間を結ぶフェリー、さんふらわあ号(1万5000トンぐらいだったと思った)にさんざん乗ってたけど、キャビンがぜんぶ個室の船は初めてだったり。
 船のゲストは別冊宝島関係者を中心に300人以上。各方面の人々が一堂に介しているのでわけがわからない。あそこに見えるのは山田ゴメス氏、あっちにいるのは哲学のえらいひと――とか思っても写真でしか知らないので声もかけられない。
 知り合いは映画関係で野村正昭、久保田明、大林ちぐみ、菊池里佳……とあとはこのミス関係者が多数。我孫子武丸×茶木則雄対決がいちばんの見物――というか、そのためにやってきたんだけど、「対決」はわたしの知らないところで行なわれて、あろうことか円満解決してしまったらしい(笑)
 ディナーパーティ(船に乗ってるのをべつにすれば、帝国ホテルとかと変わらない)のあとは、ラウンジで謎の女の子バンドをちらっと鑑賞してから麻雀。一位賞品は京セラのデジカメってんで気合いを入れたが全然ダメ(ちなみに優勝したのは久保田さん)。新保博久、西上心太、竹本健治(途中で我孫子武丸と交替)というおいしいメンツのはずだったのになあ。けっきょく、大会に集計される12時までのラウンドでは最下位に沈み、その後2回トップとってトータルではプラスにもどしたんだけど、いちばん下の賞品にも届きませんでしたとさ。
 麻雀が終わって寝ようかと思ったら、ラウンジの通信カラオケが復活。宝島社の若い女の子たちがいたのでつい朝まで歌ってしまいました。バカですね。しかし麻雀とカラオケで朝になるんじゃ、会場は新宿でもよかったっていうか(笑)

 3時間ほど寝て、デッキでのブランチ。しかし雨(笑) 雨の場合のことはなにも想定されていない段取りで、食糧だけ調達して中に避難。なぜか仕事の打ち合わせとかしているうちに船は晴海埠頭にもどってきて、大島はいったいどこへ? うーん、朝風呂に入り損ねたのは痛恨だな。

 晴海からバスに乗って銀座で降り、竹内元HMM編集長、西上心太氏と三人でサロン・ド・ワシントンでお茶して帰って爆睡。

 でもって起きたら午後8時だったのであわてて起き出して新宿に向かい、またしてもシダックスで我孫子迎撃カラオケ。さすがに京極さんは欠席で(笑)、喜国雅彦・国樹由香夫妻と水玉螢之丞夫妻とC嬢にさいとうとか、そんなメンツ。わたしは二時間歌ったところできっぱりと去り、家に帰ってもちろんサッカーを見ました。しかし中継があんなことだと知ってればカラオケしてたほうがましだったかもしれないが、まあ勝ったからいいや。うーん、でもアウェイ第一戦とはいえ、オマーン相手に1−0じゃあね。


【3月24日(月)】

 週末すっかり遊んでしまったので帳尻あわせのために必死に原稿を書く。LOVE&PLAYSTATIONたこあしコンセプトのエヴァ原稿、朝日パソコン別冊のミステリ系WWWサイト紹介記事(これがけっこう長くてたいへんだったす)、小説すばる(柴田よしき『炎都』)と翻訳の世界(第81Q戦争)の書評、あとはザ・ベーシックの『辺境の電脳たち』(今月は『女王天使』でした)。
 火曜の夜はナデシコ最終回のビデオとワールドカップ予選ね。ナデシコは最後走り過ぎた気もするけど、ナデシコらしいオチでよかったす。タイムトラベルラブコメに持っていくには時間がなさすぎたのがちょっと惜しいか。
 マカオ戦はねえ……なんか口内発射十連発の総集篇系AVを見てるような試合(笑) あんまりゴールが多くてもありがたみがないぞ。


【3月25日(火)】

 午後1時、徳間ホールでウェス・クレイヴン「スクリーム」の試写。やってることは「エルム街」といっしょだけど、もうちょっとギャグが多い。冒頭のホラー映画クイズは、しかし初歩的すぎでしょう(笑) けっこうよくできてるのでジャンルホラーのファンにはおすすめ。
 試写に来ていた柳下毅一郎と近所の蕎麦屋で飯食ってから早川書房。SFインターセクションの大原まり子インタビュー。
 うちにはまだ5月号届いてなかったんで、編集部で読ませてもらいましたが、いやはやなんとも。森下さんが「『マーズ・アタック!』で憂さ晴らし」する気持ちもわかるというか(笑)
 しかし本の雑誌の「みんなクズ」対談は、「この十年のジャンルSFからすぐれた作品が出ていること」と「ジャンル外からベストセラーになるSFが出ていること」は、両方とも認めてるわけで、この二点をいくら指摘しても、反論にはならないんじゃないかと思いますが。
「SFというレッテルがつくと売れない」という出版界の現状があの対談の出発点になってるわけだから、反論するとすれば、それに対する反証が必要なのでは。
 つまり、「一万人だか二万人だかのSF読者がいくら傑作だと言っても、世間の人はハナもひっかけてくれない」状況をどうするかってことで。ただし、それを作品や「批評の不在」のせいにするのは議論の分かれるところでしょう。

 大原さんは、個人としては「冬の時代なんて関係ないもん」っていう立場。書きたいときに書きたいSFが書ける位置にずっとありつづけてるわけだから、当然と言えば当然か。
 その一方で、シリーズ化された『SFバカ本』は、数少ない国産短編SF発表媒体として機能しているわけで、これが新しい極になる可能性もじゅうぶんある。極端な話、たとえば『バカ本』を季刊化して、長篇SF賞でもスタートすれば、ジャストシステムはたちまちSFの中心的な出版社になれるわけだし。いや、アスキーでもいいんだけどさ。
 もうひとつの可能性はソノラマですね。こないだのインタビューではカットしちゃったけど、森下さんの話でなるほどと思ったのは、朝日ソノラマのエンターテインメント志向が活力のある日本SFを生んでいるという指摘。『ソリトンの悪魔』しかり、『ライト・ジーンの遺産』しかり。野尻抱介の『ロケット・ガール』や、彩院忍の『電脳天使』など、ソノラマ文庫の器からも注目すべき日本SFはどんどん出てきてるわけで。雑誌がだめでもオリジナル・アンソロジーって選択肢はアリだよね。
 とかそういう話をしてたら、「早川書房もありますから」と塩澤編集長が一言(笑)。しかしSFマガジンだって、たった二人でつくってるんだもんなあ(プラス、アルバイト一名――インターセクションのテープ起こしで毎月お世話になってます)。

 なんだかんだで4時間ぐらいしゃべって(コーヒー二杯飲んだだけ――帰り際に大原さんが「あいかわらず早川って食事出ないのね」と言ったのは笑った。いや、必ずしもそういうわけじゃないんですけど)帰宅。

 それにしても、ふつうの人がSFマガジン5月号の「SFの現在を考える」を読むといったいどう思うんでしょうか(野尻さんは大森説に比較的賛同してくれてるみたいだけど――どこがどう森下説とちがうのかよくわからないし)。
 というわけで、伝言板のほうで読者の感想を募集します。本の雑誌読んでない人でもかまわないので、それぞれの原稿について率直にどういう印象を持ったかを書いてくれると吉。ちなみに新しい伝言板はここです。


【3月26日(水)】

 今日は結婚記念日……だけどすっかり忘れていた(笑)
 だらだらと仕事をして本を読む。天候がめちゃくちゃなせいかどうも体調が悪い。


【3月27日(木)】

 なんか風邪を引いたらしくて全然起きられない。ぼうっとしたまま、あ、今日は金曜日だから、SFマガジンの会議にちらっと顔を出してこようとか思って早川に行くと、「え? 会議? 明日ですけど」と言われてふっと気がつく。今日は木曜日で、ということはWOWOWの会議の最終回じゃんか。あわてて電話するととっくに終わっちゃてて(当然だけど)、6年もつづいた会議のいちばん最後をすっぽかすという事態(笑)
 自分で勝手に一日飛ばしちゃいかんすよ。茫然としたまま神田の喫茶店に入って、ああもうボケ症状のはじまりかと嘆いていると携帯が鳴り、「あのー、今日九段下で待ち合わせの約束だったんですが」(笑)
 そうだよ、WOWOWの会議のあと、毎日コミュニケーションズの人と打ち合わせ入れてたんじゃん。木曜日を思い出したんだからそっちを思い出せばよさそうなもんだぜ、まったく。「すみませんすみませんすぐ行きます」とあやまって、九段下の毎コミ編集部へ直行。
 前にデジタルボーイの編集部にいた小崎さんがCD-ROMファンの編集部に移ってて、そっちでコラムの連載を……という話。うーん、また水玉さんのいる雑誌に呼ばれてしまうとわ(笑) 最初は断わるつもりだったんだけど、読者気にしないで濃いネタがんがんやってくださいとか言われちゃって、そうかあ、WOWOWの不労所得もなくなることだし、水玉さん描いてるしなあ(笑)、まーいっか、となしくずしに仕事を増やすヲレ。しかしCD-ROMロファンって10万部以上売れてるんだそうで。ひさしぶりに見たらけっこう様変わりしていたのだった。
 うーん、雑誌の仕事を増やすより翻訳生産量を上げないといけないのだが。


【3月28日(金)】

 本格的に風邪がひどくなり、喘息を併発、薬を貪り食って一日寝て暮らす。すごくだめな感じ。『続・日本殺人事件』を読んだ勢いで、『生ける屍の死』を文庫版で再読したりしてたら一日が終わる。プロテウス仕事がたまっててサンフランシスコから悲鳴のようなEメールが来てるんだけど、なにもする気力なし。


【3月29日(土)】

 あいかわらず気力がないので、のそのそ起き出して柴野さん主催の黎会に出かける。SFマガジンを読んで驚いた人たちがわたしに説明を求めるが、求められてもねえ(笑)
 張本人の良平さんがいるんだから、そういうことは高橋良平氏に聞いてほしいと思うわけである。しかし予想通り良平さんは反論するつもりはないらしい。まあ、なにに反論するかというのは難しい問題だが(笑)
 鍛冶さん母子、内田、山岸、大森の謎のメンツでゼニス3時間。ゆきちゃんが来るのを待ってシダックスに移動してさらに二時間。気力ゲージはまだ上がらない。が、とりあえず日記が追いついたからよしとしよう(笑)。
 大雨の中を新宿三丁目まで走り、ロイヤルホストでだらだら日記書いているわけで。仕事は明日だね、明日。


日記の目次にもどる
ホームページにもどる
リトル東京ページにもどる